第二十二話 狂気の輩 後
今回はちょっと短め。そして前回投稿日ミスったので今週の金曜日の投稿はナシです。スミマセン……
そして今回も前回に引く続き、アレな回です。バイオハザードをレバー食いながらやれるような同士以外は控えることをオススメします。何があっても自己責任ということでお願いします。
目の前にあるのは合計6つの巨大な樽。
そのうちの二つの蓋が開けられている。
どちらも血がこびりついていない場所というものがなく、下の方に至っては血が黒く凝結している。
片方、呪詛を浴びていない方で生き残っているのは真っ赤な20cmほどのネズミ。
牙からは毒々しい緑の液体が滴り落ちて、体毛が血色なら目も血色。
禍々しいという言葉がこれ以上ないほどにに似合う姿をしていた。
「ヂュアアァアア!!!」
怒りか、それとも餓えか。
俺に向かって牙を突き立てんと飛びかかってくるが、
『はい、お疲れさん』
『ガッ……!』
心臓……ではなく内臓をえぐるようにして突き立てられる万里の堅鎖。
生憎と、こちとらシオンやヘカテ相手に毎日スパークリングやってんだ。
ただの捕食行動に遅れを取るほど甘い鍛え方をしている訳じゃない。
ちなみに心臓を避けたのは心臓から何か素材が取れるかもしれないと思ったからだ。
古来より、生き物の心臓というのは大きな意味を持つ。
で、あればこの地獄を生き抜いたネズミの心臓にも何かしら使い道があるのではないかと思ったのだ。
『もう片方は………ハズレか』
一方、呪詛を浴びた方の樽の中は見事に全滅していた。
一番上にコウモリと蛇がもつれ合うようにして重なっている。
恐らくだが、どっちかが生存競争を勝ち抜いたときに呪詛を食らって死に絶えたのではないだろうか。
まあ、見てないのでわからんが。
『まあ、一つ残っただけでも行幸だろうさ』
ポイっと虚空庫にネズミの死体を入れる。
さて、次だ。
『そいっ!』
今度は虫オンリーの樽を開ける。
すると、
『ぬおわっ!?』
中から2mはあるだろう百足が飛び出してきた。
いや、狭くない?その樽横幅はあんまりないぞ?
だがしかし、こちとら体長10m超えの大蛇である。
高々2mの百足なんぞ敵ではないわあ!
『いざ尋常に死ね!』
「ギイッ!?」
持ち前の長い身体を生かしてムカデに巻きつく。
そのまま「魔力強化」を発動してバキバキと体を折っていく。
なお、毒は使わない。
だって色々変わっちゃうかもしれないし。
折角の素体なんだから丁寧に扱わなければ。
そうしてバキリボキリと折っていくこと20秒、完全にムカデの動きが止まった。
「魔力感知」に「熱源感知」、「気配感知」、「危険感知」と各種感知系スキルを発動させていくと、ムカデの生命活動が完全に停止していることがわかる。
つーか思ったんだけど、さっきのネズミといいムカデと言い………もしかしなくても進化してない?
魔力量からしてDランクの上位ぐらいのやつだったんだけど……。
あんまり強くしすぎないように気をつけよ。
ムカデが出てきた方は呪詛を浴びていない方で、呪詛を浴びた方は見事に全滅だ。
こっちはもう何がなんだか分からんぐらいにグチャグチャしてる。
虫どもの破片があっちこっちにこびりついてて……洗うの大変だあ。
で、最後にごちゃ混ぜにした樽だが……こっちは二つとも生き残ってるっぽい。
めっちゃ音するし。
取り敢えず一個ずつ開けるか。
先ずは呪詛を浴びていない方だ。
『いざ、オープン!』
「ゲコっ」
ピョンと飛び出てきたのはカエルだ。
なんかすっげえでっかくなってるーーなんてことはなく、通常サイズのカエルだ。
ただ、
『すっげえ毒々しい色……』
赤、緑、紫を混ぜたようななんとも形容し難い色の皮膚で、その表面は何かの液体でヌラヌラしている。
というか地面に滴り落ちて石畳がジュアッという音を立てて溶けるから……酸かな?
