第3話 町に騎士団が来る
今日、冒険者ギルドに行ったら、制服を着た騎士を何人か見かけた。
「ランカちゃんおはよう。制服着た人いるけど何かあったの?」
「リエラちゃんおはよう。王国騎士団の人なんだけど、ギルド長に話があるみたい。何かの調査で来たみたいでしばらくいるんだって」
「そうなんだ。何の調査だろうね。まあ、いいや、依頼お願い」
「はーい。じゃあ受付しました。気をつけて行ってきてね」
「うん、ありがとう。じゃあ行ってきます」
何があったのかよく分からないけど、まあ私には関係ないね。
あれから、1週間位たつけど、騎士団の人はまだ町にいて、ギルドにもよくいる。
「あの、最近サリューさん見ないのですが…」
今日の受付はアンナさんだ。
「ここ1週間位連絡がとれないの。家に行ってみたけどいないからみんなで心配してるの。ギルド長も全然来ないから誰も分からないのよ。サリューに何か用事だった?」
「あの…。実はサリューさんに魔石の買取を時々お願いしていたんですけど」
「あら、そうなの?私が代わりに買取するわよ」
「じゃあ、これなんですけど…」
と魔石を出した。サリューさんに会えなくて買取してもらえなかったから20個ある。
「ん?これは属性がある魔石ね。もしかして、リエラちゃん魔力入れられるの?」
「はい、そうなんです」
「すごいのね。それにしても全然知らなかったわ。
氷属性もあるのね、珍しい。これは、70ルーンね」
「サリューさん、氷属性も50ルーンでした」
「え?そんなはずは…。ちょっと待ってて、確認するから」と資料を確認してくれた。
「やっぱり氷属性は70ルーンよ。もしかしてサリューは属性関係なく50ルーンで買い取ってた?」
「はい。といっても、火と風と氷だけですが…」
「そうだったのね、ごめんなさい。氷属性の魔石は買取価格が違うのよ。サリューが間違えるはずないんだけど」
「何か勘違いしてたも。気にしないでください」
「本当にごめんなさいね。氷属性3個は70ルーン、
他は火が10個、風が7個。こっちは50ルーンね。いいかしら?」
「はい、お願いします」
冒険者ギルドを出たら、すぐに騎士団の人に声をかけられた。
「突然、声をかけて申し訳ありません。王国の第ニ騎士団所属のアーサーといいます。少しお話を聞かせていただきたいのですが」
そして、町の中央にある役所に連れて行かれた。
なんだろう、何かしたかな…。
騎士団の人が2人目の前にきた。制服が少し違う?
「こちらは第二騎士団のブラッカン団長です」
なるほど偉い人か。
「実は先ほどのギルドでの会話ですが、あなたは魔石に魔力を入れる事ができるのですか?」
「はい、できます」
「今までどんな魔石に魔力を入れましたか?」
「小さい魔石に火属性、風属性、氷属性を入れました」
サリューさんに頼まれた魔石は話した方がいいんだろうか。とりあえずは黙っておこうかな。
「ほう、氷属性もできるんですね。大きさは小さい物だけですか?もっと大きい物は?」
「あっ。い、いえ、ないです」
ちょうど考えていた所だったので怪しい態度になってしまった。
アーサーさんと私の会話を聞いていた団長は
「実は最近、王都で盗賊団が問題になっています。威力の高い武器や防具を持っていたようで、なかなか捕まえる事ができません。最近、この盗賊団の何人を捕まえたのですが、持っている武器に使われている魔石がかなり大きい物でした。それで調査を始めた所、この町の冒険者ギルドのギルド長と繋がりがあるという情報を掴んだのです」
もりかして…それって…
「あなたは何か知っているようだ。ぜひ話を聞かせて欲しい」
どうやら思いっきり顔に出てしまっていたようだ。
私が作った魔石が盗賊団に使われていたなら隠さない方がいいだろう。
「あの…。サリューさんという受付の人に頼まれて魔石に魔力を入れた事があります。特殊な人からの依頼なので内密にと言われました」
と、大きさや属性などメモを取っておいたので、それを見せた。
「これはいただいてもいいですか?」
「はい」
「この1番右の数字は?」
「買取価格です」
「えっ??」
2人ともすごく驚いている。
「何か問題がありますか?」
「安すぎます」とアーサーさん。
「この大きさなら、この5倍、いやもっと価値があるでしょう」
うわ、知らなかった。
「まあ、それは置いておくとして。恐らくこれらの魔石が盗賊団に渡った可能性は高そうです」
