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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第二章 戦火舞い散るは古の神殿
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第十八話 苦い

最近真面目なタイトルが多い気がする……

でもこのサブタイ結構好きだったりします

『んあぁ?』


 本日2度目の意識の暗転から目覚める。

 周りを見渡せばみんな眠っている。

 お嬢は俺にもたれかかるようにして、メイド服の代わりにお嬢のワンピースを着たヘカテは正座したまま、シオンは「銀光」を抱いたまま壁に寄りかかるようにして。


 いや、ヘカテ凄えなオイ。

 ピシッと背筋を伸ばしたまま寝てるぞアイツ。

 あれで疲れとれんのか?甚だ疑問である。


 ──っと、今の自分の状態を確認しようか。

 身体は進化する前と比べてかなり大きくなっており、お嬢、ヘカテ、シオンを全員囲んでも身体が半分は余りそうな程に大きい、というか長い。

 まあ長さに比例して太くもなってはいるんだがそれでも「長い」という印象を受ける。


 それにしてもデカくなったなあ……。

 人間1人ぐらいだったら丸呑みできるぞ?口のサイズ的に。

 鱗の色は……種族選択欄の説明にあった「黒蛇」というよりは黒銀と言った方が相応しいと思う。

 キラキラとダンジョンの壁にかけられたランプが放つ炎の灯りが揺らめいて幻想的な印象を受ける鱗は黒みがかった銀色に光っている。


 前の白銀の鱗も良かったが今の黒銀色のほうが俺としては好みだ。

 見るからに堅そうな鱗と以前よりも耐久性を増した身体は俺自身本能的な部分で何となく把握できる身体能力からすれば、あのミノスの通常の一撃を一回ぐらいであればまともに食らっても問題なさそうである。


 流石に炎のアレは未だにキツいわ……。

 変わったのはこれぐらいだろうか。

 強いて付け加えるのであれば牙が大きくなったぐらいか?

 でも体長に合わせて大きくなったって感じだしなあ……。

 後はステータスか?



 Name :ルキア

 Level:1 (Total Level:86)

 Phylum :魔物

 Species :グローツラング

 HP :1,276/1,276 (485up)

 MP:1,528/1,528 (814up)

 Strength :583 (221up)

 Vitality :624 (273up)

 Dexterity :561 (206up)

 Agility :601 (236up)

 Stamina:610 (252up)

 Luck :24 (2up)

 Skill:

  【耐性系】

    精神苦痛耐性Lv.100  

    毒耐性Lv.30 (10up)

  【魔法系】

    毒魔法Lv.50  

    呪術Lv.19

    流水魔法Lv.38

    魔力操作Lv.41   

    魔法調整Lv.32

    並列詠唱Lv.34

  【感知系】

    暗視Lv.27

    熱源感知Lv.45  

    魔力感知Lv.46   

    気配感知Lv.12

    危険感知Lv.14

    心眼Lv.40

  【身体系】

    尾撃Lv.39  

    魔力強化Lv.41  

    剛体Lv.36  

    縮地Lv.19

  【その他】

    念話Lv.39

    硫毒生成Lv.1 (new)

    霊体化Lv.1 (new)



 うわぁ………。

 色々言いたいことはあるが取り敢えず。

 MP上がりすぎじゃない?

 倍以上よ倍以上。

 遂にMPがHPを超えたのはマジックユーザーとしては喜ばしい限りであるがそれにしても伸びすぎじゃない?


 後は今まで一番高かった敏捷が頑丈と持久に抜かれたことか?

 多分種族特性なんだろうが……何というか。

 移動要塞?

 ステータスのバランスが完全にそんな感じだよね。

 これで空飛んだら完全に空中要塞のソレになるよなあ。

 一番低いのが器用、と。

 まあこの巨体で器用だったら詐欺だが。

 ……いや、万里の堅鎖で料理とかしてるからあながち間違いでもないか?

 今度裁縫にも挑戦してみようかしら、ヘカテにも教えたいし。


 閑話休題


 スキルに関しては新しく覚えたのが「硫毒生成」と「霊体化」か。

 んで、これが詳細。



「硫毒生成」

 魔力を変質させることで自身の体内で呼吸器に支障をきたす刺激臭を伴った毒を生成する。毒の形状は液体、気体どちらにも変化が可能。毒の強さ、量は変質させた魔力量に依存する。


「霊体化」

 自身の身体を魔力炉内の魔力で置換することで自身の身体を一時的に非物質化させる。


 

 「硫毒生成」は蛇らしいと言えば蛇らしいスキルだ。

 ただ毒の特徴と名前からして……これ二酸化硫黄か?

