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第8話 盗賊団の目的

1週間位して、会議室に呼ばれた。

そこには騎士団総長と第二騎士団長、そして知らない人がいた。

「リエラさんは初めて会うかな。

リチャード・イーガルだ、王立魔法研究所の所長をしている」

「はじめまして、リエラ・ベルマンです」

「話はいろいろ聞いていますよ」

どんな話を聞いているんだか…。

「盗賊団の件は一応解決したから知らせようと思って呼んだ」

「一応とは?」

「一部逃してしまった。今追ってはいるが捕まるのは時間の問題だろう」

「盗賊団は隣国のスパイの隠れ蓑だった。

スパイの狙いは、騎士団の倉庫で研究されていた研究資料と、警備隊牢屋にいた仲間の奪還だった。リエラも狙われてはいたが絶対ではなかったようだ」

「爆弾騒ぎで混乱している最中に見学者を装った盗賊団が倉庫に侵入して資料を持ち出そうとしたようだ。まあ、騎士を配置していたから捕まえたがな。資料も予め安全な所に移動させて、偽の資料を用意した。一部持ち去られたが偽物だから隣国に渡っても問題はない」

「リエラが教えてくれた屋台の業者も盗賊団だったよ。リーダー格の人間だったから逃げられてたら大変だった。リエラが気づいてくれてよかった」

第二騎士団長が続きを説明する。

「そして、本部からリエラを連れ出そうとした騎士も仲間だった。こっちは少し前から分かっていたので泳がせていた。でもリエラには怖い思いをさせてしまった、すまない」と謝ってくれた。

「いえいえ、驚きはしましたが、他の騎士が守ってくれたので大丈夫です。気にしないでください」

謝られるほどの事ではないので慌てた。

「もう1つの目的の仲間の奪還だが、こちらは元ギルド員が関わっていた」

今度は総長からの説明だ。

「ギルド員ってサリューですか?」

「そんな名前だったかな。リーダーの妻が牢屋にいたのだが、その人間を脱獄させるためにサリューは捕まったそうだ。そして、脱獄計画を伝え、逃げる手伝いをするのが元ギルド員の役割だったようだ。サリューは公にはされていないが、ギルド長の娘だったよ」

「そして、冒険者ギルドの記録を調べたが、君から買い取っていた魔力を入れた魔石や、個別に頼まれていた魔石の買取記録はなかった。ギルドも関わっているのかどうかの調査が始まっている」

盗賊団すごいな。違うか、スパイがすごいのか。

そして、みんな大丈夫かな。スパイじゃないと信じたいけど…。

「そして薬屋だが、盗賊団だけでなく、隣国スパイ全体の連絡係だった」

「え?そうなんですか?すごく優しいおばあちゃんだったんですが…」

「たまたまある騎士が隣国訛りがあるのに気づいてな、調査をして分かったんだ。だからリエラがもらったお守りも調べさせてもらった。薬屋が連絡係というのが分かった時に、リエラを連れ去ろうとした騎士が薬屋と接触していたのを見ていた騎士がいてな。それであの騎士も調査対象だった」

「スパイすごいですね」

「ああ、入団する時に騎士は身辺調査しているんだが…、全員の再調査が決まったからしばらくは忙しくなる」

総長はため息をついていた。人数多いからねぇ…ってそれ…

「という事で総務課も忙しくなるな」

ですよねぇ、やっぱりそうなりますよね。

私もため息をついた。

「そういえば、騎士団の倉庫でしていた研究って何だったんですか?」

スパイが狙う位だからすごい研究なんだろうな。

「まだ発表前だから内密にお願いしたいが、1つの魔石に2属性持たせる研究だ」

研究所所長が教えてくれた。

「1魔石に2属性入れられたら世の中はかなり変わるし、要望も多い。で長年研究していたんだがやっと完成しそうな所まできた」

「それってこんな感じですか?」

リエラは、魔石を2つ見せた。前にマーブル模様になってしまった魔石だ。実はあの後、迷って2属性の事を考えていたから2属性入れられたのかもと気づき、試しに2属性の魔力を入れたら成功したのだ。その頃サリューさんに対してモヤモヤしていたので誰にも相談できずにしまい込んでいた。そして、アデルさんに相談してみようと今日持ってきていたのだ。

「これは??」

魔石を手に取った研究所所長はものすごく驚いていた。

「これは火と風か?なぜ属性が2つ入っている。どうやって作った?」

総長も第二騎士団長も驚きすぎて顔が怖いです。

「どうやって…って、魔力を入れる時に火と風を同時に入れただけですが…」

「はぁっ?不可能だろう?それが出来たというのか?」

「はい…?って何か問題でした?」

「大問題だ。総長これ預かってもいいよな?」

と返事を待たずに所長は会議室を出て行ってしまった。

「えっと、何かありました…?」

「ああ、大変な騒ぎになるな」

総長、頭を抱えないで下さい。

「あの、この事はギルドや薬屋で話しましたか?」

恐る恐る第二騎士団長が聞いてきた。

「いえ、言う前にこっちに来てしまったので誰にも話していません」

「よかった、しかし本当はすごかったんですね」

団長、本当はってどういう事ですか?

「残念と思っていたあのスキルであの魔石が作れるのか」

総長まで…。

「話はまだあったのだが、今日は仕事に戻りなさい。魔石の事は誰にも話さないように」

と話は途中で終わった。


次の日、また会議室に呼び出された。

今日は総長と研究所所長ともう1人知らない人。制服を見ると魔法研究所の人のようだ。

「昨日の続きだが、一応、盗賊団については解決の目処がたったし、君も無関係というのが証明された。だから君を要観察者から外す事になった」

「ありがとうございます」

総長は更に話を続ける。

「今後の事だが、町に戻りたいなら解決するまでもう少し待って欲しい。それまではここにいてくれて構わない。ただ、よければ正式に働かないか。君の事は報告があがっている。管理部からも正式に採用して欲しいと頼まれている」

魔法研究所所長も慌てたように話に入ってきた。

「実は研究所でもあなたにきて欲しいと思っています。研究所で働きませんか?」

「そうです、あんなにすごい魔石が作れるんです。僕達の研究を手伝ってください。いや、僕にあなたの研究を手伝わせてください。僕の研究と合わせると絶対にすごい結果になります」

研究員らしき人がすごい早口で話す。

「僕の研究は魔石に2属性持たせる事です。散々失敗してやっと完成しかけているのにあなたは簡単に作ったようだ。どうやったのか興味しかありません」

所長がとめてくれた、助かった。

「これは研究所で魔石の研究をしているデリーという研究員だ。昨日からあなたに会いたくて興奮してた。あなたの力は世の中を変えられるかもしれない。だから研究所で働くのを考えてくれませんか?」

「出来れば今の管理部で働きたいのですが」

気づいたらここが好きになっていた。忙しい時も多いけど、みんないい人だ。町のみんなも好きだけど、この先生きていくならここがいいなと思う。

総長は

「分かった。ではそのように手続きをしよう」

と言ってくれた。

「待ってください。ではせめて1週間に1日でもいいから研究所を手伝ってくれませんか?総長、許可を」

「管理部と話してみるから少し待ってくれ」

リエラは正式に働けそうだと思うと嬉しかった。

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