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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
間章
83/125

魔性として生を受け、人として人生を歩む

どうも、最近呪術廻戦にどハマりしてる小鳥遊です。東堂が好きです


今回はヘカテのお話。あと今回は少し短いのでもう一話更新します。第二章を半端に打ち切ったのは大体このお話を入れたいがためだったりする。仕方ないやん!ヘカテの設定固まったの割と最近だったんだもん!

 ──外の世界を見てみたい


 それが私が初めに抱いた願いだった。

 物心ついた頃からダンジョンの階層ボスで、偶にやってくる冒険者を返り討ちにする日々。

 その日々の中で彼らがどこから来ているのか、彼らはどんな場所に住んでいるのかが、無性に気になった。

 やはり物心ついた頃から一緒にいるラミア(同族)とは会話はしないし、できない。

 そもそも、()()()はこの階層を守るためだけに生まれたものだ。

 だから相方に何かを問いかけることはできなかったし、もし仮にできたとしても彼女が自分の望む答えを持っているとは考え難かった。

 

 なんとかして外に出たい。

 けれど半ば本能に刻み込まれた〝この階層を守る〟という命令がこの広い部屋から抜け出すことを阻んだ。

 そうやって時間を無為に過ごしていく日々の中で、()()はやってきた。

 膨大な魔力を見に宿す女に、奇妙な格好をした男、そして2mほどの蛇。

 女と蛇には脅威を感じたものの、奇妙な格好をした男にはこれといった危険を感じなかった。

 もっとも、その勘違いも戦闘が始まってから一分とたたずに訂正されたのだが。


 どこまでも鮮烈で流麗な太刀筋。

 寒気すら覚えるほどに美しいそれに目を奪われる余裕もなく、大蛇が「毒魔法」を撃ってくるのに気がついた。

 それを防ごうと向こうが放った来たのと同じ『ポイズンバレット』を放って相殺する。

 さて、向こうが相殺されて驚いているうちに「魅了の魔眼」を使って傀儡にしようと魔眼を起動したのと、斬撃と杭付きの鎖が飛んできたのは全くの同時だった。

 次いで、毒液の一線がこちらに向かって飛んできた。


「アッ?ガアッ!?」


 たしかに発動したはずの魔眼は目の前の大蛇には毛程の反応すら与えられず、後には毒液の放線ーー『ポイズンレイ』が私に直撃するという結果だけが残った。

 一番の武器である「魅了の魔眼」は微塵ほども通用せず、蛇の魔物にとって存在証明とも言える、毒に適性のある魔物が覚えることのできる「毒魔法」においてはこちらを遥かに上回っている。

