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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
23/49

♪23

「ねぇ、高校入ったら忙しくなるよね。」

「あぁ、そうだろうな。」

「どこか行かない?近場で。」


珍しく桜花が真剣な顔をしている。隣だから高校に入ってもこんな感じで会うことは出来ると思う。けど、外で遊べる機会は少なくなるかもしれない。今でも十分少ないが。


「いいぞ。どこにする?」


今は中学校を卒業して、高校の入学準備をしている期間。時間は十分すぎるほどある。


「本当は2人で色々行きたかったの。プールとか、海とか、キャンプとか。カラオケも行きたかったし、どこかの温泉街で食べ歩きもしたかった。」

「それはごめん。」

「だけどね、この日々も楽しかったから、1回だけでいいかなって。だから、海行こ。」

「この時期にか?」

「シーズンオフやから余計に、ね。」


少し寂しくて、でも優しい笑顔。桜花がこんな顔をするなんて珍しい。


 俺も少し外で遊んでみるのもいいかなって思っていた。でも、こんな感じだからなかなか言い出せなかった。多分、これから先も俺はこんな感じだ。部屋でグータラしたり、勉強したり、桜花が来たら相手して、そして寝る。ただそれだけの生活。そんな生活に、少しの青空が見えるとしたら…


「行こう。2人で行こう。」

「ほんとにいいの?」

「俺もちょっと行きたかったし。」


俺は今年1番の笑顔を桜花に向けた。


『季節外れの海に行こうよ

 照りつける太陽はないけど

 静かできっと気持ちいいから

 2人で行こうよ


 家族よりも

 長い時間を過ごしてきた

 君となら きっと笑える

 長い時間かけて紡いだ

 関係は きっと 離れない


 いつとか どことか

 なんで行くとか

 そんなんじゃなくてただ君となら

 曇った 空でも

 晴れるから

 いつもいつもずっと傍にいて欲しいんだよ



 季節外れの海に行こうよ

 我慢できない暑さとかないけど

 海の家も開いてないけど

 別に気にしないよ


 誰よりも

 いっぱい言葉交わしてきた

 君となら きっと笑える

 籠に入ったままの心は

 壊して 捨てて しなきゃだな


 意味とか わけとか

 そんなの知らない

 周りなんか気にせずにただ君となら

 曇った 心も

 晴れるから

 どんなときも槍が降っても傍にいるよ



 水平線に沈む夕陽

 砂浜に座った2人

 紅く染まった頬は切なく

 勘違いなんかしない

 だって幼馴染まんまがいいから…


 変わらぬ 思いは

 ずっと胸の中

 打ち明けちゃえば今のままじゃ無くなるから

 ほんとの 気持ちは

 全部忘れちゃって

 そんなことは気にせずにただ今だけは

 溶けてく 心を

 海に流し

 どんなときもずっと傍にいて欲しいんだ

 君のことをずっと傍で感じてたいんだ』

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