2nd
「へえ?…アンタの職業。海賊稼業は悪く無いと思うわ、あたしが思うに」
「いや、雨雲流っす。しかもそれ。海賊とかなんか違うから、サクラちゃん?さっき言ったのは」
「ふふ?流ね。どーせ、カエル共々幼稚な海賊ごっこのお遊びでしょ?なんかすっごく面白くなって来たわね」
「んだと?チンチクリン!さっきから黙って聞いてりゃ泣く子も黙る海賊ことこのカエル様を舐めるなよ?」
「ちんちく?言ったわね?アンタこそゲコゲコ泣きわめくガマの子孫の分際で良く言えるわね!」
あのなぁ…カエルもサクラちゃんもかなり勘違いしているし。
もぅ既に本来俺がやっている考古学専門での復職があのクソガエルのでっち上げ話のおかげで尾びれを付けられ一人歩きしているし。
まぁここいらで当面の俺が成し遂げなきゃならない目的はこの世界の何処かにあると言い伝えがあるとある欠片探し。
前々から付き合いのあるカエルとのコンビで数々の魔法レアアイテムや古文書をトレジャーハントしながら目的の『世界の欠片』を探し当て、そしてこの混沌する大陸間の争いや貧富の差での奴隷制度を含む数々の問題を。うん。世界を握る程のその欠片を使いハッピーエンドになれる世の中にする!
ま、そんな俺の幼少からの子供じみた夢を唯一理解してくれたこいつ。
カエルと共?ってぇ!?
な、なんかケイジくんから妙なのが!
『君か?そのカエルって名前は。あ!君の良い友達を今度紹介したつやる。私の知り合でーーええっと、確か”つくば”とか言う山に自修神様をやってる奴が居てさ?』
「おいいっ!?なんだチビ!全身の毛を今すぐ火炎魔術で焼いて狐の照焼きにしてやろゥか?」
『に?にゃんという乱暴な奴っ!ケイジ。私を助け?』
「うむ。許可す?」
『え?…え?許可しちゃうの?この私を?ねえ。てコラ!私を焼いても美味くないかならね?ちとしょっぱいからね?』
「……」
うっわw…又々変な奴があのカエルに絡んでは彼の怒りを駆り立てているし。
いつの間にかケイジくんの頭上から可愛らしく背伸びをし、狐。多分そいつの姿からして彼と契約を結んだ幻獣なのだろうか。
しかし愛くるしい割には、何故かサクラちゃんVSでの一戦で水色髪をかきむしる仕草で不機嫌なカエルに仲間意識なのか。
似たもの同士なね好意を見せながらちょこまかと絡む。
それが逆に彼を挑発し、頭ごなしに鷲掴みにしては、某タネから引っこ抜きゲームのごとく?持ち上げられ火あぶり寸前みたいなのだが。
そんな著作権に触りそうな?歌が流れて来るような?カオスを作り出している惨状にケイジくんはいち早くその場から姿を消し他人の振りをかます。
更にサクラちゃんは周りの状況を気づく所か全く見えずにロゼリア城のメインストリート沿いの中じゃ一際目立つ白い屋敷内へぶつぶつ独り言を口ずさむ。そしてコクリと決心した仕草で足を運んでいるのが見え。
てか、この全く統一もへったくれもないパーティーでこの先大丈夫なのかと。俺は今日初めてのため息を零したのは言うまでもないんだけど。
正規のビザを取るつもりなのだろうか。しかしあのお姫様とは思えない鈍感極まりない思考と言い。いや、あれはかなり思い込みが激しい感じなのは確かだ。背後でおこなわている焼き狐ショウでのカオスはお構いなしな所は逆に褒めてもおかしくはないというか。
未だ謎の狐たんとのじゃれ会いで夢中なカエルを横目に俺達とは正反対な場所で面倒くさそうにしているケイジくんにとりあえずは話をふってみる事にする。
「所でケイジくん。さっきサクラちゃん、俺達そっちのけで勝手に入って行ったがあの屋敷は?」
「……」
「いや、だからケイジさん、サクラちゃんがって」
「なんだ。気にするな…お嬢はたんにお前達が持ちかけた海賊ごっこに夢中なだけだと思う。正式な手続きでエルス島へのビザを取りに行ったんだろうが。無駄な時間にしかならない。うん。よし置いてくか」
「いや、だから置いてくって?ちょっと、ねえ。サクラちゃんは?」
いやはや、彼は彼なりに俺の質問に面倒くさそうだが、答え。まるで俺達の今から行なうトレジャーハントを海賊ごっこと投げ捨てそそくさと足を運ぶ。
まぁ、エルス島に向かうのにはやはり一筋縄じゃ無理らしい事。その島に行く為には独自のルートを使い。ようは、マジもんでフリーな船員と船を手に入れなければならないのもケイジくんは話していた。
しかし、あのソッポを向き素っ気ない態度と言い。多分俺の推測は、あの狐のペット、プラスサクラちゃんのあれを、長年の付き合いでの慣れとか。わからない事もない。
てかこれでいいんか?サクラちゃん。多分、このままあのビザ店にて放置プレイなんかかました日にゃ…
そして、案の定先を急ぐ俺達に円満な笑顔を向け追い付いて来たサクラちゃんのラリアートが、何故かひらりと回避したケイジからカエルに着弾。
その後二人のバトル?が再び狐を巻き込みヒートアップしていたのは忘れたいのだが。




