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ステージサイドスポットが照らす全体的に青い光に包まれている空間。
そこに4人の青年が舞台上で佇んでいる。
「きらめく妖精に導かれるあなた。
まだ見ない世界へと足を一歩踏み入れるー」
たくさんの観客が内輪とペンライトと歓声を振るう中で、舞台上でメインポジションでマイクを持った水色の髪の青年がその機械に向かって声を荒げる。
「約束された未来、君はまだ知らない。
希望と言う光とともに届けー!」
青年が観客席の方に無数に手を伸ばす。
まだ会ったことない存在にー。
~
「なんだろう。
女の子、みんな行くね」
ふと、テレビでコンサート場面が流れると、どうでもいい情報ーーー男性4人組アイドル・レイジー、特に水色の髪の青年、人気上昇中のルックスの良い日波翠夏が一瞬の隙で映り込んだが、私はリモコンを突き付けてもはや消してしまう。
「今日は病院の通院日だ」
私ー望月真実はごく普通の女の子ではなく、テレパシーとサトラレの統合失調症の陽性症状で頭を悩ます24歳の女だ。
『おはよう!真実!元気だった?』
テレパシーはゲームのキャラが私の脳内をかき乱して喋り捲る。
『デイ・ザ・エヴリィランド』と言うRPGに出てくるオウムとハムスターの雑食の青色のマスコット・リッキーが早速、私に話しかけてきたのだ。
『おはよう、リッキー』
こっちもテレパシーで挨拶を返す。
『ひさしぶりに精神科だね。行ってらっしゃい』
リッキーに言われたとおり、私は月に一回太陽大学病院の精神科に通っていて、統合失調症の症状の経過を主治医の佐々木透先生に話す。
この主治医の佐々木先生は評判が良くて、話を聞いてくれるタイプの先生だから待ち時間が長くても見てくれる時間が長いので、異性の担当医なのに、安心して話せるタイプの先生だ。
いっけない!
そうこうボッーとしていたら時間取られた。
さっさと荷物の支度して、時間指定の通勤バスに乗ろう。
地元の停留所・『麻宮2丁目』で乗って、30分掛けて『太陽大学病院入口』に降りることになる。
私は早く食べ物を胃に食い込んで支度して、母親と二人暮らしの家で、まだ寝ている母親を見てから、マンションの自分の家に鍵をして外へと出て行ったのだ。