 呼吸器に支障をきたす毒性物質で刺激臭を伴うものといえばそれぐらいしか思いつかない。

 シオンの話では、グローツラングが住処としていた場所からは硫黄の匂いがするというから温泉ではなく、グローツラング自身が出していたのか?

 温泉が見つかったのは単なる偶然だったのだろうか。


 まあ、どっちにしてもグローツラング()への感情がプラスになればいうことはないのだが。

 どれぐらいの毒なのか、魔力をどれぐらいの消費ーーではなく変質かーーすることでどれぐらいの硫毒が作れるのか検証しないと。


 それに何より気になるのは硫毒自体が操れるのかどうかいう点だ。

 例えば気体にして撒き散らしたときに硫毒を操れるにであればいいのだが、操れないのであれば下手をすれば味方にまでも危害を加えてしまう。

 ないと思いたいが最悪俺にも効くかもしれないからその辺り検証が必要だろう。


 ちなみに魔力炉ってのは生物の魔力の生成器官だ。

 まあ器官と言っても霊的なもので物体としては存在しないらしいが。


 「霊体化」は簡単に言ってしまえば透明人間化だろうか。

 それもすり抜けるタイプの。

 ただこれ、気になるのが「置換」というキーワードだ。

 置換ってことは身体の構成物質を魔力で代替するってことだろ?

 ……魔力足りるか?

 12mの巨体を置換するのであれば魔力と肉体の交換比率にもよるが相当な魔力量が必要なんじゃないか?


 新しく覚えたと言えば「毒魔法」は新しく『ポイズンアイヴィ』という魔法を覚えた。

 これは指定した範囲内で毒液でできた紫色の蔦を作り出す魔法で、触れた相手は皮膚から毒が染み渡り、やがて神経にまで到達すると運動神経に支障をきたし、呼吸困難に陥らせるという……まあ、いつもの神経毒だ。

 他の魔法と違うのは触れただけで毒が体内に行き渡るという点だろうか。


 『ポイズンジャベリン』や『ポイズンバレット』なんかは傷口から毒が行き渡るタイプだったし『ポイズンスワンプ』や『ポイズンミスト』は経口摂取によって毒が体内にに侵食していくタイプだ。

 1番近いのは『ポイズンイクリプス』だが、あれは他の魔法が使えなくなったり、ずっと視認していなければならなかったりと結構制約があった。

 対してこちらはそういう制約はほとんど無い。

 ……まあ、体内から毒が発生するという凶悪さには負けるが。


「んぅ?ルキア?起きたのか?」


 そんなこんなで俺が新しいスキルやアーツについて考えてウンウン唸っているとお嬢が起きた。


『おはよう、お嬢。それともこんばんはの方がいいか?』


「おはようルキア。おはようで合ってるぞ?もう朝の7時だ」


 お嬢が宝物庫から懐中時計を取り出して時間を確認する。

 ミスリルでできた時計の短針は7と8の中間よりも7によったところを指し示している。

 え、マジか。

 俺達がミノス戦を終えたのがお昼頃で、一度目覚めたのが夕方だった筈だ。

 てことは半日ぐらい意識を失ってたのか?

 前の進化の時はそんなでもなかったんだがなあ。


『俺が意識を失ってた間、何か変わったことは?』


「いや?まあ、ボス部屋の中にはボス以外の魔物は入ってこないからな』


 ボスを倒せばボス部屋の中は安全領域になる。

 ボスを倒してから再出現(リポップ)までは丸一日必要なので今は完全に安全領域となっている。

 まあ、過去にはいつまでもボス部屋に居座って再出現(リポップ)したボスに殺された冒険者もいたそうだが。


「強いていうのであればおまえが進化していく様を見るのはなかなか面白かったぞ?」


『え、どんな感じだったの?』


「ゆっくり身体が作り変わって行くような感じだ。少しずつ大きくなって色も変わっていくのを見るのはなかなかに興味深かった」


 ギラリと研究者としての好奇心が垣間見える、怖えよその目。

 そんなことを話していると残りの2人も起きたようで、


「ご主人様、アリシア様おはよう御座います」


「おはようさん。なんだルキア。カッコよくなったじゃねえか」


『そうだろう?この鱗結構気に入ってるんだぜ?』


「私としては前の白銀の鱗も捨てがたいが……確かにこっちもいいな。うぅん、どちらも甲乙付けがたい……」


 そんなことを話しながら朝食を取った。




◇◆◇◆◇◆




「どうするか……」


 ボス部屋の最奥。

 次の階層と転移の台座のある踊り場へと繋がるボス部屋の小部屋で見つけた宝物の中身を見てお嬢が呻く。


 基本的に俺達はは虚空庫などの入用のものでなければ宝箱の中身は売り払っている。

 シオンにしてもポーションの類は持っているし、武具は蒐集しているのがあり、宝石なんかも別に欲しくはないので売ったことで手に入るお金を山分けするということに同意している。

