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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第三章 太陽が開きし港湾
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第三話 狂刃

クリスマスがなんぼのもんじゃい!普通に更新だあーー!!

嘘です、単純に間に合いませんでした。元旦はいつもより多めに投稿できるはず………!多分!きっと、メイビー………頑張ります。というわけで改めてメリクリです。クリぼっちの同志たちよ、集まれ


それはそれとしてジョゼ虎観てきました。ジョゼはもちろん好きだけど舞ちゃんが特に好きです。いやもうホントに誰か幸せにしてあげて………!!恒夫の幸福を願う気持ちと独占欲が入り混じってる感じが人間臭くてとても好きです

「キッヒヒッ!」


「っ!」


 血刀と盾が衝突する。

 不意を打つようにして眼前に躍り出て、体重を乗せて振り落とされた妖刀は確かに必殺のそれであり、しかしそれが騎士の身体に食い込むことはなかった。

 踏みしめる両足、強く握り込む左手。

 聖具に選ばれていないとはいえ神聖騎士団の中で隊長に選ばれたということは超人の枠にいるSランク冒険者と比較しても遜色のない実力を持っているのと同義である。


 相手が呪いの聖剣であろうと関係ない。

 むしろ彼女にとってクラレントのような高火力の聖具よりも、血濡れの聖剣──イペタムのような絡め手を使う聖具のほうがやりやすいとまで言える。


「ふっ!」


「キハっ!いいねいいね、いいねえ!」


 押し留めるヨハンナの背後から女に向けて放たれた神速の突き。

 首を捻ってかわすも連続の突きが波濤の如く押し寄せる。


「キヒッ、危ない危ない、危ないねえ?」


「っづ!」


 対する女は滞空する手に持った呪いの聖剣──イペタムと瓜二つの血色の刀を盾とすることで怒涛の槍撃を凌ぎ、足の裏でヨハンナの盾を蹴飛ばしながら後退する。

 蹴飛ばされて崩れた体勢を立て直しながらヨハンナは女の姿を改めて観察する。


 かなり露出の多い鵬国風の着物に間接部分や小手を守るプロテクター。

 腰帯には幾本の短刀が抜きやすいように差されており、倫理的に目のやりにくい内腿にはククリナイフが数本。

 身につけるものが扇情的であれば顔の造形もそれと同じく、桃色に色付く切れ長の瞳は蠱惑的な香りを醸し出しており、セミロングに雑に整えられた真紅の髪がさらに鮮烈さを際立たせる。

 豊満に膨らんだ胸部とぷっくりと膨らんだ唇から漏れ出す吐息は凄絶なまでの色香を孕んでおり、しかし眼光の奥に秘められているのは色欲ではなく、死合いへの妄執である。

 獣人であることを指し示す狼の耳は一見すればチャーミングであるが、彼女の本性を知っている人間からすれば恐怖しか覚えない。

 右手には血色の太刀。

 それと寸分違わぬ刀が実に千本、空中に漂っている様は血を吸い上げる時を今か今かと待ち侘びているかの如く。


「やはりタイガ・ロベリア──「狂刃」か!なぜここに?!」


「クヒヒヒヒッ、正解正解、正解だねえ?私も有名人なのかな?だとしたらだとしたら!嬉しい嬉しい、とっても嬉しいねえ」


 出立から導き出した彼女の正体を「狂刃」ことタイガ・ロベリアが嬉しそうに耳をピコピコ揺らしながら肯定する。


 「狂刃」タイガ・ロベリア。

 彼女の残虐非道に関する噂には事欠かず、何より最悪なのはそのほとんどが事実であるということだ。

 無辜の民を嬲り殺すなどはまだマシなもの。

 時に単身で教会に殴り込み、老若男女分け隔てなく拷問し、神聖な教会を阿鼻叫喚の地獄に仕立て上げた。

 時に遠方へと外交に出ていたとある国の貴族一家を盗賊達に襲わせ、奥方や令嬢たちを下劣極まる男どもの劣情の吐き捨て口にし、自分は自分で()()()()()()()()()、その全てを娼館に売り捨てた。


 彼女の悪虐極まる振る舞いは常軌を逸し、最後には帝国軍が出動した結果、今はエルデア帝国の監獄に収容されているはずの大罪人。

 そんな彼女が今、()()()()()()()()()たる聖剣イペタムを片手に狂喜に唇を歪めている。


「なぜ帝国に幽閉されているはずの貴様がここに?」


「キヒヒヒッ!そんなのそんなの、そんなのは皇帝サマが直々に私を釈放したからに決まってるじゃん?今の私の雇用主もあの人だしねえ。あの人サイッコーだよ?なんてったって私以上の狂人だもの!!」


