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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
46/49

♪46

 俺は部屋に戻ると、とりあえずSNSで作詞をしている人の詞を読んでいた。


「こんなんより、桜花の方が全然面白いじゃねぇか。」


探していくうちに、ここをこうしたらもっと良くなるとか、そんなのが見つかる。まだまだ自分が未熟なのも承知の上だが、気に食わないところばっかりだ。


 今まで書いた歌詞、60曲くらいをアプリを使って書き込む。当たり前だが最初の方はお世辞にもいい歌詞とは言えない。でも、そのままだ。桜花と歩んだ日々を思い出すようにそのまま書いていく。この歌詞のときこんな会話したなとか、全ての曲にそれぞれの思い出があって、懐かしく思えてくる。


 あの日々を全て書き起すことが出来るのなら俺はそうしただろう。毎日毎日、日記のように書いて、そしていつかの笑い話にしたんだろう。でも、残っているのはこの歌詞たちだけだ。


 スクショした歌詞をコメントと一緒に投稿する。誰かに見てもらいたいとかそんな欲じゃない。俺はただ、あの眩しかった日々を誰かに届けたいんだ。


『残すのも全部忘れて過ぎ去った日のこと

 揺れる心の端っこに宿った思いのこと


 このまま遠くまで連れ去ってくれたら

 鮮やかに思い出せるのかな

 巻き戻せやしなくてここまで生きてきた

 名前もない日常がまたここにひとつ


 守りたいからって 散々目を背けてきた

 まだまだ足りないって 傷を舐めてきた

 君を形づくるのは努力と夢と少しのエッセンス

 その残りは教えない



 消えるのを少し待って過ぎ去った日のこと

 見えたのが本当か嘘か知らなかった

 過ぎるのを少し待って夢見た日のこと

 そんなこと起こらないと嘆いた日のこと


 このまま遠くまで連れ去ってくれたら

 鮮やかに思い出せるのかな

 巻き戻せやしなくてここまで生きてきた

 名前もない日常がまたここにひとつ


 信じたいからって 散々嘘をついた

 まだまだこれからって 言い聞かせてきた

 僕を形づくるのは 罪悪感と少しのエッセンス

 その残りは教えない



 あの日のことを思い出す度

 心がギュっと締め付けられるんだ

 いつか笑い話にするはずだったのに

 今ではもうできなくなって


 僕の物語に 歌詞を貼り付けて

 記憶の奥底に ずっと残るように

 ラベルも付箋もタイトルも

 付けなくても見つけ出せるように

 あの日々を忘れない


 知らないことだって 散々目を背けてきた

 まだまだ守れないって そう信じてきた

 君を形づくるのは努力と夢と少しのエッセンス

 不純物は僕だけだけど

 そんな君を汚したい』

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