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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
3/49

♪3

 桜花が死んだ。唯一仲が良かった友達。最後に顔を見たのっていつだっけな。たしか、先週の日曜日か。いつも日曜日に来て、その1週間で習ったことを教えて貰っていた。自分の勉強もあるだろうに。


 今となっては、どうして桜花が俺に、こんなにも優しくしてくれるのか分からない。ただの隣の家の幼馴染なだけだし。


 そういえば、家で遊んだことがあっても、外で遊んだことは無かったな。1度でいいから、外で遊べたら…なんて思っても、もう遅いか。


 テーブルの上に置いてあるノート。まだ2曲しか書いていないけれど、俺にとっての最高傑作だ。見返すほどの量もないノートを見返すと、少し桜花といたような気分になれる。3ページ目を開いて、またペンを手に取った。


『暖かな日差しを感じて

 俺はそっと目を覚ました

 寝違えた首と肩を鳴らして

 俺は身体を起こした


 8チャンネルのニュースは8時半まで

 もうウダウダ もうグダグダ

 なんかしていられない


 日曜日が

 楽しみで 楽しみで

 もう何も考えられないからさ

 君と居て 暇なときは ないからさ

 言葉だけ 紡げずに

 後悔ばかりの日々さ

 早く日曜日になってくれないかな



 穏やかな眠りの先に

 辿り着くのはどこだろう?

 君が来るまであと1時間

 そろそろ起きないとな


 10チャンネルのニュースは週1

 もうウダウダ もうグダグダ

 なんかしていられない


 日曜日が

 嬉しくて 嬉しくて

 もうどうなってもいいからさ

 本当は 少しだけ 寂しくて

 涙はね 流さない

 虚しいだけの強がりも

 早く日曜日になってくれないかな



 忘れられないあの時の笑顔

 隠しきれないあの時の鼓動

 ドグラ・マグラになったあの俺に

 君は何を言ってくれる?


 日曜日が

 恋しくて 恋しくて

 少しおかしくなっちゃうほどに

 俺だけの 最高に 楽しかった日々

 週1で 訪れる

 忘れられない日々だから

 早く日曜日になってくれないかな』


書き終えた時にはもう空が赤く染まっていた。下校する小学生の声が聞こえてくる。俺にもこんな日々があったのだと思うと、少し懐かしい気持ちになる。毎日誰かといるってのは疲れるけど、程よい疲れで、気持ちいい。


 遠くの方からチャイムが聞こえてくる。この時間帯だと、俺たちが行っていた高校だろう。桜花がいなくなって、何か変化はあっただろうか。いや、うん100人いる中の1人が欠けたとて、あまり変わることはないか。


 また、あそこに行けたらなんて思わない。別に行く気もなけりゃ、そこに残してきた思い出もない。そんなもんだ、俺にとって学校なんて。


 ただ、日曜日が来てくれりゃ、それでいい。

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