 絶句。

 為政者、それも大陸における三代国家の一角を担うエルデア帝国の皇帝があろうことか大罪人を釈放し、あまつさえ彼女を雇っているという事実。

 ゆうに百を超える無辜の人々を殺した彼女を野に放つなど正気の沙汰ではない。


(──いや、そもそも聖女様を襲撃するなどという蛮行を行う時点で正気ではなかったか)


 思考をまとめながらヨハンナは周囲に目をやる。

 突然の奇襲には隊員たちも動揺し、流石に全員が無傷とはいかず、負傷者も数人出てしまったようだが、聖具持ちを相手にしてこの損害ならばまだ軽微だ。

 黒装束達は隊員たちが対処しており、彼らも相当な腕前のようで現在の戦況は拮抗している。


 状況は混戦状態。

 双方入り乱れてはいるが、多少の被害にさえ目を瞑れば敵戦力の足止めはできているため、最低限アナスタシアの警護はできている。

 数人抜けたとしても三番隊にはアーネストが既に魔道具で連絡をしてあるはずだから万全の状態で迎え撃つことができるだろう。


(ならば今すべきことは──!)


「アーネスト様!私がこの女の足止めを!貴方は彼女の攻撃に専念──」


 ゴオオオオオオン!!!


 再び鳴り響く轟音。

 先ほどとは違い、聖遺跡の外で生じたのであろう爆音が大気を震わす。


「なっ」


「これは──」


 ヨハンナとアーネスト、そして何人かの神聖騎士の顔に彩られた表情は驚愕。

 ただ轟音に驚いたのではない。

 その音が、その熱が、その魔力が、あまりにも懐かしいものであったため、彼らは足を止めた。


「──ブレイズ」


「正ぇ解。来てるよ来てるよお?彼」


 大きく目を見開いたアーネストの口から溢れた名前とそれに続いたタイガの楽しそうな肯定を聞いて、ヨハンナは歯噛みしながらも確信する。

 外に彼が居る、神聖騎士団を裏切った彼が。

 憎むべき我らの大敵が。

 なにより親愛なるアーネストの友である「不滅」の騎士が。

 ならば自分が今すべきことはなにか。


 自分が彼を打ち倒したいと思う気持ちはある。

 かつての四番隊には親交のある神聖騎士も何人か居た。

 堅物として知られている自分にも怖気付くことなく、親しくしてくれた友人がいた。

 あまり他の人に言えない色恋に関する悩みを快く聞いてくれた友人がいた。

 共に汗を流し、苦楽を共にした彼らを灰すら残さず殺し尽くした彼のことを思うと憎悪の念が抑えきれない。


(──それでも)


