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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
20/49

♪20

 もしもこの日々が折り鶴のように、開いたら何倍になるものなら…なんて何回も考えた。


「彪河?どしたん?難しい顔して。」

「ん?何も。」


本当に桜花って隙だらけよな。今もずっと俺に抱きついているし。俺はこいつのぬいぐるみになった覚えはないんだが。


「桜花、俺以外にはそういうことするなよ。」

「『俺以外には』って、そんなベタな彼氏台詞吐けるな。」

「悪かったか?」

「別に。」


焦ったーーーーーーーー!自然とそんな台詞が零れていたなんて。こんな無防備な桜花が悪いんだが、俺も俺で変な気分になっていた。だって今もブラウスの隙間から…ってどこ見てんだよ俺!


「でも、心配してくれてありがとね。ご褒美にもうちょっとサービスしてあげようかな?」


桜花は俺の腕を自分の胸に挟むようにしてスリスリし始める。


「そういうところだ。」

「いでっ!」


俺は桜花の額に軽くデコピンして、腕を引き抜く。こんな時も反応できる俺の俺が羨ましい。


「むぅ〜、つれないな〜。」

「俺の理性くんが頑張ってくれてるからな。それなりには。」

「ふ〜ん。『それなりには』か。」

「何か問題でも?」

「んーん。元気だねって。」


元気ですみませんでした。


『甘い匂いは全部君のせい

 甘い言葉は全部僕のせい

 いつの日にか消えた思いも

 言葉にしちゃえば楽だったのかな?


 ずっと

 選び続けてきた

 何かを諦めて大人になった

 続きのない言葉は少しだけ

 焦げたカラメルのような匂いがした


 傷つかないよ

 どんなに自分に嘘ついてても

 会いたいと思えることを

 噛み締めて

 僕は今日を歩んでいく



 曖昧なままなのは僕のせい

 言葉を濁したそんな僕のせい

 いつまでもずっと続けばいいと

 そんなのって虚ろなことだったのかな?


 ずっと

 選び続けてきた

 何かを忘れて大人になった

 渇いた愛、記憶は少しだけ

 溶けたカラメルのような匂いがした


 怖がらないよ

 どんなに君が忘れそうでも

 僕がちゃんと覚えてることを

 忘れないで

 僕は今日を進んでく



 見上げたものは何?

 流したものは何?

 初めて感情を知ったAIじゃないんだからさ


 変わらないよ

 どんなに君が離れてっても

 僕と過ごしたあの夏の日々を

 思い出して

 僕は今日が好きだから


 止まらないよ

 苦しくてはち切れそうな心は

 君のところへ進んでくのさ

 重なった

 手のひらがかざすその先

 君の待つあの大空へ』

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