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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
39/49

♪39

 少し考えたことがある。俺がこんな感じで引きこもらなかったら、桜花は死ぬことがなかったのかと。


 こんなこと本人に話したら「私が死んだこと自分のせいだと思ってんの?アホなん?私は不慮の事故で死んだの。彪河は関係ない。」って言われそう。だけど、俺が引きこもらなかったら桜花は毎週のように家に来るのかって言ったら、その答えは否に近いと思う。お互いに周りの目が気になって、少しずつ離れていくのがオチだろう。所詮は人間関係やもんな。


 事故後に聞いた話だと、下校途中に車に轢かれたらしい。見た人によれば、桜花は楽しげにフラフラと歩いていたところ、スピード違反をした車が突っ込んできたようだ。それが土曜日の出来事。


 もしも、この部屋に来るのを少しでも楽しみにしてくれていたなら、いや、そんな訳ないか。自意識過剰すぎたな。気持ち悪い。


 でも、俺が一緒に歩いていたら、桜花が死ぬことはなかっただろう。代わりに俺が死んでいたかもしれないけど、それでも、桜花を守ることができたはずだ。クラスからぼっちが1人消えただけ。たったそれだけになっていたはずだ。


 どこからか「そんな訳ないよ」って声が聞こえてきた気がする。きっと気のせいだ。


『たとえばの話 もし僕が

 こんなんじゃなかったら

 きっと君は世話を焼いてくれたり

 しなかっただろうに

 喧嘩もしたし 笑い合った

 あの日の本物と思っていたものは

 なんだったのかな

 分からないや


 揺れる世界の隙間の

 盤上の言葉


 「僕のせい」って思っていた

 ずっとそうだと信じたかった

 そうじゃなきゃ言い訳ができないから

 「僕のせい」って笑っていた

 傷は深ければ深いほど

 折り合いがつくから



 たとえばの話 もし君と

 出会っていなかったら

 きっとずっと関わらないままで

 過ごしていただろうに

 幼馴染ってそんな要素

 もしも持ち合わせていなかったとしたら

 会っていても

 関わったのかな


 揺れる世界の隙間の

 盤上の言葉


 「僕のせい」って分かっていた

 この世に生まれ堕ちたことが

 罪になってしまっていることを

 心のどこか信じていた

 傷は深ければ深いほど

 僕が救われるから



 こんなに会いたいと思ってしまう気持ち

 ダラダラと先延ばしにした決定

 こんなんじゃダメだと

 知っているはずだったのに

 ヘタレな俺の足が動いてくれない


 「僕のせい」って思っていた

 ずっとそうだと信じたかった

 そうじゃなきゃ言い訳ができないから

 「そうじゃない」って君が笑う

 その笑顔には救われてきたけど

 今回は許して』

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