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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第二章 戦火舞い散るは古の神殿
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第二十五話 笑冬祭

 イージアの街では年に一回、「笑冬祭」というお祭りが開催される。

 イージア周辺のの気候は夏はそこそこ涼しく、冬が超寒いというような某百○貴族の出身地のような気候だ。

 お祭りの主旨としては「寒いから動いたりあったかいもの飲み食いして笑って冬を乗り切ろうぜ、後お酒」という、半ば後半が目的になっている気がしないでもない感じで1週間ほど開かれる。


 雪像やら魔法で作ったスケートリンクやら屋台やらが街のあちこちに開設される。

 そんなお祭りの中で俺は何をしているのかというと……



「あっはは!いっけえー!るきあー!!」


「「「いっけえー!!」」」


『はいよー、しっかりつかまってろよー?』


「「「「はーい!」」」」


 子供達の遊び相手である。

 体長が10mを超える漆黒の巨体は一見すれば相当な恐怖を呼び起こすものではあるが、慣れて仕舞えば子供達にとっては玩具に等しい。


 最初は怯えていた子供達も、一度背中に乗せて緩めのジェットコースターを楽しませてやればチョチョイのちょいですわ。

 なお、安全装置として万里の堅鎖を腰に巻きつけて、安全を確保しておくことも忘れない。

 親御さん達も以前は難色を示していたが、今ではすっかり委託場みたいな扱いで、ほかの親御さんがと井戸端会議をしている。


 ここら辺、白蛇時代にある程度の信頼関係を築いておいてよかったな、と思う今日この頃です。

 ちなみに「蛇なんだし冬は冬眠するんじゃねーの?」という質問には「魔物に今更何言ってんだ」と返させていただきます。


 ………いや、嘘だよ?

 蛇系の魔物も冬眠はしないけど活動は鈍るらしいし。

 お嬢曰く、俺が特に鈍らずにキッズ達と戯れることができるのは、最下級とは言え精霊の一種であることが関係しているらしい。

 要するに、「霊的な存在に冬眠とか期待してんじゃねえよ、カス」ということだろうか、違うか。


 何で口調がいつにも増して悪いのかって?

 ここ1週間笑冬祭の準備に駆り出されたからだよ!

 一日八時間労働は生前のブラック企業に比べれば遥かにマシではあるものの、それが肉体労働であれば話は別だ。


 オーフェンめ………何が「そのでかい図体生かしてキリキリ働け」だ!

 テメエの悪人ヅラはクソの役にも立たねえじゃねえか!

 ………なお、本人の前では言わないよ?本人気にしてるらしいし。

 警備隊の副隊長ならその悪人ヅラはむしろ有用じゃない?とは思うのだが……そこは本人のみぞ知る、かな?


 まあ、あの見た目ヤクザのことはどうでもいい。

 要するに、眠いし疲れてるのだ。

 精神的な疲れと眠気はピークを越えたが、肉体疲労はただいま絶賛有頂天。

 基本的にタフな魔物とは言え、一週間休みなしの肉体労働はキツいってばよ……。


『んふぁあ……』

 

「んー、るきあ、どうしたの?」


「ねむい?」


『いや、そんなことは全然全く、これっぽっちもないぞ?今なら龍だって狩れる』


「わー!すごい!るきありゅうたおせるの!?」


「え!ほんとー!?」


 クッ!しまった!

 純真無垢なショタ&ロリの心配そうな目で口が滑ったぁ!

 かくなる上は………


『あー、俺一人じゃ難しいがそこにいるシオンは一人で倒せるぞ?』


「ルキアてめっ」


 悪いが犠牲になってくれ………俺達は唯一無二の親友だ、そうだろう?

 だから苦難も分かち合おうぜ!

 つーかお前真龍ならともかく亜竜なら単独で()れるだろ。

 Bランクのハイオーガ相手に余裕に勝ってる時点でお前最低でもAランク冒険者とタメ張れるだろうが。


「ほんとー!?」


「しおんすごーい!」


「けんできるの?すごーい!」


「いや、待てちびっ子共!」


 なにかとアイツは子供が苦手だ。

 理由としては純真無垢な瞳を向けられると、自分が薄汚れた人間と分かってしまうからなんだとか。


 ちなみに俺は子供好きだよ?

