第三十四話 時間稼ぎ
キャストリア爆死事件を乗り越えてアビーちゃん(水着)を見事引き当てたどうも小鳥遊です。でも巴さんこねえんだよなあ………
それはそうと高難易度クソダルかったんですけど?ちょっとバニヤンが嫌いになりました。そしてフレンドのキングプロテアちゃんありがとう………ちょっと今から走ってGE○行ってきてCCC買ってきますね?
『何、続けないの?こっちが気を使って見守ってやろうというのに』
「余計なお世話だよ!というかアンタ思いっきり楽しむ気だろ!!」
チッ、バレたか。
まあ、ウィスキーのおつまみに市場で買ったナッツを開けようとしてたらそらバレるか。
………つってもなあ。
『少年よ、今ここを逃せば彼女ハートを掴むチャンスなんて滅多にないぞ?安心しろ、俺がお前にしか聞こえないように「念話」でサポートしてやる』
「いらねーよ!つか、やらねーよ!!というかそもそもなんでアンタはそんな協力的なんだよ!?」
(人々の幸福こそが俺の願いだからだよ、少年)
『そりゃあお前、クソ面白そうだからに決まってんだろ』
「最低だな!!アンタ!」
「最低です!!」
何!?コイツら………まさか俺の思考を読んだとでも言うのか!?
「ご主人様、その、大変言いにくいのですが…………本音と建前が思いっきり逆になっていました」
『え、マジで?』
「はい、マジでございます」
………………………………………抜かったあ!!?!???!!?!!!?
バカな!!この俺が!!このような重要な局面で!!
クソッ!俺にもっと精神的な強さがあれば!!
『俺もまだまだ修行不足ということか…………』
「なんでそうなってんだよ、意味わかんねえよ………」
初歩的なことだよ、ワトソン君。
いやまあ、ホームズなんて俺の柄じゃないんだが。
「ってそうじゃねえ!おい、蛇」
『何かな?ああ、そういうことは街に戻って日を改めてしたい?そういうことなら仕方あるまいよ』
「そうじゃねえよ!」
『へえ?では衆人プレイがお望みかな?』
「そうでもねえ!!って、〜〜〜〜〜っああ!!話が進まねえ!!」
そりゃあそうだろう。
今俺がやるべきことは時間稼ぎだ。
お嬢の準備が終わるまでシオンはキースを、ランデルは暗殺者の長を、俺とヘカテは暗殺者に加え、ヒューゴとエマを抑えるのが役目だ。
………改めて思ったんだけど俺とヘカテが受け持つ人数多すぎない?
いやまあ、暗殺者たちが倒れるのは予定通りだったからいいんだけどね?
失敗してたらと思うと地獄だ………。
彼らのレベルはおそらく、というよりほぼ確実に俺とヘカテよりも上だろうが、不意を突き、「呪術」への対抗策を練らせなければ、これこの通り。
いかに強かろうとその強みを活かせなければ意味がないのだから。
「おい、蛇。アンタなんでエマを狙った?」
『なんでって………そりゃあ、ガラ空きだったからなあ。戦場で自身の身を顧みずに献身するのはある種、幻想的に写るのかもしれんが、俺からすればただの怠慢だ。殺し殺されの場において自分の命を第一に考えない、なんざ阿呆のすることだ』
──っと、ランデルはちょっと危なくなってきたな。
現状を打破しようと毒に侵されても動ける暗殺者の長が動いたみたいだが、流石に彼は相当やるみたいだ。
ランデルが冒険者としての異名で“暗殺者”と呼ばれているのに対し、彼は正真正銘の暗殺者だ。
冒険者の本業は魔物退治だが、暗殺者の本業は人殺し。
対人戦闘では暗殺者の長に分がある。
ランデルは終始押されてはいるが、それでもなんとか持ち堪えているのは見事という他はない。
流石Aランク冒険者、流石「暗闇の暗殺者」と言ったところだろうか。
「それにしたってアンタがエマを狙う理由はないだろう!」
『言ったろう?空きだらけだったから、と。それだけで俺にとっては殺すに足る理由だ』
まあ、あの分なら持たせるだけならなんとかなるだろう。
