第2話 属性のついた魔石
そろそろ、こっちの世界に来て1ヶ月がたつ。初心者応援で借りている部屋もそろそろ出ないといけないなと思いながら冒険者ギルドに行ったら、サリューさんが話しかけてきた。
「そろそろ初心者応援でお貸ししている部屋の期限がきますが、アパート借りれそうですか?」
「安い所を探してみようと思っています。ただ、まだ厳しいなというのが本音です」
と正直に答えた。
「そうですよね。ランクがあがったらまた少し違うと思うんですけど・・・。
そうだ、薬屋のおばあちゃんがお手伝いしてくれる人捜しているんです。住み込みでもいいと言ってたので聞いてみましょうか?」
「そうですね、お願いします」
次の日、サリューさんが薬屋のおばあちゃんとの話を教えてくれた。
「薬屋の掃除を毎日して欲しいのと、週に1回店番を変わって欲しいそうです。それを手伝ってくれるなら部屋代はすごく安くしてくれるって。どうですか?」
確かにその値段なら貯金もできそう。手伝いもそんなに大変ではなさそうだから、依頼も受けられそうだ。
「よろしくお願いします」
薬屋のおばあちゃんは依頼で時々ある人なので、知っている人が来てくれて嬉しいと喜んでくれた。
部屋にはミニキッチンはあるがトイレとお風呂はないので薬屋のを使っていいそうだ。
お店も小さいお店なので時間はそんなにかからないだろう。いい物件が見つかってよかった。
最近はこちらの世界にも慣れてきた。薬屋の手伝いをしながら依頼も受けつつ、時々魔石も集める生活は順調だ。でも、相変わらず依頼は、薬草採集と荷物お届けばかり。魔物倒して素材集めというのもやってみたいがもう少し先かな。そして気づいたらEランクになった。
「リエラさん、おめでとうございます。Eランクになりました。相談したい事もあるので別の部屋に来てもらってもいいですか?」
とサリューさんに声をかけられた。
奥の個室に行くと、まず冒険者カードを出すように言われたので渡した。小さな機械にそれを置くと手を横のスペースに置く。カードが光ったら書き換え完了だ。カードの色が変わってた。ランク毎に色が違うらしい。
「リエラさん、相談というのはこれなんです」
と、魔石を見せられた。ビー玉位の大きさだ。
「これに火属性の魔力を入れる事はできますか?」
「こんな大きいのはやった事ないので…」
「何回かに分けて大丈夫なので挑戦していただけないでしょうか?報酬はちゃんとお渡しします」
「失敗したら私弁償できるほどお金ないのですが…」
「失敗しても大丈夫です。リエラさんには迷惑かけません」
「分かりました。お預かりします」
と、魔石を受け取った。
部屋に戻り、リエラは預かった魔石を出した。
失敗してもいいと言ってたから、とりあえずやってみようと手のひらで包む。そして、火属性をイメージしながら魔力を入れていく。でも、いつもならすぐ熱くなるのに今回は全然ならない。もう少し頑張ってみようかなと思ってすぐ、立ちくらみの時みたいな体がグラッとするような感覚に襲われた。リエラは慌てて魔力を入れるのをやめた。
多分これが本に書いてあった限界のサインかなとリエラは今日はゆっくり休む事に決めた。
次の日、リエラは体がだるいのに気付いた。昨日、魔力を使いすぎてしまったようだ。
仕方ない、今日は大人しくしていようと、薬屋の掃除を終わらせたら、のんびりと本を読んでいた。
でも、気になるのは魔力の事。昨日は家の中だったからよかったけどもし外で魔力を使いすぎて倒れたら大変だった。自分がどれ位魔力を使っても大丈夫なのか気になってしまい、のんびりとする気分じゃなくなってしまった。
なんとなく冒険者ギルドに行ってみたら、人がいなかったので、受付の人とおしゃべりする事にした。
受付の人はサリューさん含めて全部で4人いる。今日はランカちゃんとジルちゃん。2人とも18才で同じ年というのもあり、すぐ仲良くなった。アンナさんという少し年上の人もいるんだけど、出かけているらしい。
3人でお茶を飲んでいたら冒険者が入ってきたのでジルちゃんが対応に行った。どうやら魔石を買い取って欲しいようだ。
「これ、風の魔石なんだけどいくらで買い取ってくれる?」
「この大きさなら500ルーンですね」
「じゃあそれで頼む」
あれ?と思い、ランカちゃんに質問した。
「属性の入った魔石ってサリューさんしか許可証持ってないんじゃないの?」
「ギルドで働いている人はみんな持ってるよ」
「そうなんだ、じゃあ他のと勘違いしてるのかな」
「ギルドの人はみんな最初に取らないといけないんだ。それにしてもあの魔石結構大きいね、魔力入れるの大変だっただろうな」
「そうなんだ」
「大きさによっても属性によっても買取価格が違うのね。入れられる人はあまり多くないから、たまにしか買取対応しないけどね。あれより大きいと買取価格も一気に高くなるんだよ。まあ、滅多にないけど」
「受付って覚える事多そうだね」
「ほんと、そう」
ジルちゃんが戻ってきたので、お菓子の話になった。それにしてもサリューさんの話はなんだったんだろう。ちょっとモヤモヤが残った。
結局、預かった魔石に魔力を入れるのに1週間かかってしまった。最後はちゃんと熱くなったから大丈夫だと思うんだけど…。次の日に、冒険者ギルドに行ったら、サリューさんがいたので、依頼完了の報告を出しながら、「こないだ預かった魔石…」
「相談ですね、じゃあ別室でお伺いします」
と話を切られ、慌てて個室に案内された。
「リエラさん、すみません、あれは特殊な立場の方からの依頼なのでギルドでも一部の人しか知りません。なので今後は別室で対応します。他の職員には内密にお願いします」
「分かりました。これが預かってた魔石です」
「ちゃんと出来てますね。受け取ります。では、こちらが報酬です」
と500ルーン渡された。あれ、こないだジルちゃんが買い取っていた魔石はもう少し小さかったけど500ルーンだったと思い
「あの…」
と聞こうとしたら
「近いうちに魔石をお渡しできると思うので、その時はお願いしますね。では、今日はたてこんでいるので…」
と部屋を出ていってしまった。
色々と聞きたい事あったのに何も聞く事ができなかった。
それからは、時々、サリューさんから大きな魔石を預かっては魔力を入れた。火属性だけではなく、風属性や氷属性の事もあった。たまにピンポン玉位の時もあって、これは2週間位かかった。慣れてきたら、魔力の使いすぎで体調が悪くなる事も無くなった。なんとなくこれ以上使ったら危険っていう感覚が分かってきたからだ。
でも、個室で魔石を渡す時に、質問しようとすると急にバタバタと席をたってしまうサリューさんの態度にはモヤモヤする事が多い、最近は逃げられているような気がする。
今日は、採集の依頼で薬草を取りに行ったら、魔物が3匹いて、全部倒す事ができた。
家に帰って、3個の魔石を見ながら、何の属性にしようか考えていた。なんとなく手に取り、火にしようか風にしようか悩んでいたら、魔石が熱くなった。見たらマーブルっぽく見える。ん?火でも風でもないような…。なんだろう、なんか不思議な物ができてしまった。でも、サリューさんに相談するのもなぁと思い、なんとなくしまっておく事にした。残りの2個は風属性の魔力を入れたから今度買取してもらう予定だ。




