第十二話 青い猫型ロボットが持ってるアレ
ステータス欄レベルの項目ににトータルのレベルを入れておきました
『つっかれたー!!』
魔力がすっからかんになったことで死ぬほど怠い身体を石畳に放り出して寝そべる。
魔力切れって結構辛いんだよね。
イメージとしては体の内部にまで重しをしている感じ。
体のありとあらゆる部分が重く、怠い。
「よう、お疲れさん」
石畳のひんやりとした感触を楽しんでいると上からそんな声がかかってきた。
……化け物め、一人頭で言うならコイツが一番多いはずなのにピンピンしてるどころか心なしかツヤツヤしてやがる。
「しかし随分とお疲れだな?」
『当たり前だ阿呆。見ろ、お前と1時間ぶっ通しで稽古し続けても根をあげなかったあのヘカテですら座り込んでんだぞ?あの混戦で未だに元気が有り余っているお前がおかしい』
「まあ俺からすればそれほど強い相手じゃなかった訳だしな?ランク的には同ランクの相手と連戦してたお前たちと比べれば楽ってもんよ」
『…………むぅ』
実力差は嫌と言うほど分かっちゃいるんだが、こうも余裕そうにされるとちょいとばかし腹が立つというものだ。
流石にこの感情はどうしようもない。
理屈ではないのだから。
嫉妬……とは少し違うか?自分自身への不甲斐なさだろうか。
胸のモヤモヤとか全部その横っ面に『ポイズンジャベリン』でもぶち込んでやりたくなる。
「……なんか変なこと考えてないか?」
『ソンナコトナイヨ?ホントホント。ルキアウソツカナイ』
「隠す気ねえだろ、お前」
『あ、バレた?』
お嬢が毎度お馴染み『セパレート・ボディ』で魔物の死体を解体していくのを尻目に漫才じみた馬鹿な会話をする。
ヘカテを見ればまだ呼吸を整えている途中のようで座り込んで荒い息を吐いている。
……まだ会話できるような状態じゃないな。
まあ、戦闘が始まってから終始走り続けていたんだから当然と言えば当然か。
しかしそうなるとシオンの化け物っぷりが窺えるというものだ。
Name :ルキア
Level:49 (Total Level:84)
Phylum :魔物
Species :ホーンドサーペント
HP :781/781 (80up)
MP:176/704 (80up)
Strength :357 (40up)
Vitality :346 (40up)
Dexterity :350 (40up)
Agility :360 (40up)
Stamina:353 (40up)
Luck :22 (1up)
Skill:
【耐性系】
精神苦痛耐性Lv.100
毒耐性Lv.17 (3up)
【魔法系】
毒魔法Lv.47 (1up)
呪術Lv.14 (new)
流水魔法Lv.34 (2up)
魔力操作Lv.37 (4up)
魔法調整Lv.27 (6up)
並列詠唱Lv.30 (11up)
【感知系】
暗視Lv.27 (1up)
熱源感知Lv.42 (5up)
魔力感知Lv.43 (3up)
気配感知Lv.6 (new)
危険感知Lv.8 (new)
心眼Lv.37 (3up)
【身体系】
尾撃Lv.38 (4up)
魔力強化Lv.39 (2up)
剛体Lv.33 (4up)
縮地Lv.13 (6up)
【その他】
念話Lv.39 (1up)
雑談の合間にステータスを確認する。
レベルは連戦によって上がり、スキルも全体的に伸びているが最も伸びが顕著なのは「魔法調整」と「並列詠唱」だろう。
元々スキルレベルが低かったのと魔法をバカスカ撃ったことによって「並列詠唱」に関してはちょっと引くぐらいの上がり方をしている。
で、毎度お馴染み新しい魔法とアーツの確認だが、今回は「尾撃」と「毒魔法」だ。
全体的にスキルレベルが上がってきたこともあってスキルレベルが上がるのも遅くなってきている。
まあ当然っちゃあ当然だが。
新しい「尾撃」のアーツは『回旋』。
これはちょっと変わったアーツで、アーツを打つ直前に回転した数がアーツの威力に直結する。
言ってしまえばその場で回れば回るほどに威力が上がるスキルだ。
……使う機会がなさそうと思ったのは俺の思い違いだと思いたい。
「毒魔法」は『ポイズンミスト』。
指定した周囲一帯に毒の霧を発生させる魔法だ。
『アシッドレイン』同様、対多数の時に輝く魔法だろう。
……ダメージ覚悟で自分の周囲に発生させて目眩しに使うという手もあるがそういう使い方をしなけければならない機会が訪れないことを祈ろう。
新しく覚えたスキルは「気配感知」に「危険感知」。
どっちも感知系のスキルで「気配感知」は文字通り気配を探るスキル。
「魔力感知」がレーダーみたいなのに対してこっちはなんとなくそこに生物がモヤみたいなのを発しているのが分かる感じだ。
このモヤみたいなのが「気配」なんだと思う、多分……。
「危険感知」は文字通り危険を感じ取るスキルだ。
第六感とか獣の勘みたいなもんかな?