別にランデルが勝つ必要はない。
彼のお仕事はこれから先なのだから。
「………それが、戦っていない人でもか」
『無論。と言うより戦場で戦わない者に生きる資格など無い。戦場に必要なのは殺し、殺される覚悟と殺す理由だ。それが無いなら戦場になんぞ来るな、と言う話だ』
「あなたはは私たちが倒れ込んでいる時に追い討ちをかけなかったではないですか。それは矛盾しています」
『してないさ。必ずしも最善の選択が最善の結果に結びつくとは限らない。時には最悪の選択が最善の結果になることだってある。まあ、俺がしたことは、言ってしまえば………そうさな、保険だ』
あくまでより長く、そして労力をかけずに時間を稼ぐためだ。
とは言え、あそこで無力化しても問題はなかった。
むしろそれが最善だったとさえ言ってもいい。
それをしなかったのはひとえに確実ではなかったから。
あそこで下手に追い討ちをかけて、その結果打ちどころが悪くて死んでしまったらそれはそれは面倒なことになっただろう。
それを避け、ついでに時間を稼ぐためのあの言動だ。
………まあ、幾分個人の享楽が混ざったのは否定できないが。
「俺たちに不意打ちで「呪術」を放ったのは?」
『それが効率的だったからな。まあ、強襲犯が白昼堂々と歩いてきたら、そりゃあ罠の一つもかけたくなるってもんさ』
「…………それは卑怯だ、外道のすることだ。ここが戦場なら正々堂々と戦うべきだ」
卑怯、卑怯ね…………よし!プロット完成!
『それは弱者の戯言だ』
「なんだと!?」
視線を向ければヒューゴも、そして温厚そうに見えるエマもいきりたっている。
まあ、それはわりとどうでもいいんだが。
あとは俺の舌の赴くままよ………。
暗殺者たちは………まだ「呪術」が効いているか。
しばらくは戦闘に参加できないだろうが、それも時間の問題だろう。
適当なところで2人を無力化して後ろの暗殺者たちも片付けたいが………お嬢はもう少しかかりそうか。
なら、引き延ばすのが得策か。
よし、続行。
『卑怯とは、俺が思うに諦めから来る言葉だ。“自分たちの力でどうにもできない”、“敵の策略にまんまとハマってしまった”。そう言った時に“自分たちは弱くはなかった”、“相手が姑息だったから負けたのだ”という自己弁護をするために用いられる言葉が人間たちの言う“卑怯”という言葉だ』
この作戦の要はお嬢だ。
お嬢抜きでこの戦況を維持し、キース・ファロンテッサをこの場所から引き離すことでこの後の戦況をやりやすくする。
現状は五分と五分と言ったところだろうか。
俺たちは今は拮抗、というか問答をしており、シオンとキースも拮抗、というかあそこは人外すぎてついていけん。
ランデルは未だになんとか持ち堪えている。
頑張れランデル、負けるなランデル。
お前ならきっとやれるって信じてるぜ!!
で、暗殺者たちは一時的に無力化ができているが………そのうち動き出すだろうから長期的に見れば俺らが若干不利というところか。
『故に策士という類の人間は“卑怯者”という誹りを甘んじて受けなければいけない。と言っても俺は策士なんて大層なものじゃないが、それでも俺は割とこっち寄りだ。なら、それに応じた誹りもうけるってなもんさ』
「だがそれでも弱者の戯言というのは納得できない。そんな手段を使わなきゃ勝てないお前たちが弱いってことだろう」
この局面をひっくり返すにはお嬢の魔法が必要なわけだが、その魔法の構築には時間がかかる。
そのためのランデルの初撃、そのための「呪術」、そのためのシオン、そのためのヘカテという伏兵、そのためのランデルの奮闘だ。
『なるほど、そういう見方もできる』
「なら!」
『以前の俺であればそう言っただろう。だが、俺は知っている』
「…………何をだよ」
お嬢が普通に戦えばいいのでは?と思ったそこのアナタ。
我々に死ねと?
