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俺の君への鎮魂歌  作者: 136君
15/49

♪15

 最近、思い出したことがある。


 ここ1年くらいだろうか、桜花が俺を見る時の目が変わった。俺は性格ゆえか、人の視線に敏感だ。視線には匂いを感じる。道行くカップルや、一緒に登下校してる近所の小学生からは甘い匂いがするし、喧嘩している小学生からは寂しい匂いがする。この1年くらいの桜花の視線からは甘い匂いがしていた。俺はそれを見て見ぬふりしていた。それが本当に俺に向けられたものは信じられなかったから。まったく、都合のいい頭だ。


『その唇の向こう側に響くのは何?

その笑顔の向こう側に笑ってるのは誰?



遥か遠く見える雲はこんなにも

掴めそうなのに 逃げていくから

遥か遠く忘れていた思い出と言う

雨を降らしてく


最終列車には間に合ったよね

傘はここにあるけれど

泣き腫らした君の顔が過ぎってく

笑って 笑って 笑って


強がりで 泣き虫な 君のことを

ずっと隣で見てきた

その呼吸が その鼓動が 止まる時だけ

僕は目を逸らしてた



遥か遠く見える空はこんなにも

掴めそうなのに 暗くなるから

手の届きそうな桜の花でさえ

見えなくなってしまう


咲き誇る頃の煌めきと

散っていく頃の寂しさが

泣き腫らした君の顔を隠していく

笑って 笑って 笑って


嘘つきで 怖がりな 僕のことを

ずっと見ていてくれた

その呼吸が その鼓動が 止まる時に

目に映ってたのは誰?



ずっと感じていた その視線に

僕は答えられなかった

目から分かるメッセージ

感じていた

365日 ずっと知っていた

笑って 笑って 笑ってよ


弱いままの僕に 幻滅するだろう

だから見せられない

その時間に その気持ちに 僕にかける

そんなのもったいないから

強がりで 泣き虫な 君のことを

ずっと知っているから

今だけは これからも 迷わずいたい

ずっと友達だよ』


俺は見ないふりをして、俺たちは友達のままだった。

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