俺の暇つぶし①
あれから数日が経った。
「彪河、学校行こ!」
「やなこった。」
「別にええやん、減るもんちゃうねんし。」
「もう辞める気やねんから。」
今日の授業のノートを写しながら、後ろのベッドに座る桜花と喋る。あれからというものの、俺たちは変わらない日常を過ごしていた。ただ1点を除いては。
「あの、桜花さんや。」
「なんじゃ?彪河さん。」
「書きにくいんですが。」
あれ以降、桜花は俺にくっついてくるようになった。今までは肩と肩が触れるか触れないかの距離だったのが、後ろから抱きつかれるようになった。
「勘違いしてもしょうがねぇぞ。」
「だから言ったやん。私の気持ち。じゃあ、私はアタックをやめる必要はないんだわ。」
桜花は腕の力を強めて、さらに俺を抱き寄せる。背中に感じる柔らかい感触は…あまり語らない方が良さげだな。
「あと、彪河になら勘違いされてもいいよ。」
耳から脳にかけてビリビリとした刺激が流れる。思考回路がショートしそうになりながら、どうにか舌を噛んで、耐えることに成功した。
『遠慮の無くなった君と
いつまでも言い訳ばかりの僕と
揺れた心にいつも嘘をついて
隠してるこの口と
どれだけ君を待たせたら
気が済むのだろう
立ち止まってばっかの1本の坂道を
ずっとずっと登り続けるだけ
感じ取った世界線と
綻んだ平行線で
2人の部屋を描くよ
交わらない2直線は
きっと僕らを大人にしてくれる
そう信じてた
神様だとか 運命だとか
真実の愛とかバカみたいだって
そう信じてきた
頭に刻み込まれた
身体に刻み込まれた
逃げてきた自分がバカみたいだった
どれだけ君を待たせたら
気が済むんだろう
看板の前で立ち止まったままさ
正解も間違いも知らずに
感じ取った世界線は
モノクロに包まれていて
2人の足跡を残すよ
交わらない平行線は
きっと僕らを合わせてくれる
そう信じていた
もう後悔はない
もう間違えない
もうこんな世界にはうんざりさ
もっと信じ合いたい
もっと壊してしまいたい
この歪んだ世界を平行線で』




