1/5
大きな森
ここはどこでしょう。
足元もまっくらくら、手をのばしてもまっくらくら。
ホウホウ。
この声は、フクロウかな。
バサバサバサ。
横切ったのは、きっとコウモリ。
すすんでいくと、ありました、ありました。
大きな森のでっかなあやかしのおうちです。
『だれだね?』
小さな女の子は、低い、うなるような声にびっくりしました。
『わたしは、町にすんでいる、セシルです。』
『ふん。ここには5年もだれもきたことがないんだぞ。オレがこわくないのか。』
セシルは、すこしうつむいて言いました。
『びっくりしたけど、こわくありません。』
『じゃあ、おまえ、いぬのまねをしろよ。』
セシルはくつじょくでしたが、いぬのように鳴きました。
『はは。じぶんのない女だな。だから、こんなところにきて、オレと友達になろうっていうんだ。』
『きょうは、これで帰ります。』
セシルは、ひとつだけたんぽぽを置いていきました。
『ふん。もうくるなよ。いぬのまねは、くつじょくだったろう。』
セシルには聞こえないのか、返事もしませんし、もう森の中にはいないようでした。
『ふん。もうくるなよ。たこすけが。』
あやかしは、わるぐちをひとつ言いました。