 倒したものの素材は、冒険者ギルドでシオンから買い取った時の半分の額をお嬢が買い取るというような形になっている。


 では何が問題なのかといえば、今回の宝箱の中身が小太刀だったのだ。

 それも魔剣。

 魔剣や魔槍といった類は普通の魔道具とは違い、魔法刻印がなくともそれ自体が何らかの能力を持っている。

 そういった魔剣や魔槍をひっくるめて魔装というらしい。


「魔剣の概要は?」


「……銘は「吸魔の小太刀」。斬りつけた対象から魔力を吸い上げてその魔力で小太刀の強度、切れ味なんかを強化する魔剣だな。言ってしまえば使えば使うほどに強くなっていく魔剣だ」


『ほお』


 俺の万里の堅鎖と同じようなものか?

 万里の堅鎖は大気中の魔力を吸収して強度を上げるという性質を持っている。

 ということは……


『万里の堅鎖の下位互換?』


「いや、これ所有者の余剰魔力や任意で消費された魔力も吸って強化されるからどちらかと言えば上位互換だろう。強化倍率も多分こっちの方が高い」


『へえ……』


 てっきり下位互換かと思ってたらまさかの上位互換か。

 なら……


『シオン、いる?』


「欲しいと言えば欲しいがそれはヘカテかルキアが持っているべきだろう。それは君とヘカテが勝ち取った物だ。俺が持つ資格はない」


 ま、そうだろうな。

 と言うかそれ抜きにしてもヘカテは今回のボス戦で愛刀を失っているからちょうどいいだろう。

 むしろ狙ったのか?と言うタイミングだ。


『ヘカテ、受け取れ』


「い、いえ!そのような高価なものは受け取れませ『ヘカテ』


 ヘカテの言葉を遮って、意図的に低い声を出す。

 そんな俺に驚いたような顔でこちらを見るヘカテ。

 まあ、あんまりこういうのは得意じゃないんだがこれも主人の勤めとして割り切るしかないだろう。


『刀を持ってない今のお前は足手纏いでしかない。役に立ちたいのならばつべこべ言わずに受け取れ』


 偽悪


 そういうのは正直に言ってあんまり好きじゃないんだ。

 それでもやらなければならない時は必ずあるものだし、もう少しいい方法があったのかもしれないが今の俺にはこれしか思いつかなかった。

 まあ正直なところ、足手纏いになるかどうかは進化した今では分からない。

 ヘカテも新しいスキルを覚えただろうし、それらを使えば小太刀無しでもこれまで以上に戦えるかもしれない。


 ただそこの正誤は今は問題ではない。

 今ここで重要なのは「俺が足手纏いと思った」という事実であり、ヘカテの性格からしてまず間違いなくそれが正しいと思うだろう。

 例えそこに幾らかの違和感を覚えたとしても。


 ……ホント、こういう知恵はあまり回って欲しくはないんだが。

 そのくせ今のが最善と思ってしまう自分に反吐が出る。

 敵にだけこういう思考ができるような便利な思考回路だったらよかったんだが。


 「………はい」


 己の無力でも嘆いたのだろうか。

 か細い声で答える。

 ……こういう顔をするからやりたくなかったんだよ。


 俺の言葉を間に受けて、それで悲しむようなことなんか分かりきっていたからやりたくなかったんだ。

 自分を慕っている相手を貶めるような真似は、いつまで経っても慣れない。


 例えそれが方便だったとしても。

 慣れちゃいけないんだろうが。

 何時になっても、何処でやっても後味が悪いのは変わらん。

ステータスが大幅に上がったのは前回とおんなじような理由

付け加えて今回はレベルアップできなかった余剰分もちょこっと含まれてます

ミノスでガーディアンだと主人公ぐらいのレベル帯は一気に10や20ぐらい上がったりします

そんぐらい強い相手でした

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