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不和世界 ―「埠」頭に繋ぐ、「わ」れらが世界の物語―  作者: ワタシイロReVo制作委員会
「『RAXUS』Age of Discovery…」世界
42/68

3rd

「結局又シュナーベル港からの出発か。ま、今回での旅は前回みたいな騒動は御免蒙りたいぜ」


「ねえ。前回のさぁ、冒険での騒動って、あなた達。一体ここでなにをやらかしたのよ」


「おい。チンチクリン、このカエル様に喧嘩売って?…むごっ」


「だぁ〜れェがさっきからチンチクリンだって!?あ”ぁん?」


 うっわぁ…なんつーかあの二人。未だに敵意むき出しでなにやってるんだか。


 周りをごった返する様々な人達の中をお構い無しに騒ぎ立てるカエルとサクラちゃん。あまり公衆の面々で目立つ事請け合いなメンバーを横目にケイジくんは先導を切りスタスタとある目的の場所を目指す。


 あらゆる地方からか、独自の知らない色彩の民族衣装に身を包む者や、家族連れでの小旅行気分な方々。はたまたあまり関わりたくもない甲冑姿の何処かの国の兵士達。様々な地方や国から立ち寄り。其々の目的での出発点や、終点にもなる港街。



 流石は大陸随一の桜名所を項目にする大国なのだろう。

商業施設や漁業者が営む業務用の市場。

 更に目に付く珍しい海洋生物を複数の兵士や軍人達が軍艦から吊り上げしている様が見え。


 てか、あの希望の巨大イカは?


『んまぁ…大王イカなら私の知り合いのノーチラス号のな?ネモくんが詳しく知ってるぞ?かのムー大陸とアトランティスでな。あの頃は私も若くてな?』


「――あのー」


「クーの説明をいちいち気にするな。それより俺達がエルス島に向かう為の船があれだ」


 いやいやいや。あの別の意味でかなり危ないネタを得意げに降るクーって奴に捕まる俺を現実に強制帰還させたケイジくん。


 しかも、突っ込み一つ入れずに目的でもあるとある船着場に御一行は到着する。

しかし、この小さい船体の何処か知っているような顔面つきな船を見上げては、何故か船の上に生えるミカンの木を見上げ。

 ヤバイげなネタに屈する事もなくしゃぐサクラちゃんとカエル。


 もぅこのようなベタなものにはあまり関わりたくもないのか。このハンドメイドにも似た船を用意したアスラとか言う方が、ケイジくんと何かしらの密談を交わしているようだ。


 多分。密談と言うよりかはクレームで文句たれたれなケイジくんの嫌な物見るような表情が。



 ラクサス国での出来事はあの後怪しげな俺達を尾行するかのように船内で待ち伏せケイジくんに絡む。フェリア・シークと名乗る勝気なクラスメイト。

 そして事実上船長にもなるアスラ・レイフォードとか言うゴツいおっさん。まぁ彼は、今回での冒険での船の準備をしていてくれていたおかげだけど。

 更に謎のクール美人?事、サクラちゃんが事前に連絡していた友達。


 リナ・ウェイフィールドさん。


 少し所か、かなり統率力が全くバラバラな役者を揃え。ヤバげなネタ的な俺達を乗せた船は今日。8月17日午後14時に出港。



 途中近海にて、遭遇しては船を襲う噂の大王イカや魔物をケイジくんとアスラさん無双で、退治したり、その魔物のお刺身騒動でリナちゃんサクラちゃんがブチ切れたり。


 はたまた国境警備と名ばかりな事実上本職海賊行為を企てるラクスリア帝国海軍軍艦との騒ぎ。まぁこれには又々敵艦に単身乗り込み某海賊映画さながらなハリウッドアクションで活躍したケイジくん独り勝ちであっけなく退治したのも。


 色々と問題やらがあるが。なにはともあれ無事にエルス島西側にある唯一の港に辿りついたのも、今回同行してくれた仲間達のおかげでもあるんだけどね。





メインマスト付近を荒々しい潮風が轟音をなびかせている。それと候応するかのように荒波がまるで俺達がこの禁断の島に来るのを拒むかのように畝りをりを上げ歓迎するかのようだ。



 この轟音が鳴り響く中、強風を仰ぐ帆を折り畳む為俺達を含む男子勢が駆り出され。


 更に上下に激しく揺さぶるスティをデッドアイを挟み甲板上に設置されたウィンチに巻き付け船外作業をする。



 その間にも加速するかのように速度を増す強風に煽られながらも手摺に身体を固定し、中央船室上に身を乗り出している人影が霞んで見える。



 航海士担当にもなるリナ・ウェイフィールドだ。



 彼女は、強風が吹き荒れている中を淡い光跡を辿るように魔術で構築された図面を展開しては大きな瞳を滑らす。




 多分、この地点から東経180海里からなる海賊全体に配信され、刻々と流れる情報とにらめっこ中なのだろうか。



 クールな外見に似合いそうなこれまた素早い情報収集能力を発揮する様は、彼女の友達ことサクラちゃんとは正反対だろう。





「今日の天候図の情報はたしか晴れだったのに。雲一つ無い筈がエルス島に纏わる人を毛嫌いする住民の。まさか?…ううん、あまり迷信や宗教類を気にしたらバカらしくて笑うしかないわね」



