第三十三話 あー、甘酸っぺえー!!
HF3章見てきました。……………っはああああああああああ????最高すぎかあああああ???今年一最高のアニメでございました(作者の中では決定事項)。有難うございます。士郎とライダーカッコ良すぎか?イリヤ尊すぎか?え、桜?桜は作者の中では次元が一個ぐらい違うので別カウントです。士郎の「ついて来れるか、じゃねえ……てめえの方こそついてきやがれーー!」の台詞はもう、ね。ニヤニヤが止まりませんでした。クソカッケエよ、マジで………。
「御影幻刀流『迅烈』!!」
「『要塞』!!」
銀刀がいっそ悍しい速度で振り落とされる。
アーツの発動を確認してからでは回避は叶わず、であれば正面から受けて立つ他はない。
けたたましい音を上げて麗刀と交差した豪腕が激突する。
振り落とされたのは豪剣、迎え撃つも豪拳。
ほんの僅かな拮抗が生じ、
「シッ!」
「グフっ!?」
それもすぐに破れる。
(──蹴りか!!)
密着した体制から蹴りを放ったのはシオン。
キースの体が吹っ飛ばされ、しかして瞬時に体制を立て直す。
「ああクッソ!剣士のくせに体術使うなあ!!」
「知るか!御影幻刀流『疾風』!!」
瞬時に銀光をいつのまにか背中のから外した鞘に納め、疾走しながらの抜刀がキースの脇腹を襲う。
暴風もかくやという速度で弧を描く居合は、しかしてキースが肘を膝で刀身を挟み込むことで疾風は無風となった。
しかし、その膠着も嘘だったかのように状況が激しく動き出す。
動きを封じられた銀光に拘泥することなく、銀光の柄から手を離すと腰に携えた大小のうち、打刀である妖刀時雨ーーではなく、脇差の鯉口を切った。
チン、という音と共に鍔から漏れ出たのは仄かな電流と炎。
それを見たキースが危機感を覚えたのと、
「疾れ、雷火」
シオンがそう告げたのはほとんど同時だった。
雷火の名相応しい峻烈さで引き抜かれる妖刀。
決して粗雑ではなく、しかして猛烈。
振り抜かれた妖刀雷火の軌道上に紫電と蒼炎が刻まれる。
激烈にして俊速。
ほんの瞬きほどの間で刻まれた雷と炎は、しかして空を切った。
「…………っぶねえ!!」
危機感を覚えるや否や、銀光を思考の外に追いやって後ろにのけぞり、そのままバク転したのだ。
「──ハッ!」
それを見た剣鬼が狂笑を浮かべる。
体の真横よりも後ろまでに振り抜かれた雷火を腕のしなりを利用して投擲。
豪速で飛んで行った雷火をキースが首を捻って躱したのを見ることなく、地面に跳ね返って丁度柄が上に向いた銀光を掴むと、
「御影幻刀流『獅迅』!!」
上下逆さの突きを放つ。
駆け出した足のせいで硬い土が抉れ、踏み込んだ足が震動となってキースの逃げ道を塞ぐ。
──「震脚」
「体術」のアーツに同じようなものがあるが、それを魔力も闘気すらも一切使わずにシオンはやってのけた。
「舐めるなあ!!」
しかしそれを迎え撃つのもまた万夫不当の戦士であれば。
腰を落とし、体勢を整えることで地面の揺れによる影響を緩和し、腰を落とすのと同時に拳を引き絞る。
迫りくるは獅子を思わせる猛き一刀。
──で、あればこちらは獅子をも捻じ伏せる一拳で迎え撃つのみ
「『覇滅鉄拳』!!」
覇獅子すらをも滅する鉄の拳であれば、その一刀を迎え撃つに不足はなく。
「破ァ!!」
「羅ァ!!」
激突する刀と拳。
片や獅子の如き魔力を上げる一刀。
頑健な岩すら刺突は生半可な備えでは防ぐことは叶わず、英傑の盾であろうと貫くに不足はない。
片や獅子を、覇王をも滅するが如き一拳。
触れるものその一切を撃ち砕く一撃であれば、龍の鱗であろうとその拳の前にはただの布きれにも等しい。
霊刀の切っ先とガントレットが唸り声を上げる。
それは決して「もう耐えられない」という悲鳴ではなく、「まだ戦いなりない」という叫び声だ。
二つの“力”が激突したことによって発生した衝撃波が、大蛇によって作り出された毒に苦しんでいた暗殺者たちを吹き飛ばす。
「オオオオッ!!!」
「アアアアアアア!!!!」
両者ともに一歩も退かぬとばかりに己の得物を押し込む。