「私、何か罪になりますか?」
「それはまだ調査中なので何ともいえません。またお呼びするかと思いますので、その時はよろしくお願いします。では、今日はここまでで」
私は役所を出て家に帰った。
私の後をこっそりつけていた人がいる事にも気づかずに…。
その頃、サリューは、町ハズレのアパートにいた。
「リエラはまだ利用価値がある。なんとか連れて行きたいが…」
「ギルド長、もう無理です。リエラさんは諦めて逃げましょう」
「サリュー、ここまでリエラを連れてこれないか?お前ならリエラも言う事を聞くだろう」
「分かりました、やってみます」
夜になり、サリューはアパートを出て、リエラの部屋に向かった。
「リエラさんこんばんは」
「サリューさん、今までどこにいたんですか?みんな心配していましたよ」
「あのね、お願いがあるの。騎士団の所へ行きたいの。本当の事を話そうと思うんだけど、なかなか勇気が出なくて…。ついてきてくれない?」
多分魔石の事だよね。本当の事分かるかな。
「分かりました。私でよければ」
リエラはサリューと外に出た。
「役所はこっちですよ?」
「騎士団はこっちで野営しているのよ」
とサリューは町のハズレに向かった。
「サリューさん、結構ハズレまで来てるけど、まだ遠いんですか?」
心配になって聞いてみた。
「もう少しで着くわ」
その時、周りを囲まれた事に気づいた。
誰?と思ったその時
「サリュー・マランだな?」
とあっという間にサリューを捕まえた。
第二騎士団の人達だった。
次の日、第二騎士団にまた呼ばれた。
「あのサリューさんは?」
「最初は黙秘していましたが、ギルド長が逃げたと言ったら、正直に話してくれましたよ。ギルド長に連れてくるように言われたそうです」
「しかし、危なかったですね。監視をつけておいてよかったです」
「え?監視?」
「はい、あなたの話を聞いて、もしかしたらギルド長が接触してくるかもと考え、昨日騎士団を出る時に監視と護衛を兼ねて尾行をつけておいたんですよ
」
なるほど、全然気づかなかったけど。
「お陰で助かりました、ありがとうございます」
ギルド長は指名手配された。騎士団の調査はまだ続いていて、新しいギルド長は来たものの慌ただしい。
私も日常の生活に戻ってきた頃、また騎士団に呼ばれた。
ブラッカン団長とアーサーさんだ。
「今日来てもらったのはあなたに提案がありまして」
「提案?」
「はい、元ギルド長はまだ捕まっていませんので、あなたはまた狙われる可能性があります。
また、あなた自身知らなかった事とはいえ、実際にはあなたが関わった魔石が盗賊団に流れたのは事実なので、あなたを疑う声も上がっています」
「なので、あなたを騎士団預かりとしたいと思います。騎士団と一緒に来てはもらえませんか?」
「この町を離れたくないんですけど」
だって、友達もできて生活もなんとかできるようになってきてやっと楽しくなってきたのに
「盗賊団が捕まったら戻ってこれますよ」
「疑われてるって事はもしかして拒否権ないですか?」
「まあ、そういう事ですね」
こうして、私は騎士団預かりとなった。
1週間後、一部の団員を残して騎士団は王都に戻るので、その時に私も一緒に行く事になった。
今の薬屋の部屋はギルドで紹介してもらったので、ギルドに行き、受付のみんなにお別れを言った後、何か手続きがあるか聞いてみた。
「え?薬屋で部屋貸し出すなんて、そんな話聞いた事ないですよ」
「うん、それギルドは仲介してないんじゃない?」
「じゃあサリューさん個人がしてくれたって事?」
「うーん、ギルド通さずに勝手にやるのは規則違反になるんだよね」
「まあ、ギルドは通してないから、薬屋のおばあさんと話すればいいんじゃないかな」
「そんな事より、リエラちゃん必ず戻ってきてね」
「そうだよ、待ってるからね」
「あ、でも、王都にいる間に遊びに行ってもいい?」
「私も行きたい」
「ありがとう。遊びにくる時は連絡して。待ってるね」
出発の日、騎士団の人が薬屋に来てくれた。荷物を運ぶのを手伝ってくれるそうだ。薬屋のおばあちゃんも、寂しくなるねぇとプレゼントをくれた。
「それはお守りだよ、リエラちゃんを守ってくれるように」
「ありがとう、戻ってきた時に部屋空いてたらまた貸してくれる?」
「当たり前だよ、待ってるよ」
そして、リエラは騎士団の馬車に乗せてもらいこの町を出た。




