表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
26/49

♪26

「もう半分過ぎたのか。」


俺はそう呟く。正確には半分とちょい。俺と桜花が完全に分断されるまでの時間だ。


 桜花が死んで3週間半が経った。初めこそそういう気持ちを押し殺さないとと思っていたが、今なら言える。


「会いたい」


そう気づいたのはつい最近。やっぱり、窓を開ければ会えた相手がいきなり居なくなるのは、悲しいし、寂しい。だから、会いたいという思いが積もっていって、俺にとって桜花は大切な存在なんだなと改めて気づいた。


 それでも、もう会えないのは分かってる。今は塞ぎ込んだまんまで外に出る気も失せてるし。でも、いつかはちゃんと行かないと行けないってのも分かってる。だから、今は自分の気持ちを整理しとかないと。


 いつも桜花が座っていた俺のベッドを見る。昔はここで駄弁っていたんだなと思うと懐かしい。


「早く区切りをつけないと。」


この胸の中に眠っている気持ちは何なのか。俺は桜花とどうなりたかったのか。そして、桜花に伝えたいことは何か。それを全部知らないと。


『この時間が続くと思ってた

 秋の風がそっと頬を撫でた

 通り過ぎた季節と時間だけが

 僕の心の傷を癒した


 きっとまだ受け入れられないんだろう

 気がつけば溢れてしまうんだろう

 でも君がいなくなった悲しさが

 僕の心を蝕んでくる


 会いたいと 思うことが

 君の救いになるのかい?

 答えはまだ出そうにないけど

 過ぎていく 秒針を

 傷つければ

 きっと 君が 溶ける



 まだ道のりは半分なのに

 手の届かないそんな気がした

 ずっと近くにいる気がするのに

 僕の心の傷をえぐった


 きっとまだ忘れきれないんだろう

 ずっと心の中に居座っているんだろう

 僕の隣にはいつもその姿が

 チラついてしまってどうしようもない


 忘れたいよ 君のことを

 僕の救いになるから

 そんな僕が歌う君への歌

 忘れたら 誰が君を

 想ってくれるの?

 ならば 僕が 溶ける



 君がいなくなって 僕の心には

 ぽっかりと穴が空いたようだ

 きっと君のことを思い出せたら

 僕の心は満たされるよ


 会いたいと 思うことで

 さらに遠くなって

 少し寂しく思うけれど

 廻る巡る 歯車を

 傷つければ

 きっと 君が 溶ける

 きっと 思い 溶ける』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