魔力が嵐の如く吹き荒れ、大地が捲れ上がる。
それはまさしく人外の戦い。
──で、あれば
──その間に割って入るのも、また人外の領域に達した者である
「っなに!?」
「来たか!」
一方は驚愕を、そしてもう一方は彼女がやり遂げてくれたことへの称賛と、この至福の時間が終わりを告げてしまうことに対する落胆、2つの感情がない混ぜになった複雑な表情を見せる。
──その場には、キースを閉じ込めるようにして構築された球状の魔方陣が形成されていた
「じゃあな、「金剛」。生きていたらまた死合おうや」
「お前──」
◇◆◇◆◇◆
──時間はシオンが飛び出していった時まで遡る
今残っている敵兵力は最初にランデルが不意打ちで無力化した3人を除けば全部で9人。
シオンがキースを抑えたことで一番危険因子は封殺できている。
もう1人の危険因子である暗殺者の長らしき人物は、今は部下の状況確認でこっちにまで目が向いていない。
動き出せばランデルが対処する手筈になっている。
暗殺者らしきローブのヤツら(以下暗殺者)は毒が効いてて動きがだいぶ鈍っている、というか立ち上がれてない。
完全に無力化したわけじゃないが、今仕留めるには容易い。
あとはキースついていたパーティーメンバーの2人だが、こっちは暗殺者たちほど効いているわけではなく、なんとか戦闘体勢は維持できているようだ。
今はポーションを飲んで解毒しようとしている。
いや、まあ無駄なんだけど。
俺が使用したのはあくまで「呪術」。
そもそもが“呪い”であるが故に身を蝕む毒の根っこは呪詛だ。
解呪する以外に治療方法はなく、解呪方法といえば「神聖魔法」、次点で「治癒魔法」だ。
片方が神官だから今のうちに仕留めておくべきかもしれんが………ま、お嬢からあの2人は殺すなと言われているし。
と言うか事情から察するに、殺すと面倒くさくなること間違いないし。
主にキースとかキースとかキースとか。
ま、放置でいいだろう。
全体で言えば俺が使用した3つの「呪術」は彼らを弱体化させてはいるが、無力化にまでは至ってない。
というかキースに至ってはあれ効いてんのか?
めっちゃピンピンしてるどころか、ちょっとこっちでも知覚できないぐらいの速度でシオンとやりあってるんだけど。
そしてシオン?おまえにも呪符は持たせてあるとはいえ、毒やら沼やら声やらの影響は出てるはずなんですけど?
引くわー、いや割とマジで引くわー。
密閉空間ではないとはいえ、毒ガスが散布されているよりもひどい状況だぜ?しかも中空に停滞し続けるというオマケつきの。
は────、自信無くすわー。
お嬢から呪術師としては一人前とのお墨付きを頂いたから結構自信ついてきたんだけどなー。
…………まあ、他の奴らには効いてるっぽいからいいとするか。
アイツらが頭おかしいだけだね、うん。
暗殺者の長はよくわかんないけど。
さて、気を取り直して、と。
現状で俺にできることはといえば……雑兵の片づけかね。
頭おかしい2人や暗殺者長に関しては俺の手に負える案件じゃないし。
結論。
とりあえずお手軽にぶっ殺せそうな暗殺者たちを仕留めておきますか。
一応、人殺し経験はないんだが………多分大丈夫でしょ。
『さてと、お仕事始めます──』
「はあああああ!!!」
『──か?』
さて殺ろうかな、と「毒魔法」を起動しようとした矢先、キースのパーティーメンバーの片割れである双剣士君が叫び声を上げながら吶喊してきた。
見れば多分「神聖魔法」であろう魔法がかけられていて、俺の「呪術」を無効化しているようだ。
うわ、マジで?
そこ、自分たちが回復したら周りの暗殺者たちを助けようとか、そういう感じにならないの?
え、ならない?そうですか。
いや、後ろからついてきている神官の女の子が暗殺者たちに魔法をかけている。
ああ、なるほど。
片方は「呪術」解呪に専念して、もう片方はその元凶を潰そうと。
まあ、間違っちゃいない。
俺を倒せば「呪術」は解け、暗殺者たちも復活するだろう。
え、余裕ぶっこいてていいのかって?
