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31.ドキドキハラハラダブルデート!?⑫ところでデートは?

ウマ回ラストです!

答え合わせは後書きにて!




 キャロル先輩達と別れてリングベイル家の厩舎へと向かう。

かっぽかっぽと響くナギサの足音が耳に心地良い。


 しかし今日はホントによく森の中を歩くなあ。

小道もきれいに整地されているので歩きやすいし本当に森林浴って感じ。


 でも私はこうして森の中を歩くぐらいしかしていないので全然元気だけれど、ロイド先輩はずっと馬に乗っていたし、キャロル先輩も長時間魔法を使い続けて消耗しているはずだ。

ガチでお疲れだと思うな。明日から普通に授業だけれど大丈夫かな。


「少し広場の様子でも見ていくか?」

「え?」


 モブAが木々の向こう側、屋台などが並ぶエリアを指差した。ちょうど目の前の分かれ道を辿れば着くらしい。案内板が立っている。

 そういえば今までなんやかんやあり過ぎてお祭り気分は全く堪能していないけれど、露店や屋台の様子なんかももちょっと見たい。


「見たいです!」

「そうか、じゃあシロホシ先に行ってくれ。俺たちは少し寄り道していくから」

「わかりやした! 坊ちゃん」


 ナギサを引いていたシロホシさんはそう言って先に厩舎へと戻って行った。

 リングベイル家の使用人の方って基本的にこのテンションなんだね。


「そういえば、お前ミラージュ様に随分と気に入られていたみたいだけど何かあったのか」


 会場へと向かう道すがら、モブAが二手に分かれていた時のことを訪ねてきた。

 そういえばその辺の情報共有とかってしてなかったね。いろいろと慌ただしくて。


「男兄弟しかいないので妹が羨ましいみたいなことをおっしゃっていましたけれど、でもそれを言うならばモ…ロバート様の方が気に入られていませんか?」


 馬好き同士、話も弾んでいたではないか。次は冬とか言っていたし、たぶん今度ナギサに乗せてほしいとかって言ってくるよあの人。


「う…それもそうか」

「ミラージュ様って気さくな方ですね」


 気さくというかなんというか、ほら天然素材だから。

 普通の貴族は初対面の伯爵令嬢の頭とか撫でたりしないと思う。

 その辺のことはあえて言葉にはしないけれど、モブAも頷いているので伝わっているなこれ。


「そういえば、治療している時の話とか詳しく聞いていなかったがどうやって切り抜けたんだ?」


 あー、その辺聞いてきちゃうか~。

たしかにディーノさんの説明ではあれ以上打つ手なし、みたいな膠着状態だったもんな。


「ええと、治療に専念して動けない二人に代わって、わたくしがお屋敷内で見つけた魔力増強アイテムを使ってキャロル先輩の魔力を増強したのです」

「そうか、大変だったな」

「はい」


 うん、間違ってないよね。

 私がステータスを見えるってこと、キャロル先輩やミラージュ様はうっすら気づいたかもしれないけれど、その辺はなんとかごまかせると思う。



「そちらはどうだったんですの?」


 ロイド先輩の特訓の方も私は完全にノータッチだったから何していたのかは全く知らない。猛特訓、とは聞いていたけれどまさかタイヤを引いたりとかするわけないし(私の特訓のイメージがやばい)。


「…ああ、そうだな。ロイドは基本的に技術はほぼ問題なかったから、簡単な騎乗姿勢の修正と、競り合い、追い込みの経験とかをやっていた」

「へえ…、それって一朝一夕でできるものなんです?」

「普通はできないだろ。ロイドの身体能力がずば抜けていたから何とかなったようなものだ」


 運転免許は持っているけれど、路上を走ったことない人が突然都内で首都高走るみたいなものかなあ、超怖い。


「さすがのロイドもレース本番はしんどかったみたいだがな」

「それはそうでしょう…」


 くそ度胸が必要そうだ。私には絶対にできない。


「ううう、イーズデイル家って手強い…」


 やっぱりお兄様のライバルはくそ凄い。

 今回の件でお兄様はだいぶ差を付けられてしまった気がする。

でも私がここにいたことで私とキャロル先輩の親密度はめっちゃ上がってる気がするけれどね。



 迷路のように並ぶ立木が途切れると、そこには普通のお祭り会場があった。

立ち並ぶ屋台に露店、のぼり旗にバルーン。どこかで演奏をしているのか音楽も流れている。


あ、予想外!! 普通!!!


