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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
間章
85/125

とある昼下がりにて

アクナイ復刻版「騎兵と狩人」で自分のロドスの成長具合が実感できるのが嬉しくて堪らない今日この頃。ビッグボブめっちゃ楽なんですけど………やっぱりマッドロックがクソすぎた?


今回のお話は時系列的には主人公たちが酒飲みながら馬鹿騒ぎしまくってたくらいの頃。冬なんで聖遺跡に行く2、3ヶ月くらい前ですかね。今回は主人公とシオンの心情に関して触れます。


そして前回後書きに出てきた「基幹」についてですが、これは人、獣問わず高位の存在が獲得している固有属性みたいなものです。大体一個体につき二つ。Fate見てる人には起源と言った方が分かりやすいかもしれません。「基幹」はその殆どが成長していく中で獲得するものですが、稀に生まれながらに保有している存在もいたり。ちなみに主人公は一つ獲得している。自覚はしてませんが。

 それはある日の昼下がりのこと。

 その日は特にこれといった用事がなんにも日で、各々自由に過ごしていた。


「ふぁああ………眠い」


『寝るんならちゃんとベッドで寝ろよー、ここんところちゃんと眠れてなかったんだから』


 お嬢は前日まで徹夜続きで研究に没頭していたため、ロクに眠れておらず、仮眠も机の上で取るという有様だった。

 こっちも無理をさせ過ぎまいと、徹夜が4日も続くようならヘカテや眷属どもと協力して強制的に寝室に連行するのだが、今回はギリギリ3日徹夜だったので寝室へと連行することもなかった。

 まあそのうち眠くなれば寝室で勝手に寝るだろうと思って放っておいたのだが、寝室に行く前に眠気がやってきたようだ。


「んぅ…………やー」


『やー、じゃありません。って、ああもう、ソファの上で寝ない!午後はリビング掃除するんだからそこにいたら邪魔だし埃吸い込むでしょうが!』


「やぁあ、ここで寝るのぉー」


『ええい!もう完全に就寝モードに入ったか!』


 とても眠そうな、というか半分ぐらい夢の国に旅立っているんじゃないかと思うぐらいに緩い声で反抗するお嬢。

 こうなるとお嬢はテコでも動かない。

 研究中は目にクマができても寝ないくせにこういう気が緩んだ時はとことん甘えたがりになる。

 ヘカテは最近できた趣味である花のお世話をしているし、シオンはニヤニヤしながらこっちを見ていてまるでアテにならない。


 つうかあの野郎………悪どい笑み浮かべやがって、今夜の夕食はアイツの嫌いな物オンパレードにしてくれる。

 ヤツの嫌いな物は人参だったか。

 なら、今日は人参入りの金平に人参の油揚げの煮物、あとは………人参の土佐煮あたりか。

 材料はお嬢謹製の冷蔵庫に大体揃ってるし、ない物はある物で補えばいい。

 台所の番人を怒らせた罪、その舌をもって贖うがいいわ!


『ほらお嬢、運ぶから寝るなら俺の背中にしなさい』


「んぅ………はぁーぃ」


 緩い声出しおってからに…………まあ、これに逆らえない俺も俺であるが。




◇◆◇◆◇◆




「よう、アリシアは寝たか?」


『そらもうぐっすりと。夕飯どきには腹減って起きるだろう』


 お嬢は屋敷にあるお嬢の部屋に寝かしてきた。

 滅多に使わないからあまり頻繁に掃除はしないのだが、昨日の午後から今日の昼にかけて屋敷のリビング以外の部屋をまとめて掃除したので綺麗になっている。

 取り込んでそれほど経っていない布団でお嬢はすやすやと眠っていることだろう。


「しかしまあ、お前もアリシアに甘いよなあ」


 ポリポリ、とお猪口を傾けながらラー油で漬けたきゅうりを頬張っているシオンがニヤニヤしながら言う。

 流石にまだ日が昇っている時間から本気で酒盛りする気はないようで、酒の量は嗜む程度に抑えているようだ。


『まあ、な。厄介に思う反面、仕方のないこととも思う。お嬢のことは愛しているからな』


「ブフッ!」


『…………何やってんの、お前』


 盛大に吹き出しやがって、後で拭いとけよ…………と言うかお前、その酒結構高いやつだろう。

 無駄にしやがって勿体ない。


「ゴホッゴホッ!いや、お前が素面で「愛してる」とか言うから!」


『白面だって言うだろう。何かおかしかったか?』


「いや、………………………え?お前アリシアにそういう感情抱いてたの?」


『そういう?』


 曖昧としてはっきりせんな、率直に言え率直に。

 言葉を濁すなんぞお前らしくもない。


「だから、その………………恋愛感情みたいな?」


『ああ、そういう、ね…………』


 なるほど、俺が「好き」「愛してる」なんて言ったものだからコイツは()()()をした訳か。

 なるほどそれで……………


『シオン』


「ん?」


 なら勘違いはとっとと解いておくに限る。


『お前は蛇に欲情するか?』


「いやしねえよ!?」


『それと同じだ。俺は人間相手に欲情しないし恋愛感情なんてもんも持つことはない』


 おそらく身体の影響なのだろう。

 人格面や情緒、趣味嗜好といったものは生前と何ら変わらないが食欲、性欲といった原始的、というか生物として本能的な欲に関しては獣じみている、いや爬虫類じみていると言うべきだろうか。

