♪22
「桜花〜、お前はぼっちか〜?」
俺の隣でボリボリとポテチを食う桜花が少し心配になってきた。
「なんで?」
「お前がこの部屋に毎日来てるから。友達と遊ぶとかないんか?」
「大丈夫!休み時間は仲良くしてるし、帰りに遊びに誘われるけど、予定あるからって言ってるから。」
「その予定って?」
「こうしてること。」
ポリっとまた1枚。ついに袋が空になってしまった。
「あーあ。」
そう言いながら桜花は自分の指を舐める。つーっと伸びていく唾液。少しだけ赤らんだ頬と相まって、なんかエロかった。
「どしたの?」
「別に。なんでもない。」
そう言っても、桜花の機嫌が良くなったのが目に見えて分かる。そのことがなんかムカついた。
俺は頭を軽く殴る。
「痛ぁ。何すんの?」
「ちょっとムカついただけ。」
「私女子、彪河は男子。OK?」
「お前のことをそういう女子だとは思ってない。」
「うわぁ〜サイテー。傷つくわ〜。」
桜花は心にも思ってないことを言っているからか、棒読みだった。
「それはそうとして、お前、中間テスト大丈夫なんか?」
「………」
「よぉーし、教科書を開けぇ。」
「…………」
桜花は本当に嫌なのか、無言で俺の目を見つめてくる。『うるうる』って効果音がつきそうな上に、しっかり上目遣いを欠かさない。そういうことを自然にやっているから、桜花だなと思った。
『君の吸い込んだ空気が
なんだか心地よく思えて
言葉にしたら恥ずかしくなる
感情に襲われる
君が隣にいることが
だんだん当たり前になって
嫌な1つしなくなってさ
昔とは違う距離で
気まずくなるのもまた一興さ
すぐに戻れると分かってるから
同じところで笑い合えば
ほら、あったかくなってくる
君がずっと僕といるからさ
だんだん心配になってきたんだ
だんだん不安になってきたんだ
僕に構ってばっかで
自分のこと犠牲に
なってやしないかな?
君がくつろぐ僕の部屋
なんだか風景になっていて
夢ならどうか覚めないでと
思っては忘れてる
気まずくなるのもまた一興さ
すぐに元通りにいつもなれるから
時間過ぎて言葉交わす
ほら、心地よくなってくる
君がずっと僕といるからさ
だんだん心配になってきたんだ
だんだん不安になってきたんだ
僕に構ってばっかで
自分のこと犠牲に
なってやしないかな?
いつもの部屋 いつもの場所
いつもの陣地は
誰にも踏ませやしない 僕だけの場所
君がいなくても ずっとそこは
空席のままで
ほら、今も
君がずっと僕といるからさ
だんだん心配になってきたんだ
だんだん不安になってきたんだ
僕に構ってばっかで
自分のこと犠牲に
なってやしないかな?』