 最初からこっちにくれば、そこそこデートっぽかったんじゃないか?ってくらい普通にお祭り会場です。


「そうだ、ふれあい広場!」

「……閉まっているな」


う…がっかり。

だよね、最終レースも終わってるし、もう後はお土産買って帰るだけだもんね。

 良い香りのする屋台はとても魅力的だけれど、これからお夕飯をおごりでいただくことになっているのだから食べない方がいいよねえ。馬の形をしたクッキーやパンなんかも可愛いけれど、今はいらないかなあ…お兄様が作った方が美味しいし。

 あ、今日ここに来ていることはお兄様には内緒なのでお土産も無しです。


「あ、かわいい」


 アクセサリーと雑貨の店。馬や馬具・蹄鉄などの柄がモチーフに使われている。どことなく馬好きさんのお店って感じがする。

 リボンにバレッタ、ペンダントにチョーカー。ちょいとお値段は張るけれど、どれもこれも一点ものって感じのデザインだ。正直ちょっと欲しい。


「どれが欲しい? 買ってやる」

「えっ! そんな、悪いですよ」


 お昼だってごちそうになったのに、お土産まで買ってもらっちゃ悪い。私だってお財布持ってきているんだし。


「トレードマークが無くなってるからな」

「ん?」


 そう言ってモブAが指さしたのは私の頭…。

 あーーー、そうだリボン!!


 そういえば、キャロル先輩の髪をしばった時に外したままだ、忘れてた。

 縛ったゴムはそのままなので自慢の縦ロールは健在なのだけれども。


「無いとなんだか物足りないし、いつもより小さく見えるしな」

「一言余計じゃありませんか?」


 リボンの分だけ丈が足らんという現実を突きつけないでほしい。


「りんごのお返しだ」

「りんご…」


 そういや、パティにあげる分は半分以上モブAが食べちゃったんだっけ…。

 ふむ。りんごのお返しというのならパティにあげるべきだとは思ったりしたけれども、そういうことなら一つ買ってもらっちゃおう。今日の記念にもなるしね。


 どれにしようかな…。

 あらためてお店のラインナップを見るとリボンもいいけど、バレッタもいいなあ。


「じゃあ、これ!」


 ブラウン生地にセンターに太い白のラインが入ったリボン型のバレッタを手に取った。リボンの結び目の所に金色の…なんだろうこれ、ハミ? の飾りが付いたシンプルなデザイン。


「それでいいのか?」

「はい!」

「いつものやつと色が違うがいいのか?」

「いいのです! 今日はこれがいい!」


 笑顔できっぱりと断言する私にモブAは怪訝な顔をしつつ、お店の人に声を掛けて購入する。

ふふふ、いつもリボンは瞳の色に合わせて紫を選ぶことが多いわたくしですが、うん、ブラウンもけっこう似合うじゃない。


 店に備え付けてあった鏡を見ながらいつもの場所にリボン型のバレッタを装着した。


「どうです?」

「ん、いいんじゃないか?」

「何か気づきません?」

「うん?」


 首を傾げるモブAに私はドヤ顔で答えた。


「ナギサとお揃いです!」


 ドヤ!

 なぜなら、わたくしナギサチームなので!

 何とお揃いかって? えへん! 勝負服とですよ! 小豆色の生地に白のライン!


 目を丸くするモブA。ふふん、その様子だと気づいてなかったな!

 モブAのビックリ顔に満足する私。

推しのカラーを身に着けるのはオタクの習性だからね。


「でも残念、このリボンを付けてレースを観戦すればよかったかしら」


 また次回応援に来ることがあったらこのバレッタを身に着けてこようかな。冬にも大きなレースがあるというし…。


「…お前、そういうとこ天然だよな…」

「??どういう意味です??」


「プレゼントを贈り甲斐がある、って話」

「うん?…それなら良かったです??」


 まあ、喜んでくれるなら良かったかな?