 欲情するのは基本的に同族()相手のみだし、戦闘狂じみた闘争心もおそらくはこの身体によるものだろう。

 精神は肉体に引っ張られる、と言うところか。


「………ってことは、なんだ?恋愛感情じゃないならお前がアリシアに向けてるのは敬愛とかそういう類の“愛”か?」


『敬愛、恩愛、可愛、恵愛、兼愛、眷愛、私愛、慈愛、純愛、鍾愛、情愛、深愛、信愛、親愛、仁愛、惜愛、切愛、他愛、忠愛、寵愛、溺愛、貪愛、熱愛、偏愛、盲愛、そのすべてだ』


「うわぁ…………」


 おいちょっと待てコラ、何でそんな引いてるん?別にいいだろうがお嬢ラブだろうがなんだろうが。


『まあ、単純に愛だけじゃないってのは確かだが』


「というと?」


『俺はお嬢が好きだし愛してる。だがそれと同じくらいにお嬢に()()()()()。かつての俺が夢見、そして朽ち果てた理想。それを叶えてくれるんじゃないかという確信にも満ちた希望と、かつての俺の無念を晴らしてくれるであろうお嬢への感謝。あとは単にお嬢は見ていて面白いし、飽きないってのもある。そういうのが降り積もった結果がお嬢に対する甘やかしなんだろうさ』


 お嬢が好きだ、だがそれだけじゃない。

 少なからず野心や不純な動機なんかもあるし、俺自身それを隠したいとも思っていない。

 いろんな感情が蛇の様に絡み合ってそれが積み重なって、お嬢への忠節はそんなドロドロしたものでできている。


「ふぅん?なるほど、ヘカテとアリシアとの対応で結構違うと思ったがそういう理由か。いやしかしそれにしちゃあヘカテへの対応がいささか厳しくないか?」


『当たり前だろう。アレは従者だぞ、甘やかしてどうする』


 アレはまだ生まれたばかりで今が成長期の様なものだ。

 甘やかすよりも厳しく接し、悩ませて苦しませた方が後々俺にとっては都合の良いことになる可能性が高い。


 まあそういった私情を抜きにしてもアレと俺の関係は従者と主君だ。

 厳しく律し、正し、導くのであればともかく、未熟なまま停滞させておくのはどちらにとっても良いことはない。

 相手の立場と自分の立場を考えた結果、今の様な接し方がちょうどいいのだ。

 それをシオンに伝えると、


「なるほど、たしかに互いの間柄で接し方は変わってくるもんか。いやなに、お前さんのヘカテに対する接し方は赤の他人よりも厳しい様な気がしてな、つい気になっただけだ」


『赤の他人だったら俺は適度に踏み込みながら愉しむだけさ』


「うわ、趣味悪ぃ」


『ほっとけ』


 自覚はあるんだからそこんところあんまり掘り下げないで欲しいもんだ。

 今となってはそうでもないが、昔は自分のこの在り方に疑問を抱いて苦悩したんだから。


「──なあ」


『あん?』


 少しばかり遠い日々に思いを巡らせていると、シオンが静かに呼びかけてきた。

 静かに、いつもとあまり変わらない様子で、だがどこか重い空気。


「もし俺とアリシア、どちらか片方を助けないと死んでしまうとして。お前はどっちを助ける?」


『は?』


 急になんだろうか、あれか?酒が回りすぎたか?

 そうじゃないのはわかっているがいきなりの重いムードはついていけんぞ?