しかしこのスキル、対象と自分の戦力差から危険度を察してそれを悪寒として伝えているようで……。
お嬢とシオンからすごい悪寒がし続けている。
しばらく慣れそうにないな……。
「おい、終わったぞ」
そんな風に馬鹿話を10分近く続けていると、お嬢の解体が終わった。
『お。お疲れ様ー、いつもありがとうね』
「おう、お疲れさん」
『お疲れ様でした、アリシア様』
「ああ。それとルキア、これ」
『ん?』
そう言ってお嬢が俺に渡したのは何やら魔力を蓄えた金属製の腕輪のようなもの。
黒曜石のように黒く、外側にルビーのような宝石がひとつだけ付いている。
『お嬢、コレは?』
「モンスターハウスや隠し部屋にはそこにある宝箱を守っているボスがいる。……まあ今回はシオンが雑魚諸共倒したみたいだが。で、宝箱の中身がそれだ。「鑑定」のスキルを使ってみたところ、私のもっている宝物庫の劣化版、というよりはアレンジ版とでも言うのか?他に言い方がないからそれであっているのか分からんがそんな感じの魔道具だ」
「鑑定」というのはよくラノベであるステータスなんかを閲覧できるようなものではなく、単に物品の名前と価値、そしてその概要なんかを知ることができるスキルだ。
「鑑定」を取得するには多くの美術品や魔道具に触れたりして目を養う必要があり、このスキルを持っているだけで将来は安定した仕事につけることは間違いなしなんだとか。
『へえ……名前と詳しい効果は?』
「名前は「虚空庫」というらしい。私の宝物庫が収納するものに上限がないのに対し、そっちはかなり容量が大きいものの上限はある。その代わりと言っては何だが虚空庫のなかでは時間が止まっているそうだ」
「はあ〜〜〜そらまた便利なことで」
シオンが感嘆の声を上げる。
俺も同意見だ。
全国の主婦が喜びそうなアイテムだな、こりゃ……。
かくいう俺も食事を作るのはヘカテの手伝うが基本的には俺なので非常に助かります。
「あ、そうだ。お前が欲しがってたモノは先に入れておいた。ついでに金もいくらか。無くなったら言え」
……このお嬢様クソイケメン過ぎでは?
この「いくらでも払ってやるよ」と言わんばかりのオーラ……眩しくて目が潰れそう。
いやでもそこらの騎士なんかよりも稼いでるんだよなあ、この人……。
それで本人もアホみたいに強いとか甲斐性あり過ぎでは?
後俺が欲しかったもの入れてくれた心遣いとその太っ腹に感謝して、敬礼!
着けるにしても腕がないので万里の堅鎖を使って頭まで持ってきて首輪のように首に着ける。
やっぱり魔道具なので伸縮機能が働いて俺の首にぴったりはまった。
これで今俺の首には3つほど首輪がはまっている。
万里の堅鎖、従魔の首輪、そして虚空庫だ。
大分ゴテゴテしてきたな……。
虚空庫の中に入ってるものは虚空庫に手……はないので尻尾をあてて念じれば頭の中に浮かんできた。
出したいものを選択して「出てこい」と頭の中で念じれば出てくる仕組みだ。
出し入れするときに多少は魔力を消費するがそれを加味してもあり得ないぐらい有能だ。
めっちゃ便利。
「へえ……いいなあ」
「お前は宝物庫を作ってやっただろうが。まだ料金払ってないんだからそれ代金がわりにしてやる」
「うっ」
痛いところを突かれたと言わんばかりにシオンが呻き声を上げる。
つい数日前にシオンがお嬢に頼んだのが宝物庫の作成だ。
なんでも蒐集した刀を入れるスペースが今泊まっている宿屋だとそろそろ無くなりそうなのだとか。
しかしお嬢の頼んだのはいいものの、代金がまだ用意できていないらしい。
それもそのはず、宝物庫は希少な素材と魔法金属、そして「時空間魔法」を高い練度で修めている秀逸な魔法使いに錬金術師が揃ってようやく完成させることができる超がつくほどの高級品だ。
なお、お嬢は後ろの2つを1人でやっているとか。
相変わらずの化け物め……。
知り合いということもあってかなり安くしてもらっているそうだが、それでも数年は生活をやりくりして稼がないと払えない額だそうで。
屋敷が2、3個買えるぐらいの価格だそうだからそう易々とは稼げないだろう。
……というか数年もあれば暗に稼げると言っているシオンの底が知れない。
『いや、良かったのか?』
