砂山
掲載日:2013/07/16
海水浴場の波打ちぎわの砂浜で
海水に浸された砂を積み上げる
穴を掘るだけ砂山は高くなり
砂山が高くなるだけ穴は深くなる
ふと気づいてみれば
地球もそんなものかもしれないと
富士山を削り取れば琵琶湖が埋まってしまうかもしれないなんて
積み上げた砂山も大きな波で
脆いものだった
砂山も穴も波の引いた後はもとの平らな砂浜に
自分で積み上げた砂は
既に見わけられない
造り上げた砂山は自分のものの様な気がしていたから
何故か悲しかった
ひりひりと肌が感じる暑さなのに
悲しい感情は似合わない様な気がした
砂浜も海のなかも
楽しそうに見える人たち
なぜぼくは一人なのかと
約束した彼女はいないのだろうかと
彼女に積み上げた言葉は
既に崩れ落ちているのだろうか
ぼくは再び砂山を造り始めた
掴んだ砂は自分の言葉
積み上げる言葉は彼女への言葉
ぼくの声であなたに届く言葉はきっとないだろうけれど
あなたの目に届く言葉はあるかもしれない
照りつける太陽の暑さをしのぐための木陰や
カーテンの隙間から差し込む月の灯り
あなたが深い海のなかに沈んだ時
涙の海に沈んだ時
沢山の言葉を集めて捜してみよう
沢山の言葉で涙の海を埋めてみよう
山も海も無ければ
平地になれば僕はきっと君の所に走っていけるような気がするから




