#005 思い出せそうで思い出せない記憶は結構人に言ってもらうと思い出せたりする
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実験のつもりであった。
少し「世界」について与える「情報量」を増やしてみたのだ。もちろんそのままの意味ではなく、比喩としての「情報量」ではあるが、結果として、それは青年の記憶を消した。
なるほど、こういう風になるのか、と、「絶対神」は嘆息する。
彼――あるいは彼女――は、普段、外の世界に対してまるで執着が無い。興味だって微塵もない。この世界がコスモスでさえあれば良い、この、青年がピラミッドみたいだと思った世界さえ秩序に支配されていれば……
自分は、何よりも、世界が慈愛に満たされ平和であれば、それで良いのだと……そんな、アイロニーに満ちた思考を放り捨て、絶対神は再び、帰還した青年の頭部に降りた。
倒れる様にベッドに溺れた青年の、額辺り――
今までは下界に対しての興味が薄すぎたのだ。
この世界に帰って来てから、青年の記憶を操作してすべての辻褄を合わせれば良いと、そう思っていた。
ただ、ふと不思議に思ったのである。このやり方で、青年が上手くやっているのか、と。
だから、いくつか前の世界から青年を監視するようにしていた。その時によって、世界への「最適化」の強度を微妙に変化させつつ、青年への影響を観察していたのである。
一度最低限まで世界への最適化を「弱くし」、そこからは世界をまたぐごとに世界への最適化を強めていった。その結果、どうやらある一定の水準を超えると青年への悪影響が生まれるらしいことが分かった。
つまり――絶対神は絶対神で、暇を持て余していたのである。
こういう風に書くと絶対神が人間的に聞こえるかもしれないので、あくまでそれが、それこそ「比喩」であることには気を付けなければならない。
もう、次からは最適化のパラメータを初期値に戻しておくことにする。
あんまり「悪戯」が過ぎて、「手元に」光珠が集まらないのも困るのだ。また次に新しい遊びを思いつくまでは、大人しくしておこう、と、絶対神は決めた。
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「あれっ」
――――どうした、青年よ
「一体何時間寝てた?」
――――いつも通り、半日以上だが。大体十八時間くらいになるか
「最後にベッドに入ったのは何時だろう。思い出せない……」
気付いたらベッドで目を覚ます、の繰り返しな気がする。寝ようと思って寝てないから、だから寝た気がしない――青年はそう言って、起きた時からすでにずり上がっているアイマスクを不思議そうに指で摘まんだ。
「しかも、なんでだろう、前の世界の事も記憶にない……」
――――何も覚えていないのか
そのような影響も出るのか、と、絶対神は表情に出さないように努めながら言った。そもそも絶対神に表情など無かったが。
「んー、なんだろ、なんかこう、思い出しそうなことはあるんだけどなあ……なんだっけ、アイス? みたいな。コリスだっけな……」
――――アリスではないのか
つい口を出して、しまった、と思う。
余計なことを言った、とも。
それもこれも、外の世界を監視していた影響に違いない。不純物が流れ込んできたのだ。
「アリス……? アリ、ス……そうだ、アリスだ! 思い出した!」
青年は叫んだ。
名前:夜月瑠璃
不和世界に参加して、その他感想や一言:書き上がった瞬間に、考えたことは"土下座しなきゃ"でした( • ̀ω•́ )✧
まず、光珠が主要キャラのなかにという制約で、主人公のなかに入ってるという事実。主要キャラ……うん。主人公って主要キャラ!とか一応、アリス様にも半分は入っているしとかいって自分を落ち着かせました。他にも主人公に入っている方いたらいいなぁ。
ちなみに、主人公のなかになったのは「異物を淘汰するディーチェ」で主人公が消えない理由が欲しかったからです。最初、受け入れられずに消えるまでに光珠を見つけなきゃというプロットを組んで物の見事に主人公消えましたもの←←←
色々語るとさらに土下座しなきゃいけない理由が出てきそうなので長々(言い訳)喋りましたがここまでとします。
それでは皆様、またいつか。




