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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
4/49

♪4

 今でも夢に見る。あの日々を。


 小学校高学年になるまでだろうか。俺と桜花は友達がいるとか関係なく、ずっと遊んでいた。午後3時30分すぎに家に帰って、ちょっとしたらインターホンがなる。


『彪河あーそぼ!』

「いいよ!ちょっと待ってて!」


最近やっとまともに話せるようになってきた関西弁でそう答えて、表に出る。だいたいいつも桜花はどこかに隠れるのだが、慣れてくるとその場所も何となく分かるようになってきた。


 2人で遊ぶことといえばほとんど何もない。ただ、誰もいない桜花の家でゴロゴロして、お菓子を食べて、喋るだけ。俺はその頃から音楽を聴くのは好きだったので、最近知った曲とか、母さんが好きな曲とかの話で盛り上がっていることが多い。まぁ、その時は母さんのウォークマンを勝手に持ち出していたので、こっぴどく叱られる羽目になったのだが。もちろん桜花は後ろからケラケラと笑って見ているだけ。別にいいけどさ。


 今日は土曜日。小学校はもちろん休みなわけで、家の外から楽しそうな子供の声が聞こえてくる。その時にたまに聞こえてくる他の家のインターホンの音が、少し悲しく俺の脳内に響いていた。


『ピーンポーンってインターホンが鳴る

日が沈むまでの2時間が始まる

キーンコーンカンから30分

玄関から飛び出した


八重歯が少し顔を見せてる

無邪気に笑った顔が

いつまでも飽きない 放課後の

君との時間のスタートの合図


ケンケンパって繰り返す

ケンケンパってとりあえず

君の家のリビングでゴロゴロしようか?

ケンケンパって繰り返す

まだ止まらないこのリズム

ずっと被らないポテチ食べるリズム



ピーンポーンってインターホンが鳴る

今日はちょっと遅めなのかな

キーンコーンカンから30分

そのときから玄関にいたけど


大きな瞳が少し潤んでる

不思議に思った僕は

「どうしたの?」つて何も考えず

ただ率直にそう聞いてみた


ケンケンパって繰り返す

そんな感じに止まることなく

ホロホロと落ちる涙を拭いながら

単純だった僕は

何も分からなかったけれど

ずっと離れずに君のこと見ていた



ケンケンパって繰り返す

ピーンポーンからの日々を

ウズウズと待っている僕がいて

ケンケンパって繰り返す

今も続いてるリズム

ずっと離れない君と紡いだリズム』

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