「まあ、個人的に欲しいのは容量に上限がない宝物庫の方だからな……。なに、残念がってるのは高く売れそうだったからだ。どうしても気にしてんなら貸しにしといてやるよ」
『あ、それはいいわ』
「ちっ」
野郎……最初から貸しにする気だったな?油断も隙もあったもんじゃねえ。
『しかしこれ、実際どっちの方が高いんだ?』
「あんま金額に差はねえなあ」
「ただ私が作ったというだけでもそれなりの箔は付くから私が作った宝物庫のほうが高くなることもある。一概には言えんが」
『ほお』
ネームバリューというやつだろうか。
例えばピカソが描いた絵は200億もするそうだがそれは単に素晴らしい絵だけではなくーー勿論素晴らしい絵なんだろうがーーピカソという人が描いたからこそそれほどの値段が付く。
流石にそこまでの付加価値は付かないだろうがそれでも「アリシア・ローレライが作成した魔道具」というものはそれだけで価値のあるものなんだろう。
「そうなるとヘカテにも宝物庫を持たせておかないとな、ほれ」
そう言って宝物庫の中から宝物庫を取り出してヘカテに渡す。
……いや、なんで入ってるん?ドラ○もんのスペ○ポケットかよ……。
『あ、アリシア様!そんな、私にそのような高価なものなど勿体無いです!』
「たわけ。私の使い魔の眷属ならばそれ相応の魔道具は持っていてもらう。と言うかあんまりヘカテの持ち物が貧相だと周りの有象無象が鬱陶しい……」
あ、これ後ろの方が本音ですね?
まあ、分からんでもないが……。
お嬢曰く、魔法使いにとって使い魔とは一種のステータスだという。
珍しい魔物を連れていてば称賛の声も上がるし、ランクの高い魔物を使い魔としていれば本人の魔法使いとしての力量も高く見られるのだとか。
信頼を置いている使い魔には自分が作成したり作成に関与した魔道具を贈るのが通例であり、そうでない使い魔を連れて歩くのは「信頼できる使い魔がいない」と言いふらしてる証拠なんだとか。
それ使い魔持ってない魔法使いも同じじゃね?とか思わんでもないが、不思議とそうは見られないらしい。
それは偏に魔導師の中に使い魔を持っていない人がいるかららしいのだがお嬢も詳しいことは喋らなかった。
『ヘカテ、貰っておきなさい』
『ご主人様……』
『我が主人からのご恩上だ。無碍にはするな』
ここぞとばかりに主人としての威厳を見せる。
だってこうでもしないと威厳的なもの見せる機会とか無いじゃない?
『……承知致しました。アリシア様、大事に使わせていただきます』
「ああ」
満面の笑みを浮かべてお礼を告げるヘカテにお嬢もまた和らい笑顔で返した。
「いやあ、眼福だなあ……そこんとこどうよルキア」
『いや、女の子同士がキャッキャウフフしてるのもいいがこれもまた捨てがたい……。まあなんだ、可愛い女の子が笑ってるのは大変目の保養になる』
「心の底から同意しよう」
「貴様ら……」
2人ともお嬢に杖でぶん殴られました。
個人的には差し引きプラスだから別にいいけどね!女の子の笑顔プライスレス!!
百合は百合でいいものだ。
スキル欄に「呪術」があるのはミスじゃありません。そのうち出します
ここでちょっとした設定吐き出し
全ての魔物には「因子」というものが存在します。
例としては蛇の因子、鬼の因子、龍の因子、狼の因子、牛の因子などなど……種類は膨大ですが魔物は一体につき複数の「因子」を所有しています。
この「因子」はその個体の属性みたいなのを決める要素であり、スキルとの相性なんかもこれで決まります。
主人公であれば蛇の因子が突出して強いため蛇に関連する「毒魔法」や感知系のスキルとは相性がいい反面、「流水魔法」なんかのスキルはあんまり相性が良くなかったりします。
よって前者のスキルの伸びは早く、後者のスキルの伸びは遅いです。
作中ではLv.50を超えたあたりからハッキリ見えてきます。
一方人間にはこの「因子」が存在しないので本人適正こそあるものの、種族的に問題がない限りあらゆるスキルの習得と習熟が可能です。
つまり特化させたいのであれば魔物、幅広くやりたいのであれば人間ということですね。
え?お嬢?いや、アレはイレギュラーですし。
元々本人の素質がズバ抜けて優れているというのもありますが、それと同じぐらい外的要因が大きかったりします。




