婚約破棄の慰謝料として『王国の半分』を要求したら、本当にくれたので、今日から私があなたの女王様です
王子様が婚約破棄したいと言ってきました。
「私は王子様と結婚するものだと思って小さな頃から花嫁修行を続けていたんですよ? 女王になる以外に取り柄がないんですから、慰謝料として王国の半分をください!」
私、転生者なんですけど?
中世世界で女王以外できません。
「令嬢、わかりました」
王子様はあっさりと国を半分くれました。
国を半分渡してでも別れたいってどう言う事ですか!?
ちょっと後をつけたら理由はすぐにわかりました。
あのヤロー、聖女と浮気してました。
まあ、ただ親に勝手に決められてた婚約者だからいいんですけどね。
ピクピクとまぶたが痙攣して、書類をめくる指先が震えますが、まあ、いいんです!
そんな事より国をもらったんだから国家運営です。
って半分ってなんですか!
山と川ばかり、人が住んでるところが一つもありません!
ちゃっかり鉱山なんかは外されて、利益の薄い要らないような場所ばかり……。
ぶるぶると震える手の間の書類がシワシワになって行きます。
王子、浮気は許してもこっちは許せませんよ?
◆
「街道を通るのに、なんで金がいるんだ!?」
「この道は今日から女王の国になったから通行料が必要になったんだ! さあ、払って」
ある日の街道での出来事です。
私は王子の国の失業者を集めて講習を開き、通行料を取る役人に育て上げ国中に配置しました。
全街道で同じようなことが起こっているので、王子の国は大混乱です。
「これでは国がめちゃくちゃです! 王子!」
「くっ!」
議会で責められて王子の顔が真っ赤に染まっています。
「令嬢には価値のある土地は渡せないと山と川ばかりにしたのはお前たちだろう! 中規模の街を混ぜていれば満足していたはずだ!」
それはどうでしょう?
王子が浮気していなければ可能性があったかもしれませんね。
しばらくすると、王子から私の所に通告書が届きました。
王子の国では我が国の役人の住居に三倍の税金を課すというのです。
「なんて卑怯なの!」
私は対抗して通行料を十倍に引き上げました。
王子も対抗しようとしますが、あちらは議会を通さないと法律を動かせません。
こっちは女王一人の国ですから、柔軟性が違います。
街道の保全を理由に通行する馬車の車輪を制限します。
良い車輪を作る職人と提携して優先枠を設けることで、お金がどんどん集まります。
◆
「令嬢、やはり婚約破棄はなかったことにしよう……」
髪が乱れて、目の下にクマを作り、頬のこけた、疲れきった顔の王子から敗北宣言をいただきました。
「どうしましょうかね……」
などと余裕ぶってはみたものの……危なかったです。
内心は冷や汗がタラタラで、物理的にもお腹が減ってウエストがスカスカです。
女王になったとはいえ、私も住んでいるのは王子の国です。
王子の国の流通がガタガタなら、私の首も締まるというものです。
王子の国から巻き上げたお金はあっても物がなく、空腹で倒れそうでした。
まあ、先に降参した方が負けですよ。
私の完全勝利です。
「ところで、聖女はどうするんですか、王子?」
「あんな女はとっくに出て行ったさ。金目当ての女はもう嫌だ。令嬢が一番だ!!」
お金なんて腐るほどあっても死んだら意味がありませんのに、バカな聖女です。
「私はお金だけじゃなく国土も権力も欲しい。支配目当てですから。
……でも、唯一無二の女王に番号を振らないでください、王子」
私がニッコリ笑うと、王子はゾクと身体を震わせます。
次に、恍惚の表情で答えます。
「よろしくお願いします、女王様!」




