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12.やっつけ作戦タイム!其の1



 ひとまずお兄様のクラス、2-Aに戻ってきました。

 道すがらに話しても良かったんだけど、廊下だとちょっと人の目があったので。

 あと私が萌えすぎていてIQ5だったのでダメです。


私たちは円座を組むようにして着席した。

作戦会議のはじまりです。

1対3の対面方式では無いだけましかな…。教室が無人で良かった。


「さて。で、どういう流れで生徒会室に連れていかれたんだ?」

「え~と…」


 そこやっぱり聞かれるかぁ。さて何をどうやって説明したものか。

『窓から、校舎を見ていたら不審者と間違われました』って、そんな説明できないからね??


「あの、まず…その、アルフレート先輩がわたくしと話したいとおっしゃったので、生徒会室に招待されました…」


 大筋の流れはそうだったはず。そのために不審者かどうかチェックが必要とかで尋問されたんだから…中身としては間違ってない。うん。

 招待というか、拘束されて連行って感じだったけど。


「そんな理由であんなに派手に連れて行かれたりするか?」


 うん、まあしませんよね…普通は。

 ん? ていうか派手に??


「ええと、わたくしが逃げようという素振りを見せていたからかも…」


 何せ最初は逃げ道を塞いでの尋問形式だったからな。あれはビビった。私にテレポーテーションの能力があったら秒で逃げてた。


「なんだそれ、無理やり連れていかれたのか?」

「えと、力づくとかではありませんけれど、まあ…」


 私の答えにお兄様がむっとした顔になる。


 ごめんなさい。だからその辺ぼかしたのに。

同意はあったような無かったような…? いえ、私が王子のロイヤルスマイルのプレッシャーに負けたのです。

でもお兄様は普段からあんな感じでバチバチやりあってるのだとしたら、私の行動はちょっと不甲斐なかったかもしれない。

今度から気を付けよう! 

 ていうか、さっきちょっと聞き捨てならない単語があったよね、派手とは?


「もしかして目立っていました?」


 あの空き教室から生徒会室まで、距離的にはそんなに遠くもなかったはずだけれど、なんとなく周りの生徒の視線が痛かったことは覚えている。


「僕は見ていなかったけれど、ロバートが目撃して、それで僕に教えてくれた」


 ロバート? って誰だっけ。あ、モブAの事か。


「もの凄い目立ってたぞ」


 思い出すのも嫌そうな顔でモブAが話す。


「まるで大捕り物のようだった」

「ぼくも見ました。まるで罪人を連行するみたいでした。縄が無いだけの違いかなって」


 モブAのコメントにモブBが補足する。


 やっぱりか! 私の認識は間違ってなかった! あれは完全に罪人の連行だったよ! 全然トキメキポイントとか無かったもん。

しかも目立ってたなんて最悪…。明日から変な噂がたったらどうしよう。

 できる限り目立たず穏便にストーカー行為を遂行しなくてはいけないのに!


「『妹』が何かやらかしたのかと思った」

「まあ!」


 しないよ! 失礼だな! 私は礼節のあるオタクですぅ。

 モブAの軽口に脳内で反論する。

 ホホホ、わたくし伯爵令嬢ですもの初対面の殿方にいきなり食って掛かったりしませんことよ。ちゃんとロゼッタが身につけた貴族としての教養がありますから。


 わたくしの令嬢としての完璧な振る舞いにモブAは嫌味ったらしく笑った。

 ムカつく~!!

 お兄様の事を探っていたのは内緒なんですから、もちろん私たちは初対面ですよね。


 …合わせてお願い。



「そういえば紹介してなかったな、僕の級友のロバートとクリスだ。お前を救出するのに協力してくれたんだ。お礼を言いなさい」


 そう言ってお兄様は私にモブAとBを紹介してくれた。

 助かった! ありがとうお兄様! 初対面のふりは難しかったの。

 …あとモブBの名前初めて知った。


「申し遅れました。わたくしジーク・イオリスの妹で、ロゼッタ・イオリスと申します。お助けいただきありがとうございました!」


 表面だけは優雅に美しく、わたくしはモブAとBにお礼と自己紹介をした。


「ああ」

「どういたしまして」


 初めましてではないけどね。

 モブAもモブBもお兄様の件でお世話になっております。

 『ジーク・イオリス大好き同盟の仲間』のお仲間ですし、もちろん合わせてくれますよね、と笑顔でプレッシャーをかけておく。


…大丈夫、ちゃんと通じた。

二人ともそこはかとなく目線を逸らしているけど。


「困っていたので大変助かりました」


 そうなのよ、本題はこっち。


「それにロゼッタを生徒会役員にスカウトって本当か?」

「…それなんですけれど、どうも本当のことみたいで」

「『妹』をスカウトだって?」

「正気ですか?」


 お兄様と私の答弁にモブAとモブBが驚く。

 モブBさっきからちょっとコメントが辛口だなおい。


「なんでもわたくしのリサーチ能力に注目しているとか。あと度胸と行動力」

「リサーチ?」

「度胸」

「行動力」


 怪訝な顔をするお兄様と、そこはかとなく納得顔のモブAとB。

 そこは納得しちゃう流れなの? 


「なんでわたくしに興味を示されたのかは分かりませんけれど」


 歓迎会の時はともかく、それ以外では表だって目立った行動はしていないのに。

 大鍋事件の時だって私は何もしないで見ていただけなのに。


「それはお前が目立つからだよ」

「目立つ?」


 モブAに当たり前の様に断言された。なんで?? 

