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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
25/49

♪25

「遊んだ遊んだ〜!」

「普通に寒いんやけど。」

「ええやんええやん。」


遊んで、飯食って、遊んでってしていたらいつの間にか日が傾き始めていた。


「もうそろそろ帰らないと、やんな?」

「せやな。」


こいつと遊んでるのが楽しく思えてくる度に、このままいられたらなぁって思う。でも、そんなのは虚ろなことで、現実は本当に残酷だ。


「高校なったら私たちさ、多分今まで通りって訳にもいかんよね。」

「いや、俺は何時でもウェルカムやで。どーせ学校でも会えるんやし。」

「でも、2人きりって、そういう感じに思われるやん。なんか、ちょっと、恥ずい。」


珍しく恥ずかしそうな表情を見せる桜花。その顔が赤いのは夕陽のせいか。


 桜花は俺の肩にもたれかかって呟く。


「ねぇ、たまに遊ぼうね。」

「あぁ、たまに遊ぼうな。」


きっとたまになんかじゃ済まないのは分かってるけど、そういう約束をしておいた。


「あっつ!ねぇ、もう1回入っとこうよ。」

「桜花だけ入っとけ。電車近くなったら呼ぶわ。」

「はーい!」


桜花は水飛沫を上げて海に入っていく。俺は夕陽に照らされて笑っている彼女を見ているだけだった。


『時計じかけの恋は 風に紛れて

 浮いた言葉と共に 潮騒に消えた

 掴みたかったものは 遠く離れて

 知らない場所できっと 輝いてるだろう


 崩れ去っていく右腕と

 ネジが外れたこの頭が

 君の手を掴みたいと 云っている

 たとえばそれが0と1の

 単純なプログラムで出来ていたら

 僕は君の隣にいられるのかな


 運命ってやつは 驚く程に残酷で

 ほとんどのことは 諦めなくちゃいけなくて

 君が飛び込んでく 真っ直ぐに伸びた夕陽と

 上がる水飛沫を 僕はただ眺めてるだけ



 僕の初恋は 哀にまみれて

 過ぎた音符の雨 喧騒に消えた

 壊れた心は もう戻らなくて

 コロりと落ちるパーツを 拾わないんだろう


 汚れてしまった掌と

 錆び付いたままのこの身体

 君にはこんなの到底 見せれないけど

 たとえばそれに感情など

 なくてただの本能なら

 僕は君に素直になれるのかな


 覗いてみたら 欲望だけに実直で

 けれど普段は 偽りの仮面被っていて

 壊れてしまいそうな 君は真っ直ぐにこの僕に

 0と1だけじゃ まとまらない問いを投げかける



 人の感情は忘れちゃったし

 言葉にするのは難しいし

 ただこれだけで表せるなら

 たった2文字だけで表せるから


 壊れていく あまりに醜いこの姿

 こんな僕の どこを選んでくれたのかい?

 夕陽が沈む そして静かになる海に向かって

 君が残した その導を辿ってくそれだけ』

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