 私が亜人系の魔物であるが故に身体能力においてはランクが下であるホーンドサーペントに勝つことはできず、魔法も相手が上、魔眼に至ってはぞもそも通用すらしない。

 これほど「詰み」という言葉がふさわしい状況も珍しいだろう。


 その時に私が覚えたのは〝恐怖〟という感情だった。

 本能的に上位者である目の前の蛇を恐れたのではない、「死ぬ」という一秒先の状況が恐ろしくて、忌まわしくて、私に死をもたらす目の前の大蛇がただただ恐ろしくて。

 気がつけば私は跪いていた。

 きっとさっきまで一緒にいた同胞ラミアが見れば失望していただろう、彼女がそのような感情を持っているかどうかと言うのは置いておくとしても。


 ただ、死にたくなかった、生きていたかった、外の世界を見てみたかった。

 その〝願い〟が私の身体を無意識のうちに動かしていた。

 なにも知らない〝私〟、なにも見ていない〝私〟、そんな〝私〟のまま死んでいくことを本能と理性が拒絶した。

 どれほど惨めでも、どれほど無様でも、生きていたかったのだ。


 果たしてその願いは驚くほど簡単に叶えられた。

 女によって誓約は掛けられたものの、死ぬよりはずっとマシだったし、むしろ私を外の世界に連れ出してくれるという点を考えれば良き主人に仕えることができたとすら言える。

 そんな私の主人である大蛇はルキアというらしい。

 私にヘカテという名を授け、私を従者にしたどうにも掴みどころのない主人。

 その主人は魔力的にもそうだがなぜか本能的に恐怖を覚える女ーーアリシア様に仕える使い魔だという。

 主従というにはかなり距離感が近い気がするがそれは私の知るところではないのだろう。

 そもそも仕え始めて僅かだというのに親密になれると思う方がどうかしている。

 親密と言えば奇妙な形の剣を持ったとても強い男ーーシオン様はご主人様のご友人だという。

 おそらくシオン様のほうが圧倒的に強いのだろうがそれでも友好関係を持っている御二方は魔物である私からすればとても珍しいものに見えた。


 それはさて置き私の主人ことルキア様はかなり厳しい方だ。

 従者として間違いがあればそれを正し、従者として誤ればそれをめ、従者として仕損じれば訂した。

 あの方は最初から私を従者として扱い、導き、そしてあの方がそうしたのはきっと私がそれを望んだからだ。

 別に忠誠心があった訳ではない。

 ただ単に自分があの方々に捨てられないようにするためにはどうすればいいのかを考えた時にこれしか思い浮かばなかっただけだ。

 対等に接するには私は矮小に過ぎたし、なにより私は仕えさせてもらっている側だ。

 少しでも役に立つようにと考えた時に、咄嗟に思い浮かんだ奉仕の仕方が従者として仕えることだけだったのだ。


 結論から言えば私の判断は正しかったように思う。

 上半身だけとは言え人間であるためご主人様では行うのが難しい細かい動きは私の利用価値を高めた。

 料理も掃除も洗濯も、ご主人様は時間をかければできたが、お一人で行うには時間が足りず、私はご主人様の手足として働くことができた。


 そうしてご主人様の下で働く中で、人の営みを知った。

 喜び、怒り、哀しみ、楽しむ人の姿を見た。

 どれも自分には理解不能で、それを楽しそうに眺めている主人の在り方も理解できなかった。

 誰かを思いやるという心情が理解できない。

 誰かを恨めしく思うという情動が理解できない。

 誰かを愛おしく思うという情熱が理解できない。

 誰かを疎ましく思うという情感が理解できない。


 人間という生物の感情の全てが理解できなかった。

 そしてそれを面白いものとして観賞する主人の在り方もまた、理解できなかった。

 ましてやわざと〝人間らしく〟して人々の間に入り込み、その本性を隠して談笑したり戯れあったりする主人の行動の意図など皆目見当がつかなかった。


 けれど、最近は人間という生き物が持つ感情というものが少しはわかるようになったと思う。

 嫌いという感情はまだよくわからないけれど、なにかを好む感情は分かるようになってきた。

 例えば屋敷に咲く花を見ると心が躍るようになった。

 例えば服飾店で売られている可愛らしい服を見ると胸が弾むようになった。

 例えば小説に描かれた忠節の物語を読むと胸を打たれたようになった。

 魔物としてはおよそ不要に過ぎる多くの感情を学んだ。


 そうして気がつけば、仕える主人のお役に立ちたいという気持ちが芽生えていた。

 それだけではない、アリシア様とシオン様ーー修行を施していただいてからは師匠と呼んでいるーーの身を案じるようになったし、なによりあの方々に追いつきたいとも思うようになった。


 初めに願ったのは外の世界。

 果たしてそれは叶い、今なお叶えられ続けられている。


 ──なら今の私は、これからの私はなにを願って生きていけばいいのだろう?

まあ何も理由もなしに着いてくるとか有り得ねえよな!と思った方への答え合わせみたいなのと次章の冒頭に関連するお話

ヘカテの「魅了の魔眼」は今のレベルだと主人公の「精神苦痛耐性」で動きを阻害することすらできずに弾かれます。つーか主人公に精神系の状態異常攻撃を通らせたいなら最低でもスキルレベル100は必要。完全に魅了して傀儡にしたいならその上にいかないと無理。ぶっちゃけ四人の中だと主人公が一番精神的に強い


ルキア>>>シオン>>>>>(越えられない壁)>>>>>>アリシア≧ヘカテ


精神的な強さは大体こんな感じ。主人公はとある理由で精神がクソ強い。シオンは修行の中で心技体偏りなく鍛え上げられてる。お嬢は結構精神脆いです。ヘカテはまだまだこれから。成長が楽しみなキャラクターです。作者的にはもっと悩ませたい

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