 意味が分からないと怪訝な表情の私とお兄様に反してモブAとモブBは二人して納得の顔。ちょっとどういうことなのかしら。


「『妹』は目的の相手からだけ身を隠してるだろ、後ろからだと丸見えなんだよ」

「え!?」

「なんていうか、存在からして目立っているんですよね、全然隠れてないというか」

「存在が目立つ!?!?」


 どういうこと??? 存在が目立つって悪口かどうかギリギリじゃない???


「わたくし、普段から目立っていますかしら?」

「目立つな」

「目立ちます」


 なんで!?


「ロゼッタが可愛いから目立ってるってことか?」


 お兄様がとんちんかんな相槌を打つ。

 はいありがとうございます! 兄バカいただきました!!


「【私は誰かを見てます】っていう姿がバレバレ」

「むしろ、身を隠すつもりが全くない【潔い変な人】というか」


 二人はお兄様のシスコン発言に慣れているのか完全スルー。見事。

 そして気付いた。モブBこいつ純朴そうな顔してるくせに毒舌だな。

 

 ていうか、バレバレってなにそれ恥ずかしい!

 頭隠して尻隠さずだったってこと?? やだー! 私ストーカーできてるじゃん! なんてうぬぼれてました! 全然できてなかった! 現代だったら通報されてる! だって素人だもん!!


 過去の悦に入った尾行を思い返しては頭を抱える。

 うーーーん、でもそうか、それで目を付けられたのか~。

 別に特にアルフレート王子を見張っていたわけでは無かったんだけど、あの周辺に付きまとっていたら周りからはそう見えるよね。

 王子じゃなくて『お付きの二人を見てたんです』とか言ったところでアウトだし。


(うーーーん)


それなら作戦を変えないといけない。

度毎度不審者扱いされてはたまらないもの。


 …となるとやっぱりストーカー作戦より公的に攻略メンバーに近づける生徒会役員の方が動きやすい、かも、しれない。

 あんまり自由時間を減らしたくは無いのだけれど、仕方ない。


「お兄様は、わたくしが生徒会に入ったら困りますか?」

「ん? ロゼッタは生徒会役員という仕事をやってみたいのか?」

「そうですね…、はい。少し興味はあります」


 嘘だけど。

 業務内容というよりは、生徒会メンバーの恋の行方に興味100%!

 仕事はついで。でもまあ社会人スキルがあるし、なんとかなるでしょ。

 ロゼッタの将来の為の経歴にも悪いわけでは無いし。


「そうか…。であれば僕はお前を応援するよ。良い経験にもなるし、将来の為にもなると思う。ただ、アルフレートに良いように使われるのはダメだ」


 なるほどなるほど。お兄様の意見はやはりそこに帰結するのね。

散々公式で『身の程知らずにも』なんて揶揄されているけれど、お兄様の譲れない一線なのだわ。


「あいつはだめだ。上手いこと言って思い通りにするのが得意なやつだからな」

「気を付けます」

「仕事や業務に関することなら仕方が無いが、個人的な交友はお勧めしない」

「もちろんですわ」


 あれだけ生徒会と敵対した構図を作り出したのに、私の希望であればさっと切り替えてくれるその心意気が素敵。


「わたくしにとってはお兄様が一番ですから、アルフレート王子に何を言われても全部お断りします」


 無いとは思うけれども、お食事とか、デートのお誘いがあってもお断りします。

 そんな無駄に気を遣う事とかしている暇ないもの。時間が勿体ない。


「なら、いいか」

「早ぇな!」


 あっさりと許可が下りる。

 モブAのナイスなツッコミが場の空気を代表してくれました。お兄様は良いツッコミをお持ちですね。


「むしろ逆にあちらをスパイしてお兄様が欲しい情報をゲットしてきますわ」

「うーん、特に欲しい情報は無いけれど、その時は頼むよ」

「守秘義務は守っとけよ」


 お兄様ったら! 生徒会は恋の情報網の大本丸ですよ!!

 必要ない情報なんて1ミリもありません!

 わたくししっかり調べてきますので!! 守秘義務は分かってますよ!


「それに、ナターリア先輩もいらっしゃるし」

「ん? ロゼッタはナターリア嬢を知っているのかい?」

「もちろんです! 5つの魔法属性を使いこなす天才魔術師ですわ! わたくし憧れておりますの!」


 事実、私はナターリアというキャラが大好きだ。

 何事にも真面目で頑張り屋の彼女の恋はついつい応援したくなっちゃうものばかり。


「ロゼッタはよく知っているなぁ、そういうところにアルフレートは目を付けたんだろうな。敵ながら目の付け所は褒めざるを得ない」


 ん? あれ、この反応。

 …ということは、つまり。


「あ、そうでしたか、お兄様はどちらかというとキャロル先輩の方が本命でしたか!」


「な、何を突然っ!!」

 

 突然の名指しにお兄様が吹き出した。

 あ~~、これはビンゴですね! そういやお兄様も腹芸も隠し事もできないタイプだったっけ。わたくしと同じで。

ていうか、カマ掛けたら早かったね。


 謎が解けました!!!

 お兄様の恋のお相手はキャロル・クルック!

 聖属性特化の庶民のヒロイン。


 そうなると、生徒会でのライバルは水魔法の攻略者 ロイド・イーズデイル。

 『体育会系の優しい筋肉騎士』の方ね。


「おまえら兄妹って、ホント似てるよな…」


 ぼそりとつぶやくモブAと静かに頷くモブB。


 褒めてくれてありがとう。

 お兄様に似ているだなんて光栄だわ。





****






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せっかく学園に在籍している間は自由にして差し上げようと思っていましたのに、わたくしに嚙みつくなんてお行儀の悪い。
よろしい、ならば調教です。

二度と歯向かう気が起こらないよう1日で後悔させて差し上げましょう!

挿絵(By みてみん)



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