 モブAも今日は予定外の事がたくさんあっただろうから、何かあげたほうがいいかな~とも思ったけど食べ物しか思いつかなかったのでやめた。


 そして、どうやらそのリボンの効果は絶大だったようで、リングベイル家の厩舎に行くと皆さん感激して盛大に喜ばれた。帰り際にご挨拶したモブAのお父様には『なんてよく出来た嫁』とまで称賛された。嫁じゃないですけれど。

 ダブルデートという名目で本日付き合ってもらっている以上、あまり強く訂正できないのがつらいところ。

 リボン1つでそんなに感激していただいて、正直こちらが困惑するレベル。

 みなさん褒め過ぎです。でもありがとうございます。金の出所はリングベイル家のお財布ですけれどね?


 しかし、こんなに皆さんが喜んでいるところを見ると、実はモブAも見た目以上に喜んでいるんだろうか。全然顔に出ないからよく分からないけれど。


 ちなみに三度目の正直でナギサには上手にりんごを上げられました。

飼い桶の上であげるのがファイナルアンサー。こぼれたリンゴジュースも最後はきれいにちゃぷちゃぷ飲んでましたね。

せっかく持ってきたキャベツは出番が無かったので、トビーさん、ラックさん、テッパンさん、シロホシさんの夕飯の材料になりました。

ふれあい広場でPUIPUIしたかったなー!!!


 関係者の皆さんとお馬さんたちはここに宿泊して、明日自分の領地に徒歩でお帰りになるんだって。『馬が徒歩で』ってなんか変な感じだけれど、輸送トラックとか無いもんね。馬が馬車に乗るわけはないし、むしろ馬が交通の主役だ。

物凄く遠い領地の人は、競馬場を離れて一番近い【魔道の小道】を利用してお馬さんごとお帰りになるんだとか。



 そしてキャロル先輩達と待ち合わせ後、ミラージュ様の奢りで夕食を取って普通に学園へ帰還しました。


 イーズデイル家がよく利用するレストランを利用させてもらったんだけど、お料理の他にお土産もいただいて帰りました。ミラージュ様ゴチになります!


 ほんと色々あったなあ今日。

 結果としてはけっこう楽しかった、かな?


 …ところでダブルデートの概念って、なんだっけね。





****





ということで、予想以上に長くなったデート回(ウマ回)

読んでいただきありがとうございました!

普通にデートするはずだったのにどうしてこうなった。

あの、個人的に大好きを詰め込んだらこうなったのですが、面白く書けたか自信が無いので面白かったらこっそり教えてくださるとうれしいです。


感想とか、評価とかぜひお願いします!!!




ここでネタばらし&答え合わせ!


名前のモデルになったお馬さんたちです!


ナギサ = オオシマナギサ

イワシーミス = マチカネイワシミズ

シズオ =  サンデーサイレンス

ミホノチャンプ =ミホノブルボン

ハルホマレ = ハルウララ

ウミサチヒコ = ビワハヤヒデ

スカイシップ = ゴールドシップ


最近ウマ娘の影響でついったーに流れてくる情報だけで楽しんでましたがゴルシが可愛くて名前だけ採用しちゃいました!

(ゴルシ勝ち方と脚質が合ってなくてとてもギリギリしたけれど許してほしい)



そして書き溜めたもの全部出し切ったのでしばし更新が空きます。

またよろしくお願いします!


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せっかく学園に在籍している間は自由にして差し上げようと思っていましたのに、わたくしに嚙みつくなんてお行儀の悪い。
よろしい、ならば調教です。

二度と歯向かう気が起こらないよう1日で後悔させて差し上げましょう!

挿絵(By みてみん)



ご覧いただきありがとうございます!
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― 新着の感想 ―
[良い点] PUIPUIは汎用表現だった……?(※錯乱
[一言] あま〜い! バレッタプレゼントのくだりキュンとしちゃいました! 今までで一番の胸キュンかも! モブAも絶対キュンとしたはず! 次のお話しも楽しみにしてます(*´ω`*)
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