 黒く、黒く燃え盛る憎悪をそれを上回る理性で押し潰す。

 それはきっと誰も望まない行為だ。

 死んでいった友人も、愛しい人も、そして自分自身も。

 だから自分がすべきことは一つ。


「アーネスト様、ここは私が受け持ちます。貴方はあの叛逆者の下へ」


 誰よりも話をしたがっている蒼銀の騎士を送ることだ。


「ヨハンナ…………しかし、」


「聖遺跡内でクラレントを使われる危険性を考えれば貴方が外で一騎討ちをした方が被害は格段に減ります。違いますか?」


「それは、確かにそうですが」


 室内での面制圧攻撃は対象を守る側からすれば何としても避けたいものだ。

 それ故に屋外でアーネストにブレイズを足止め、そしてあわよくば倒してもらうという作戦は理にかなっている。

 タイガ・ロベリアという危険人物をヨハンナ一人に任せるという危険性にさえ目を瞑ればの話ではあるが。


「心配しないで下さい。私はこれでも五番隊の隊長です。貴方が戻って来るまで持ち堪えるくらいの任務は果たしてみせます」


 顔を覆うヘルムを外してヨハンナがアーネストに微笑む。

 ヘルムの中で纏め上げられていた白髪がふわりと流れる。

 白髪の合間から覗く真紅の瞳には強い意志が込められており、鋭い眼光が真っ直ぐにアーネストを射抜く。


「私は「不敗」ですから」


「──分かりました。後で必ず」


「はい」


 疾風はやての如き速度で遠ざかっていくアーネストを見送る。

 私怨よりも信仰と大義、そして親しき人のために身を砕くのが自分の騎士としての生き方だ。

 けれど、憎い相手を前にして憎悪を抑え切れるほど自分は聖人ではない。

 そして自分とあの裏切り者が殺し合う様を見ればアーネストは悲しむのだろう。

 なら、それは避けたい。

 好きな人に笑っていてほしいと思うのは当然だろう。


 だから、あの人の笑顔のために、他人の幸福を我が事のように喜べるあの人のために、自分が今なすべきことはただ一つ。


「意外と行儀がいいのですね。狂犬にも時と場所を弁えるだけの分別はあったということですか」


 ──目の前にいる殺人鬼を倒すことだ


「キヒヒヒッ、流石にあんな恋する乙女の顔を見せられて茶々を入れるほど私は野暮じゃないよお?」


「喧しい」


「んで?さっきまで私の攻撃を凌ぐだけで精一杯だったお嬢さんはどうやって私を倒すのかな?気になる気になるねえ?」


 ギリ、と十字剣を持つ右手に力を込める。

 相手は稀代の殺人鬼。

 下手な高位の不死者などよりもよっぽど手強く、悪辣さにおいては比較にもならない。


 自分には聖剣も聖槍もない。

 あるのは入団時に父が祝いとして買ってくれたミスリル製の十字剣と、五番隊の隊長に任命された際に教皇猊下に直接下賜されたアダマンタイト製の盾──ラウンドシールド。

 剣技も盾術も卓越はしているものの、アーネストやブレイズたち他の隊長格のように並外れて、というわけではない。

 神聖騎士団において最も平凡な隊長。

 それがヨハンナ・フローレンスに対する一般的な評価だ。


「決まっています。私はいつだって私にできることをするだけ」


 ただしそれはあくまで他の隊長格と比べての話。

 彼らのように英雄らしい能力こそ持っていないが、隊長格に足るだけの実力は持ち合わせている。


 ヨハンナがタイガに向かって駆け出す。

 上半身をラウンドシールドで覆い隠し、白銀に輝く十字剣が尾を引くように。


「キヒヒッ!」


 対するタイガが選んだ手は空中に浮遊する血刀による集中砲火。

 四方八方から降り注ぐ血刀は血の雨にように見える。

 千本ある半数ほどを他の神聖騎士の対応に充てているとは言え、それでも実に五百本の血刀がヨハンナ目掛けて降り注ぐ。


「不遜なりし輩に、神なる鉄槌は今ここに降らん『神裁きの十字架(グランド・クロス)』!」


 突如、ヨハンナの後を潰すようにして、血刀を光で形成され六つの巨大な十字架が押し潰す。

 「魔法調整」を使用して威力を最大限にまで引き上げて発動された「神聖魔法」の上級魔法『神裁きの十字架(グランド・クロス)』。

 『ホーリー・レイ』と同じく「神聖魔法」には珍しい純攻性魔法ではあるが、何よりの違いはその発射速度と対象を指定した際の追尾性能だ。

 より確実に不浄のものを祓うために作られた浄化の十字架は相手が不浄のものであればあるほど効果を発揮する。

 それは例えば、イペタムのような常に呪いを纏っているものであれば効果は抜群である。


 しかしそれでも五百もある血刀を六本の十字架で潰すのはいささか無理がある。

 加えてイペタムの血刀はタイガの意思を受けて自由自在に動き回るのだ。


「終わり、かな?終わりかねえ?」


 赤き兇刃が十字架を避けてヨハンナに襲いかかった。

本当に今更ですが、ヨハンナさんは戦闘時は兜を着けてます。速攻で外したけど


そしてちょっとでもタイガさんに犯されたいとか思った人。怒らないから手を挙げなさい


ちなみにタイガさんはお母さんが鵬国出身の獣人でお父さんがエルデア帝国出身のハーフ。お母さんの遺伝子が強く出ている様子なのでド派手な外見から繰り出される色香はもはや控え目なMAP兵器の模様。なおドS。女王様気質みたいに反応を愉しむタイプではなく、思いっきり甚振るということそれ自体を愉しむタイプのドSです。ついでに両刀バイ


皇帝陛下の行動を客観的に見てると完全に無能に見えてくるから陛下が可哀想になって来る。頑張れ陛下!思考は狂人のそれだけど、信念的な観点から言えばアンタ上に立つ人としては最高だよ!生まれる時代が違えば陛下は名君として名を馳せていたんじゃねえかなあ………


タイガさんは自分なりに生きやすい自分を探した結果、今の状態に至った感じ。主人公は根本からして狂ってますから。陛下は色々と悩んだ挙句、最善の道を行った結果言動が狂人のそれになってしまった哀れな人

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