 大人たちみたいにドロドロして吸ったら蜜のように甘そうな性根とは違って、何にも汚されない純真な心は見てて浄化されるよね。

 子供達のキラキラした目とシオンの苦悩に歪む顔が実に対照的で………ああ!労働によって荒んだ心が癒されていくぅ!!




◇◆◇◆◇◆




 さて、キッズ達と戯れ消耗したシオンを煽りながら冒険者ギルドに向かう。

 お嬢とヘカテは屋台やらを見て回るらしく、別行動だ。

 ヘカテは服やら何やらが少ないんでこの際一気に買ってしまおうとのことで。


『おいおいそんなんで祭の終盤まで持つのか?』


「けしかけた奴が何を言う………ちょっと練兵場に行きたくなってきたんだが?」


『おおっと、俺達は良識な文化人だ。話せばわかる、そうだろう?』


「生憎と戦士(野蛮人)なもんでなあ」


『ワイルドと粗暴を履き違えてるヤツはモテんぞ?』


「野郎……!」


 ビキビキと凶悪な笑みを浮かべるシオンを尻目に歩を進める。

 冒険者ギルドで何が行われているのかと言うと──


「おいゴルドぉ!気張れや!テメエに1万デル掛けてんだぞお!!」


「んな三下に負けんじゃねえよブラウン!」


「ハッハハ!いいぞ飲め飲めぇ!!」


「イッキイッキ!!」


 飲み会&賭けである。

 体を温めるためという大義名分を得た冒険者(バカ)共は、タガが外れたように飲みまくる。

 いつもは依頼の前だからと頑なに飲まない奴も、今日ばかりはと飲むのだ。


 ………まあ、この時期になると魔物も減ってきて、依頼なんて自然と無くなってくるもんだから冒険者達は酒場で酒を飲むぐらいしかやることもなくなるから、割といつものことではあるんだが。

 これが雪解けももうそろそろとなると勘を取り戻すために練兵場で鍛錬をする奴も出てくるんだが、今は生憎と冬真っ盛り。


 この時期に依頼にいく奴なんぞ、金を使い切って冬を越せなくなったバカか、「困ってる人を見捨てるわけにはいかない!」とかいう正義感を持ったバカか。

 どっちも肴にしてもお酒が進ねえ、うん。


「相変わらずバカやってんなー、バカ共」


「お、ようオーフェン」


『来やがったな、クソ憲兵』


「ひでえ言い草だな、おい」


 壁に寄りかかってバカ共を見物してた俺たちに話しかけてきたのは、一週間俺に労働を敷いくれやがった警備隊の副隊長サマだ。


『そりゃあ、バカやってなきゃバカじゃねえからなあ。ところでオーフェン。一週間分の俺の労働の対価がまだ支払われていないようだが』


「酔った勢いで『子供達の笑顔のためならなんだってしてやんよ、暇だしな』とか言ったのはお前だろうが」


『ガッデム!一週間前の俺ェ!!』


「バカだなあ」


『つーかお前どんだけ飲ませやがった!?俺が酔っ払うなんざかなりの量だぞ!?』


「いや、ホントお前酔い潰すのには苦労したぞ?樽五つは行ったんじゃないか?」


『テメエ、仮にも警備兵だろうが!』


「警備隊も予算が下りなくてなあー。ボランティア精神、感謝するぞ?ルキア」


 ええい!誰かこの警備隊の風上にも置けない守銭奴をひっとらえろ!

