第5話 新しい場所
「ここが王都。大きい」
リエラは騎士団の馬車に乗せてもらい、王都に着いた。2日間ずっと馬車に乗っていたので体が痛い。
でも、王都楽しそう。お店もいっぱいありそうだし、落ち着いたら町に買い物行きたいな。
騎士団の本部に入ってすぐ会議室に連れて行かれた。
そこでブラッカン団長に紹介されたのは、なんと騎士団総長。騎士団の1番偉い人だそうだ。
騎士団は第一から第五まであり、それぞれ活動する得意分野が違う。
そして、ここでの説明が始まった。
「初めまして、総長のジャック・ストロイヤーだ」
「初めまして、リエラ・ベルマンです。よろしくお願いします」
「君は今日から騎士団預かりとなる。寮があるので、そこに住んでもらう。
また仕事は、騎士団事務見習として、管理部で雑用係になる」
「管理部とは?」
「武器や防具の管理、遠征の準備、騎士団の事務など裏方全般を担当している。魔石を作れるんだったな?だったら、魔石に魔力を入れて貰うこともあるだろう。
そして、これは君が書いたメモで合っているか?」
出されたのはサリューさんから頼まれた魔石の大きさや属性、価格をまとめておいたものだ。
「はい、そうです。これが何か?」
「いや、よくまとまっているから、資料の作成もお願いしたい。しかし、こんな安い値段でよく引き受け…と今は関係ないな」
OLやっていたからね、資料の作成や整理は得意かも。でも、あのメモ、元の世界の文字で書いたんだけど、みんな読めたって事だよね?あ、でも図書館で私もこっちの本、読めたんだよなぁ、うーん、謎。
「君の属性は?」
「全部です」
「おー、それはすごいな。魔法研究所が欲しいだろうな。レベルは?」
すごい期待してる顔だけど
「全部レベル1です」
「そうか」と明らかにがっかりされた。
「君はまだ完全に疑いがはれた訳ではない。だから少し行動に制限がつく。騎士団の敷地内は自由に動いていいが、外に出る時は必ず団員と行動してくれ。敷地内でも立ち入り禁止の場所があるからそこには入らないように」
立ち入り禁止は気をつけよう。今は問題をおこしたくない。
「分かりました、よろしくお願いします」
「まだ盗賊団もギルド長も捕まっていないので、解決の目処がたつまでは単独行動はしないで欲しい」
要は監視をつけるから変な事するなって事だよね。まあ、外に行けるなら大丈夫。
リエラはその後、寮に案内して貰うために会議室を出た。部屋に案内してもらったら今度は食堂や共有スペースの説明があった。騎士団には女性の騎士さんもいるから女子寮があるけど、食堂とかは一緒のようだ。
部屋は思ったより広く使いやすそうだった。何より女子寮は、部屋にお風呂もあるのが嬉しい。
そして、最後に制服をもらった。事務員用の制服で騎士さんのとはちょっと違う。
明日から不安はあるけど、まあ、なるようになると自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
次の日は食堂まで管理部の人が迎えに来てくれて、騎士団事務所がある場所まで案内してくれた。私が見習いとして働く管理部は事務所の一画にあるそうだ。騎士団の敷地は広く、事務所は寮からは少し遠い。騎士団の人はもう練習している。
あ、町で見た騎士さんがたくさんいる。みんな頑張っているなぁ。
「ここが管理部です」
「ようこそ、管理部へ。私が管理部部長のリチャード・イテムです」
「リエラ・ベルマンです。今日からお世話になります。」
「あなたは全属性持ちと聞いていますが」
おーっと周りが騒がしくなる。
「はい、でもレベル1ですが…」
あーっとみんな残念そうな態度。うん、この反応も大分慣れてきたな。
「魔石に魔力を入れられると聞いていますので、手伝って貰えると助かります。騎士団は魔石をよく使うんですよ。後は書類整理と周りの片付けを…。仕事が忙しすぎてそこまで手が回らないんですよ」
確かにすごい事になっている、物があふれてる。
教育係はフレッドさんという1番若い事務員だ。
「まずは管理部の説明からするね。管理部は、武器課、防具課、遠征課、総務課の4つの課に分かれていてね、リエラさんが所属するのは総務課になる。総務課は更に2つの係に分かれているよ。
総務課の仕事は…幅が広すぎて説明できないから追々ね」
なんか大変そう。
「今日はこの辺りの片付けからお願いしたい。今忙しい時期だから、みんな出したら出しっぱなしで、欲しい資料探すのにも一苦労で」
うわ、本当にすごい。至る所にファイルと紙の山。
「棚を見るとどのファイルをしまうか分かると思う。分からないのは、誰でもいいから聞いて」
「分かりました。とりあえずやってみます」
ファイルと棚にラベルが貼ってあるおかげで元の場所に戻すのは難しくはなさそうだ。問題は、紙の山がどうやらファイルから抜かれた物らしいので、どのファイルに戻すのか。
あっという間にお昼になった。
フレッドさんが食堂に連れて行ってくれた。そこには他の総務の人も。
「全員じゃないけど、紹介するよ」
総務課長のリードンさん、ジョージさん、ケインさん、アデルさん。そして、チェルシーさん、女性事務員いた。仲良くなりたい。他にもいるけど、お休みだったり他の課に応援に行ってるらしい。
「アデルは魔石に魔力を入れられるからよく他の課の応援に行くんだ」
「アデルです。リエラさんが魔力入れられるって聞いて嬉しかったよ。討伐後とか本当に大変なんだ、よろしくね」
「ああ、あれは本当にすごいよな。出来なくてよかったと思う」
とケインさん。うわっ、そんなに大変なんだ。
「リエラさん、よろしくね。女の子増えて嬉しい。
今日はアイリーンお休みなので今度紹介するね」
「はい、よろしくお願いします」
先週から半端なく忙しくて、みんな声かけたくてもそれどころじゃなかったそうだ。やっと落ち着いたんだって。実は午前中ずっと1人だったから、歓迎されてないんじゃないかと不安だったんだ。
午後はみんな手伝ってくれて、分からない事もすぐ聞けたから片付けは順調に進んだ。
といっても、部屋全部を片付けるのはもう少し時間がかかりそうだ。
次の日は、チェルシーさんがアイリーンさんを紹介してくれて、お昼休憩も一緒に行った。2人とも優しい人ですぐ仲良くなれた。もう友達なんだから呼び捨てね、なんて言ってくれた。
そして、なんと。チェルシーさんは町でお世話になった第二騎士団のアーサーさんの婚約者だった。
「私、アーサーさんにはすごくお世話になりました、ありがとうございます」
「ふふ、それは本人に言ってね。リエラが騎士団に来るのは聞いていたけど、まさか同じ課になるなんてね、アーサーも驚いていたわ」
「私は女の子増えて嬉しい。今度、町案内してあげるね」とアイリーン。
「はい、ぜひ。楽しみです」