皮膚はブツブツしたデキモノがあってこれもやっぱり毒々しい色だ。
『取り敢えず殺すか』
「グオッ」
万里の堅鎖を突き刺すと、可愛くない声をあげて絶命する。
一瞬、万里の堅鎖溶けないかな?とも思ったが、流石は我が愛しのお嬢が作った作品。
溶けることなんてことはなかった。
グッジョブお嬢、今日の晩ご飯はお嬢の好きなものにしよう。
『さて、最後は……』
これまで呪詛を浴びた樽は全てダメになってしまった。
しかし、今回の樽は違うようできちんと生き残っているようだ。
めっちゃガタガタいってるしね。
『それではいざ、オープン!』
先ほどまでと同じように、しかし十分な距離をとって蓋を開けると、
「シャアアアア!!」
これまたやっぱり毒々しい色の蛇が飛び出してくる。
蘇芳色の鱗はメタリックのようでありながら、なんとも不吉な雰囲気を醸し出しており、その鱗の間からは恐らく毒なのであろう液体が噴き出ている。
そんな体長4mほどの蛇が、
『ほいっ、と』
「ガッ、!?」
万里の堅鎖に口から尻尾まで貫かれて絶命した。
……いや、確かに毒は危険だろうけど近づかなければ食らわないし。
動きにしたってシオンみたいに頭おかしいほど速い上にブラフ掛けてくるようなトンデモ機動かましてでもこない限り、感知系スキルと「心眼」を使えば余裕で見切れるし。
つまり雑魚ですね、うん。
まあこちとらCランクの魔物なんで、高々Dランクの魔物相手に苦戦する方が問題ではあるんだけれども。
何にせよコイツらは使えそうだ。
カエル、ムカデは普通に有用だろうし、蛇に至っては「呪術」との相性は相当良いはずだ。
『さて、コイツらの素材は後で吟味するとして……』
次に目を向けたのはメスが1匹ずついる檻だ。
今回買った魔物の内分はオス2匹にメス3匹。
この内オスメス共に1匹ずつ蠱毒の作成に使い、もう1組の雌雄は繁殖用だ。
繁殖用に使った雌雄はそれなりに数が増えるまで繁殖させ、それが済んだら次に選別した雌雄と交代させて蠱毒の材料として使う予定だ。
で、最後に残ったメスは何に使うのかというと……まあ、これも繁殖用だ。
この場合の種はどれのを使うのかと言えば、それは俺のだ。
異種族間で繁殖行為をした際に母体がどのような反応を見せるのか、またそれによって生まれてくる子はどちらのモノかなどを見るためにやっている。
『ランクが低い母体はダメか……』
母体に関してだが、これは種族で差があった。
大体E、Fランク程度だと交尾した後、因子か何かに耐えられないのか、絶命してしまった。
Dランクであればそれなりの数が生き残り、今は産卵期間に入っている。
ただ、これにも種族差があり、蛇系の魔物であればFランクでも母体が耐えられるものはあったのだが、虫やほかの哺乳類系の魔物となるとこれも絶命してしまったり、絶命まではしないものの、孕む気配がなかったりした。
やっぱり種族的に近ければ近いほど母体が孕む確率は高いように思える。
まあ普通に考えれば蜘蛛が蛇の子を生むわけがないよねっていう。
当たり前のことではあるが、もしかしたらキメラ的なヤツが生まれてこないかなーという期待の元、ダメ元でやったのだが……結果はこの通りだ。
『次は高ランクかつ種族が近いモノでやってみるか……その次は少しずつ種族を離していってキメラができないかどうか試してみようか』
──今日も今日とて狂騒の宴が開かれる
──それらは向上心のもとに