 つーかさっきまでの話の内容との繋がりが全く見えないんだが。


「お前がアリシアを色んな意味で愛してるのは分かった。ヘカテのことをどう言う認識で捉えて接しているのかも。なら、俺はどうなんだ?」


『お前は普通に友だろう。これまでだってそうやって接してきたし口にも出したはずだが』


 何度も「親友」と口にしたし、その言葉に嘘はない。

 これ以上ないほどに気が合うし、コイツもおそらくそうなんだろうなと思って一緒にいる。


「ああ、だから問いたい。お前の中で俺はアリシアよりも重いものか?」


『………その問いがお前とお嬢どっちを選ぶかってことか?」


「そうだ」


 ………またアホな質問を。

 コイツの過去を聞いた限りじゃコイツにとって初めての友人というのは俺で、唯一の友人というのもきっと俺なんだろう。

 だがきっとコイツはその事実に特別性を見出してない。

 ただコイツは問うているだけだ。

 〝一番の友人〟と〝一番の愛〟どちらを取るのかと。


 ──そんなもん、考えるまでもねえわな


『決まっているだろう?俺はお嬢を選ぶ』


「そうか、ならいい」


 チャキリ、なった音を耳にしながらそう言ってお互い笑い合った。




◇◆◇◆◇◆




「……………愛している、か」


 もう夜もふけ、館が寝静まった………一応体面上は寝静まった夜、客間のベッドの上でシオンはひとりごちる。

 アレの言っていたことはわかる。

 ルキアは誰とでも仲良くなり、相手の内側に入っていくように見える。


 だが、アレはそうしているように見えて、その実一歩引いている。

 踏み込みすぎないように、相手の心に土足で上がらないないように、などといった殊勝な心掛けではなく、単にアレは一歩引いたところが()()()()()()からそうしているだけだろう。

 踏み込み過ぎれば見えなくなってしまうものがあり、かと言って俯瞰的な立場では相手の内面が見えない。

 それ故にどちらも見えるちょうどいい立ち位置で接するのがあの蛇の人間との接し方だ。


 だが、それはアリシアには当てはまらない。

 アリシアには寄り添い、甘やかし、尽くす。

 それは完全に相手の心に踏み込んで行っており、故にそれはルキアにとってアリシアだけが違うものであると言う証左でもある。


 その結果がアイツの言う「愛してる」なのだろう。

 ………あるいは、ただ単に気に入ってる人間だからつい甘やかしてしまうというだけなのかもしれないが。


 アイツは自分でも気付いてないところがある様だが、外、中身どちらも十二分に化け物だ。

 外見が蛇であるから警戒し、それの内面が人間らしく無害なものであると認識して仕舞えば人はアレを隣人として扱ってしまう。


 きっとそれがアレのやり方なのだろう。

 アレは人に福を齎すものにもなりうるし、逆に害を為すものにもなりかねない。

 もっとも、()()()()()()()という話なのだが。


 俺はアレを友として認めた。

 歪なその在り方を、その精神を持つ蛇をこそ、俺は友として認めたのだ。

 その在り方のせいでどれだけの人間が死ぬことになったとしても、それらは全て些事だろう。

 より多くの見知らぬ人間よりも、少ない親しい人間を選ぶ。

 俺はそういう人間だ。


 ああ、だがもし、もしもアイツが俺が認めた〝友〟の在り方を無くしてしまったのなら、その時は我が愛刀の錆にしてくれよう。

 友でなくなった〝ルキア〟の身体《器》など、見るに堪えないのだから。

──互いの在り方を尊重しあった。だからもし友情に惑わされてその道を踏み外すのなら死んでしまったほうがいいのだ


シオン「私とアリシアどっちが大事なの!?」

ルキア「お嬢」

シオン「よっしゃあ!」


面倒くさい彼女みたいな質問して切り捨てられると喜ぶ男シオン。マゾかな?

ちなみにお嬢は無自覚に主人公の好感度ポイントを大量に稼いでいる。どこのハーレム系ラノベ主人公かな?


以下、割とどうでもいいそれぞれのお酒事情


主人恋:蟒蛇、ザル、酒豪、酒クズ…………etc.etc、とにかくめっちゃ飲む。お前の身体は酒でできてんのかってぐらい飲む。お酒大好き酔うの大好き。ただ、永遠に飲み続けられると言うわけではなく、「お酒を飲んでいる」ということに酔ったりするのでちゃんとリミットはある。好きなお酒は焼酎


お嬢:四人のなかだと一番飲めない。と言っても下戸と言うほど弱くはなく、ちょっと弱いかな?ぐらい。量を飲むというより純粋にお酒の味を楽しむタイプ。一番健全な飲み方。好きなお酒はウィスキー


シオン:主人公同様めっちゃ飲むしめっちゃ酔う。結構強い方ではあるけど流石に大蛇には勝てないのだが、そこは気力でカバー。結果、主人公との飲み比べの翌日は頭痛に悩まされる。自業自得とも言う。好きなお酒は日本酒。なんで異世界に日本酒があるのかって?異世界人がつくったんじゃないですかね?(適当)


ヘカテ:実は四人のなかだと一番強い。生体機能としての毒への耐性とスキルとしての「毒耐性」による二重耐性で状態異常:泥酔をレジストする。主人公のように雰囲気に酔うということもなくストップがかからなければエンドレスで飲み続けられるヤベーやつ。好きなお酒はウォッカ

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