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~夏目 香織~ 4

 放課後、俺は昨日と同じ道順を辿って屋上へと向かっていた。

 

 今日は昨日と違い、木下さんの姿は隣にない。


 木下さんは今日、学校を休んだ。


 昨日の今日なので、もしかして精神的な部分の問題で休んでいるかと思ったが、どうやらただの頭痛だそうだ。


 少し安心。


 屋上に通ずる扉を勢いよく開けると、案の定そこには夏目佳織の姿があった。




 ――裸の状態で。




「なっ! なにしてるんですか夏目さん!」



「あ、浦君? ――――気持ちいい」



「主語と述語の間が短すぎます! 今の言葉を誰かに聞かれたら確実に俺の人生めちゃくちゃになっちゃいますよ!」


 

 かろうじてうつ伏せの状態+パンツは履いていたので、魅力溢れる二つのダイナマイトは身を隠しており、下半身に潜むもう二つのダイナマイト二号も隠されている。



 で……でも、なんでこんな状態に?



 とりあえず変な誤解はされたくないので、後ろを振り向いてから服を着てもらえるように説得をしようと思……



「私に構わず続けていいわよ。醜男 隼人君」


 一番いて欲しくない人間がそこにはいた。


 なぜよりにもよってお前がここにいるんだよ雨沢怜!



「なぜって……ここが私の作った風ぞ――じゃなくて、「ミステリー研究会」の活動場所だからじゃない。部長が部室にきてなにが悪いの?」



「……」



 こいつだな。夏目さんをこんな格好にさせた犯人は。


 どうせこいつのことだから、ここで日光浴をすれば肌もキレイになって、告白がうまくなりやすくなるとか言って夏目さんをだまし、こんな哀れもない姿を見て、暇つぶしをしていたんだろう。



 とことん嫌な女だ。



「あ、あめじゃわさ~ん、とてもいいでしゅねこれ。わたし、にゃんだか変な気分ににゃってきました~」



 そんな日光浴を楽しんでいる場合じゃありませんよ夏目さん。というか……



 ――夏目さんの様子、なにかおかしくないか?



 今も現在進行形で後ろを向くことが許されない状況なので、姿まで確認することは出来ないが、明らかに様子がおかしい。


 普通の人間(幽霊だけど)は日光浴をしたくらいでここまで口調というか、雰囲気というか、そういうものって変わるものなのか?



「私なりに、彼女のことをいろいろと調べさせてもらったわ」



 俺の戸惑っている姿を苦笑しながら見ていた雨沢先輩が、唐突にそんなことを言ってきた。



「調べたって、片思いの相手をか?」



「そのことも含めていろいろと。やっぱり情報は多いに越したことはないわね。いろいろなことが分かったわ」



 それはありがたい。朝の手紙作戦が失敗に終わってしまい、次はどうすればいいか悩んでいたところだ。相手の情報などは多ければ多いほど、作戦も組み立てやすい。



「で、なにが分かったんだ?」



「――トムの情報によるとね、」



 またトムの登場かよ。トムっていったい何者なんだ?



「夏目さん……百合らしいの」




「……」



 ――――はい?



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