「ねえ!ケイジに流ながれ。ボウスブリットからシュラウドを無駄に張るスティをウィンチに巻き付け作業ちゃっちゃと終わらして渓流準備して、でないと西側からの風で船が転覆したらシャレになんないから!」


「お、おおう!」



 とは言いつつも――このポンコツ装置にスティの一部分が引っかかり上手く行くもんも全く動かないんだよな。



 しかも突貫で取り付けたみたいなレバーすらもサビついているのも手伝い今現在俺とケイジくんで力任せに押し込もうがビクともしない。



 参ったな、ケイジくんの得意の剣術で最悪スティを断ち切るしかないのだろうが。


 いや、しかし断ち切った所で又張り直すのは30mもあるメインマスト。更にマストに結び付くクロスフリー。トップボードまで登り。いやいや流石にそればっかりは勘弁願いたい。

 そんなマイナス思考が脳裏に浮かぶ中。聞き覚えのある黄色い声が混じるのに気付いた俺が見た物は?




「何をチンタラやってんだよ。ほら、心配してアスラが見て来いって言われてわざわざ様子?ぎゃああああ劇風って聞いてないわ?」


「よ?(ったく、足手まといは船内でお遊戯でもしてんだな、邪魔だから」


「こ、こんのバカ護衛っ!わ、私が足手まといだって?ち、ちょっとぅ!何処連れてくのよ。離しなさいってコラ!」


「――うっわw」



 な、なんかあったのか、船内から顔を出して来たサクラちゃんらしき物体が。突如突風に飛ばされ瞬間ケイジくんがキャッチ。

 なにやらポコポコとギャグ風に叩く彼女を抱きかかえ船内に押し込んだようにも見えたのだが。



 しかし、彼女とケイジくんのもう既に見慣れているコントに呆気に取られていた俺の背後。


 そこからもう1人の第三者がいつの間にか居る気配に気づくのもつかの間。


「って?おい?」


「へえ。2丁拳銃。私と違い速射勢に的した武器を選んだんだ。こういうのも面白いね」


「いや、これはまぁ俺のスタイルに合わせてって?いつの間に俺の銃を?フェリアちゃん?危ないから。しかもブローバック引いて何を?」



「ふふ?銃ってのはね。こんな時にも役に立つ事もあるの知ってる?」


「え、えーと…」



 そう言い切るフェリアちゃんは、前回での大王イカ退治等で見せた折り紙付きな射撃の名手なのは分かる。


 しかし、その飛び抜けたスキルとは裏腹に、誰もが恨めしい豊富な二つのあれを持つナイスバディーの持ち主。

 そのギャップ萌えは彼女のお気に入りとも言えるケイジくんが独り占めっつーのも…ま、それは全部あの残念くんこと悔しが張りなカエルグチを聞いたからなんだけど。




「ほら、アンタはさっきからなに固まってんの?風に飛ばされても知らないよ?」


「い、いえっ。な、なんでも?……てか、そんなん持ち出して一体お前。マジなにすんだ」



 疑問視しする俺に可愛いらしく笑顔を見せる。

「見ててね?」とか、なんか定番になるような台詞を後に、クルリと慣れた手つきで右手人差し指を軸に回す。

 その間に吹く風の勢い。距離を青い大きな瞳を流し視認。

そして持ち主である俺よりも早く。更に確実な軽い指さばきで両手に構える拳銃から二発の発射音が鳴り響く。



 銀色の薬莢が木製の床にバウンド。同時に引っかかりで稼動しないウィンチのレバーを寸分狂いも無く着弾させたのか。

 略強制的に稼働し、セイルから垂れ下がる帆が見る見る内に上がって行く様が見える。


 時間にして数秒だろうか。一部始終をただ呆然と見つめる俺に両手に持つ拳銃を手渡し可愛らしい瞳でウィンクした。


「ほら、動いたでしょ?」


「あ、ああ」


 銃と一言で言ってもそれぞれの自分に合った相性もある。まれに見るある程度のスキルレベルが上位の者を除けば大概は偏りがちにもなるのは当たり前だ。

俺は彼女のように確実に目標を狙うのはレベル的に無理だし。その為に短距離だが連射が可能な選択だ。



 しかし、初めて見た武器で命中精度が最悪な設計の、テムリス連邦騎馬隊からの中古品を俺以上に。

改めて、自分のスキルを磨き、学園にて本気でぶつかり合いたいライバル意識がいつの間にかあのスレンダーな後ろ姿を眺めながら芽生えていた。






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