対面は宮殿で
「まぁ可愛らしい!さすがパパと私の娘ね!」
「ユーリア様とても美しゅうこざいわすわ。」
サーラさんの手であっと言うまにドレスを着せられる。
プリンセスラインのふわっとした甘いテイストのドレス。淡いブルーで大変可愛らしい。が、如何せん着るのは私。う、うーん似合ってるのか?これ。まぁ折角の異世界だしいっか。
「じゃぁ行きましょうユーリアちゃん。これも被っといてね!」
手渡されたのは綺麗なベール。この世界ではベールを被るのがマナーなのかな?でもママもサーラさんも被ってないから未婚女性だけ被るのかな?
疑問はさておき大人しくベールを被り、颯爽と歩くママの後ろをついていく。
ちなみにママはドレスじゃなくてなぜか男装だった。騎士の格好?乗馬服?よく分からないけど男装の麗人…オ◯カルさま~。
にしてもドレスは可愛いけど動きづらいな…。結婚したお隣のお姉さんが結婚式前にウェディングドレスで歩く練習をするって言ってたけど納得だ。こけないかひやひやしながら足元を見て歩く。いちにっいちにっ~。
暫く歩いて、おっ?なかなかさまになってきたんじゃない?なんて調子にのったのがいけなかった。
「ぶへぇっっ。痛っい~もうママ急に
止まらないでよ」
立ち止まったママにぶつかった。鼻をさすりながら抗議する。これ以上鼻が低くなったらどうしてくれるんだー!
「ユーリアちゃん。着いたわよ。ここから先は馬鹿ばっかりだから不愉快だろうけど黙って見ててちょーだいね。」
「う、うん」
無視されちゃったよ。
しかもそんな真剣な顔で馬鹿ばっかりって…おじいちゃんは一体どんな人なんだ?
顔を上げるとやたら豪華な扉。両脇にいる人がママの姿を見ると頭を下げ、扉を開ける。
扉の向こうは光が溢れていた。
ーーー溢れる光の正体はすぐに分かった。
扉の向こうには大広間があり、高く吹き抜けた天井に淡く七色に輝く巨大なシャンデリア。これが広間全体を包むような光が照らしている。
窓はステンドグラスで作られたようなデザインだけれど、シャンデリアの光を反射しては不思議と色が変わる。
そして床は透明なガラス張りでその下を高い透明度で青みを帯びた水が緩やかに流れている。
その水中には色とりどりで姿形も美しい花々が咲き乱れている。
それらが光に照らされてきらきら輝く様子は圧倒される美しさだ。
広間全体が光に包まれながら全てが見事に調和し不思議な威厳すら漂っている。
光と水の宮殿って感じだ。妖精の女王がいるって言われても納得できちゃうな。なんて綺麗なところなんだろう。思わず感嘆の溜め息をもらしてみとれる。
「ユーリア。」
ママの声に我にかえって中をよく見ると、両サイドに控えるたくさんの明らかに身分高そうな人達がこちらをじっと見ている。
えっなに?
広間が見事で気付かなかったけれど、貴族的な人達?てかそもそもおじいちゃんに会うのにこんな宮殿みたいなところって…何で?
日本の一般人にはこの状況はハードル高過ぎるよ。軽くパニックになりながらもママに促されるままついていく。
ベール越しでも突き刺さる視線が痛くて下を向く。そ、そんなに見なくてもいいじゃない。見ても別に減らないけど、値踏みしたってこっちは三足千円の靴下くらい普通ですよ?
そんな小心者の娘と違って堂々とした足取りのママについていき立ち止まったところで顔を上げると、王様っぽい人が座っていてこちらを見下ろしている。
とりあえず思った。
王様………超普通…。
いや、だってこんだけ妖精の女王がいるって言われても納得できるようなファンタジーな宮殿なのに、普通のおじさんなんだもん。
ここはさ、いかにもファンタジー風に美形の王様とか出てくるところだよね?年取っても渋くてかっこいとか…この宮殿ならせめて西洋風な顔立ちだけでも…。
勝手な言い分だとは十分承知だけれも、平均的日本人っぽい顔立ちのおじさんにちょっとがっかりしてしまった。そんな困惑を他所に目前の王様が口を開く。
「生きていたかシルヴィア。」
「お生憎ね。お久しぶりねお父様。生け贄にした娘に会うのはどんな御気分かしら?」
えっ?