お嬢ってさっきからそこで人外バトルしてらっしゃるシオン&キースの同類、言わば化け物ですぜ?
『その卑怯な手段とやらに決して屈さなかった戦士の姿を。卑怯だと、そう叫ぶこともできただろう。こんなものは敗北ではないと言うこともできただろう』
「……………(ほとんど魔物だったのだから無理では?と思いつつも主人の意図を汲み、口を挟まない従者の鑑)」
『それでも彼らは最後まで誇り高き戦士であった。敵を貶めるでなく、侮るでなく、1人の戦士がそこにいた。そして、彼らは決して弱音など吐かなかった。彼らは、ただ己の武を信じ、最期まで己の命を燃やした。俺は彼らの“王道”を砕いた俺の“非道”を誇りに思っている。卑怯、悪辣、下劣。それこそが我が好敵手を打ち倒した俺のやり方だ』
ランデルはなんとか凌ぐかもしれんが俺とヘカテは九分九厘死にます。
暗殺者たちだけならシオンが暗殺者の長を抑えてお嬢が他を掃討する、という戦術も取れたかもしれんが、今はキースがいる。
シオン曰く、アレは相当な無茶をすればお嬢とシオンをなんとか凌ぐだけであればこなす手合いだ、とのこと。
その長期間の戦闘の間に俺とヘカテが死にます。
『彼らを真の戦士と称えるならば、俺は俺の“非道”をこそ貫こう。それが彼らを打ち砕いたものとしての義務だ。俺は狡猾な“蛇”としてそこに在ろう』
あと、そんな本気で戦ったら聖遺跡が崩れるってさ、てか吹っ飛ぶって。
…………何の気なしに言ってくれやがったけど、そっちも大概ヤバイぞ?
アレ、そこらの砦より頑丈だからね?構成物質から推察するに。
ウチのお嬢はなんと言うか………相変わらずぶっ飛んでるなあ。
『──それに』
「それに?」
『ウチのお嬢はいささか真っ直ぐすぎるきらいがあるからな。脅すにしても直球と来たものだ。なら、俺たち蛇が汚れ役を買って出るのは、当然だろう?』
「───」
『我が主人の為であれば、俺は凡ゆる穢れを許容する』
そうとも。
俺はお嬢に仕える使い魔だ。
ならば主人が輝けるように泥を被ろう、罵声を浴びよう。
それが我が主人の益となるならば卑怯者の誹りなど、むしろこちらが喜んで被るとも。
それが誓いだ、それが喜びだ。
「ルキア」
愛しい主人の声が聞こえる。
それは語り部の幕を閉じる時。
ちょいとばかし本音が混じった時間稼ぎだったが、結果的にやるべきことを果たしたのだから問題はないだろう。
『さて、問答はそろそろ終わりだ。ま、即興にしては悪くない出来だっただろう?』
「何を──」
カツン、と杖が地面を叩く音がした。
地面は土で、音はそれほど響かないはずなのに。
剣士と拳士がぶつかり合って、小さな音など聞こえないはずなのに。
──その音はよく聞こえた
慣れ親しんだ音と、一時たりとも忘れたことはない声を耳が、身体が、命が、魂が覚えている。
聞き逃すものか。
どれほど小さな声だろうと、どれほど細やかな音だろうと。
俺がお嬢の声を聞き逃すことなどあり得ない。
──だから、
「さあ、第二幕だ。■■■■」
──消えてもう聞こえないはずの言葉も、よく聞こえた
最後以外、全部即興の模様
暗殺者たちですが、主人公とヘカテが普通に戦ってれば余裕で負けます。あと「毒魔法」もあんまり効果がない模様。暗殺者ですから毒対策はきっちりしてますから