 全く、清廉潔白の権化たる俺から無償の労働を毟り取るとは、俺特製の劇毒を一服盛ってやろうか。


『ええい!憂さ晴らしだ!シオン!勝負だ!!』


「はっ!いいぜ、お前とは一度白黒ハッキリさせたかったんだ」


 こうなったら八つ当たりも兼ねて飲むに限る。

 どうせ素面の方が少ないこの祭だ、樽の一つや二つ開けとかなきゃ始まらんというものである。

 向こうで決着がついたのを尻目に見つつ、シオンに勝負をふっかける。


「お、シオンとルキアがやるぞ!」


「おお!新しく加わった酒クズ二人か!」


「ていうかルキア、おかしいよな。何で樽直で丸々ひとつ開けてんのに普通に喋れるんだアイツ……」


「それ言ったらシオンもだろ。ウィスキーストレートで行って足元ふらつかないとか狂人だろ、マジで」


「っし!俺はルキアに二千デルだあ!!」


「前回はルキアに掛けて大損したからなあ……俺はシオンに七千デル!」


「さあ、始まりました!酒クズ同士の戦い!今のところシオンのオッズが高まっているがぁ!?一発逆転を狙ってルキアにかけるのもアリだぞ!?さあどうする!?」


 飲み合いが始まればノリのいいバカが仕切り始める。

 酒クズ共め、相変わらずノリのいい連中共だ。


『来いよシオン。今日こそ俺が真の蟒蛇うわばみ、真の酒飲みってヤツを、その肝臓に刻んでやるよ』


「はっ!よく吠えた。鵬国生まれ鵬国育ちの酒狂い………蟒蛇の名がふさわしいのはどっちか身を持って教えてやるよ!」


「おうおう元気だなあお前ら。そんなお前ら(バカ二人)心優しい俺からのプレゼントだ」


「『なっ!』」


 ズドドン!と酒場のマスターがテーブルの上に置いたのはSpiritusと大陸公用語で書かれた酒瓶、それも10本。

 バカな!スピリタスだと!?


「これでも飲んであったまれや」


 そう言って手をひらひらさせてカウンターに戻っていくマスター。

 クソっ!流石にスピリタスは飲んだことねえが………とにかくヤバい酒だってことは知ってる。

 何せアルコール度数95度だぞ?もはやただのアルコールと変わらん。


「おいルキア………逃げるなら今のうちだぞ?」


『はっ、ぬかせ馬鹿野郎。こんなもの出されて逃げたとあっちゃあ酒クズとして、いや、漢としての恥だ。テメエこそ逃げなくていいのか?』


「なに、一度は飲んでみたいと思ってたんでなあ。お前が相手なら丁度いいさ」


『野郎……吠え面かかせてやるよ』


「やってみろ」


『それじゃあいざ、』


「尋常に、」


「『勝負!!』」


「やっぱアイツらバカだろ」


 うるせーぞオーフェン!

 お前だって嬉々として賭けてんだから人のこと言えねえだろうが!!

 なお、死にそうになりながらもスピリタスは全部飲み切り、飲み合いは朝まで続きました。

 勝敗?引き分けだよクソ野郎。

 明日は勝つ!(懲りない、あとその次の日もやった)




◇◆◇◆◇◆




「やっぱり似合いません………」


「そうか?よく似合ってると思うんだが……なあ?」


「ええ!とってもとっても似合ってるわよ!」


「そうねえ、素材がいいと服もひきたつわあ」


 ルキアとシオン(バカ二人)が酒瓶を空にしている頃、女子二人とプラス二名は女子らしく、買い物をたしんでいた。

 と言っても実際は主にヘカテが着せ替え人形となり、それを見てアリシアと服屋の店主ーーアンジェリカ・ヘンゼルとその隣の店で装飾を取り扱っている店の店主ーーメリッサ・モーガンが楽しむという構図だったが。

 今着ているのは黒いゴシックドレスで、ヘカテの紫黒の髪とよく合っている。

 胸には翠色のブローチが付けられており、ヘカテの翠色の瞳と実によくマッチしている。


「んー、でも私としてもう少し明るい色も合うと思うのよねえ……」


「そう?」


「なら青あたりのワンピースを着せてみたらどうだ?髪も瞳も青系統の色が入っているのだし」


「「それね!」」


「ま、まだ着るのですか!?」


「「「当然!」」」


 ヘカテの疲れたような声に三人が嬉々として答える。


 ──イージアの街は今日も喧しく、姦しく

オーフェンって言って分かる人0人説……一応言っとくと、主人公が最初にイージアの街に入ったときに詰め所にいたおっさんです

割と重要人物だったり


主人公はハーレム侍らせて悦に浸るよりも、野郎どもと馬鹿騒ぎする方が好きなタイプ

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