──んなんもん、いいに決まってるだろうが
「死ね!蛇ヤロ──」
「御影幻刀流『烈風』」
ランデルほど見事ではないにしても、この状況下であれば姿を隠すのには十分な「気配遮断」を起動したまま放たれる一陣の袈裟斬《風》。
しかし、不意を打つ状況ではその技はいささか派手だったようで、双剣士が即座に反応する。
「チッ、『デュアルファング』!!」
交差するように放った双剣が小太刀を押しとどめる。
それによって状況が硬直する──かと思いきや。
「シッ!」
「うぉわっ!?」
宝物庫から短刀を左手に出すと、それを首めがけて一閃。
それをすんでのところで躱せたのは実力か、はたまた偶然か。
まあ、短刀が振られているのに気がついて躱したのだからおそらく実力によるものだろう。
「クッソ、なんて馬鹿力してんだお前!」
そういえば、双剣士君が両手を使って押し込んでいたのに対し、ヘカテは片手で小太刀を押し込んでいた。
まあ、ヘカテは今は人間に擬態してはいるが、その本性は正真正銘魔物だ。
いくら亜人系の魔物でほかの同じランク魔物よりもステータスが低く、更には「人化」のスキルの使用に伴うステータスの低下があるとは言え、彼女はBランクの魔物だ。
そう易々と押し切られるほどか弱くはない。
加えて、ヘカテが持っているのはただの刀にあらず、正真正銘の妖刀である。
吸魔の小太刀の能力は斬りつけた対象ーー正確に言えば、その刀身に触れたものからの魔力の吸収だ。
故に、双剣士君のアーツも魔力を吸収されたことによって威力が落ちているという訳だ。
とは言え、見た目が完全にメイドだからあんまり強くないのでは?と思ってしまう気持ちも分からんではない。
だが少年よ、綺麗な花にはえてしてトゲがあるというもの。
舐めてかかると痛い目を見るぞ?ソースは俺の生前の友人。
数十万ふんだくられたと聞いて思わず口角が上がってしまいそうになったのを頑張って堪えたことを今でも覚えている。
『っと、今はんなことどうでもいいか。ほれ、『ガンド』』
「呪術」における初歩中初歩、『ガンド』。
冥界から汲み上げた呪詛を弾丸状にし、魔力を撃鉄がわりにして射出する触媒を使わない原始呪術。
ぶっちゃけがこれできないと「呪術」は一生できないと言ってもいい。
大体、呪詛を汲み上げるところまではできるんだが、弾丸上に形成するところでつまづくらしい。
俺?一発でできましたが何か?
その『ガンド』を二刀使い君ーーではなく、甲斐甲斐しく暗殺者たちを治癒している神官ちゃんに向けて2発ぶっ放す。
『ガンド』に弾丸として攻撃性は皆無だ。
あくまで呪詛を圧縮したものであり、呪詛は魔力と同じように非物質であるから物理的な影響は及ぼさない。
だが、呪詛が及ぼす効果に関しては別だ。
魔力が思念に作用される気体だとしたら、呪詛は既に思念による作用を受けた非物質だ。
それがもたらすのは生者への害。
故に、魔力とは違ってそのままぶつけるだけでも相当な攻撃を受ける。
神官などという、呪詛に縁がなさそうな人間に対しては特に。
「──っくそ!間に合え!!『ドライブエッジ』!!」
放たれた漆黒の弾丸に追いすがるように疾駆し、さらに突きのアーツを使用することでさらに加速する。
果たして、呪詛の弾丸はもう少しで神官に当たろうかというところで双剣士の曲剣に貫かれ、霧散した。
だが、呪弾は1発のみならず、もう1発ある。
それを見た双剣士君はあろうことか神官ちゃんに飛び突き、抱き抱え、地面に倒れこむ前に、体をよじって曲剣で両断した。
「───っハア、ハア………大丈夫か、エマ?」
「は、はい、ヒューゴ君、大丈夫で───ひゃん!?」
およそ、戦場に相応しくない甲高い嬌声が上がる。
見れば、双剣士君ーーヒューゴが神官ーーエマを押し倒すような体勢で、彼女のゆったりとした神官服の上からでもそこそこあるとわかる胸部を鷲掴みにしている。
側から見れば、押し倒した少年と、押し倒されつつも顔を紅潮させて恥じらっている美少女の画だ。
「あ、え、う、と、その、ヒューゴ君、退いてもらえると…………その、助かりま、ひゃん!?」
「ご、ごめん!本当にわざとじゃないんだ!!」
「わ、わかりましたから、早く退いてください………」
「すぐ退く!ご、ごめん!」
頬を紅潮させ、涙目で懇願する少女。
それを見て狼狽し、押し倒した体勢から退く少年。
『けれどその手には触れた柔らかい感触と暖かさが残っており、目には彼女の紅潮した顔が、耳には恥じらいと驚き、そして未だ青くも実った女の子の声が残って──』
「やめろぉ!!」
「やめて下さい!!」
ちょいとばかし興が乗ったのでナレーションをしていた俺に真っ赤な顔で叫んでくる少年少女。
『その頬の彩られた赤は羞恥によるものか、はたまた冷めぬ興奮によるものか──』
「やめろっつてんだろ!!何をナレーションしてんだよ、アンタは!!」
『照れるな照れるな。その反応は初々しく、しかして恋と呼ぶにはいささか未成熟。しかし、この一件を機に、2人の恋模様はどんどん進展していって──なんてのは恋の物語るとしてはありきたりだが、世知辛いこの世の中では実に微笑ましい』
「よ、余計なお世話です!!だ、大体、私とヒューゴ君はそんな関係じゃ……」
フゥー!!ラブコメかよ、おい!
いいねえ!青いねえ!!
さて、ここは虚空庫に仕舞い込んだ秘蔵のワインでも出して、
『さ、続けて?俺は酒飲みながら見てるから。あ、ヘカテおつまみなんか出して』
「承知いたしました」
「続けてねえよ!!」
「続けません!!」
なんだろう………そんなつもりは全くなかったのにギャグになってしまった。前半と後半との落差よ………




