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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第一章 白蛇と魔女
35/125

第三十四話 犬将迎え撃つは毒蛇

遅れてスミマセン……。

いや、かぐや様とか見てたら……ね?

 

自分の小説読み返してて「あれ、私の1話ごとの文字数少な過ぎ?」って思ったので今話から、と言うよりは前話から文量増やします。

 後衛皆殺し事件の後、何度か魔物達が襲ってきたものの最初ほどは苦戦する事なく勝利を収めることができた。

 それができた要因は単純に慣れたからだろう。

 オーガは確かに堅牢と評すべき壁役ではあるが、味方全員を覆えるわけではない。


 故に最初と同様、隙を作って誘い込むなり背後から攻撃するなりすれば他の魔物達は殺せるというわけだ。

 ……あまり俺好みの戦い方ではないが。

 何はともあれ複雑な迷宮を抜けて、ボス部屋の前まで来たところでそろそろ良い時間になったのでボス部屋の前で一泊してから明日、第十二階層のボスに挑もうといううことになった。

 

『で、お嬢。今回はいつ帰るんだ?』


 正直ダンジョンに来てからすぐに聞きたかったことではことではあったのだが、タイミングが掴めずに先延ばしにしてしまっていたことを尋ねる。


「今回は明日ボスを倒したら帰る予定だったが……もっと先に進むか?」


『いや、それで構わない』


 流石に毎回2週間だの長居させられても困る。

 短期間ならともかく、長期間穴蔵の中に篭っているというのはいささか精神的にキツイ。

 普通の蛇なら穴蔵生活でも問題ないだろうから、ここらへん自分は元人間なんだなぁと思う。

 ……しかし


『お嬢って何やって飯食ってるんだ?』


 そこらへん大概謎なのが我が主である。

 基本実験場に篭っているからどこかで働いているわけじゃないし、屋敷に誰かが出入りするようなこともない。

 何やって食いつないでるの?という疑問が出てくるのは当然のことだろう。


「何って……色々だな。作った魔道具の納品だったり新しい魔法の開発だったり……。書いた論文が学会で評価されればそれに応じて賞金が貰えるし。後は気が向いたり魔法の試し撃ちがしたくなったりしたら魔物の討伐依頼を受けたりするかな」


 ……なんちゅう趣味人だよ。

 まさかの全部魔法関連とは思わなかったぞ。

 いやでも待てよ?


『この数ヶ月は何の仕事してたんだ?』


「んー?最近は……、魔道具の納品と論文の提出だな。「召喚魔法」で召喚した魔物に荷物を運ばせて魔法協会のイージア支部まで届けさせれば良いだけの話だからな」


 それで家に篭りっぱなしでも金が稼げていた、と。

 元社畜としてはなんとも言えないモヤモヤがあるが……養われている分際でどうこう言える立場ではないだろう。

 その後も色々会話をして、日付が変わる前に床に着いた。




◇◆◇◆◇◆




『ボスを倒したらそのまま転移の台座に乗って帰る、でいいんだよな?』


「宝箱を開けるのも忘れずに、だ」


『はいはい、分かったって』


 朝食を食べながら今後の予定を確認する。

 いつからこの子はこんなに欲深かな子になってしまったのかしら……おじさん悲しいわ。

 ……いや、割と最初っからだった気がする。


 それはさておき、いよいよ待ちに待ったボス戦だ。

 扉の彫刻には一際大きな犬の頭がついた魔物が部下と思しきこれまた犬頭の魔物を指揮している様子が描かれていることから、コボルトの群れであろうとはお嬢の言。


 なんでお嬢も分かってないの?ときくと、お嬢は第十一階層までしかきたことがないのだとか。

 まあ、本職冒険者じゃないしね。


 っと、忘れるところだった。

 ボスに挑む前にステータスを確認しておこう。



 Name:ルキア

 Level:20

 Phylum :魔物

 Species :ホーンドサーペント

 HP:491/491

 MP:414/414

 Strength :212

 Vitality :201

 Dexterity :205

 Agility :215

 Stamina :208

 Luck :19

 Skill:

  【耐性系】

    精神苦痛耐性Lv.100

    毒耐性Lv.10

  【魔法系】

    毒魔法Lv.39  

    流水魔法Lv.23

    魔力操作Lv.26

    魔法調整Lv.5

    並列詠唱Lv.2

  【感知系】

    暗視Lv.23

    熱源感知Lv.33  

    魔力感知Lv.35  

    心眼Lv.30

  【身体系】

    尾撃Lv.30

    魔力強化Lv.32  

    剛体Lv.22

  【その他】

    念話Lv.32



 「尾撃」のスキルレベルが30まで上がったことで、新しく『飛斬』というアーツを覚えた。

 これはよくある飛ぶ斬撃を放つアーツで、アーツを使うのに込めた魔力分だけ威力と速度が上がる、単純ながら使いやすいアーツだ。


 また、新しく「並列詠唱」というスキルも覚えた。

 祝、マルチキャスト!

 「スキルレベルの10の位の数は+1」が一度に増やせる魔法の数となっており、例えば今だと「0+1」で1つ魔法が増やせるから二重詠唱まで可能だ。


 さて、ステータスの確認も終わったしそろそろ行きますか。

 ギイィと音を立てて扉を開ける。

 すると目に写るのは成人男性ほどの背丈の犬頭の群れ。

 数はざっと15匹ってところだ。


 ハイコボルト達はこれまでの魔物達とは違い、革鎧を着込んで名剣では無いものの、そこそこいい剣や槍を持っている。

 その中でも目を向けさせられるのは、後方に鎮座している一際大きな個体。

 手にはツヴァイハンダーと呼ばれる大きな大剣を持ち、革鎧に加えて鉄製の兜まで着込んでいる。


『うっは。面倒くさそうだなぁ、オイ』


「そこそこいい装備をしているのに加えてあの数だ。付け加えるのならコボルトという種族は総じて素早い。大剣を持っていてもあの体躯相応に膂力もあるだうから舐めてかからないほうがいいだろうな」


 だろうなぁ……見るからに力ありそうだもん、アイツ。

 後で知ったんだが、あの一際大きい個体はハイコボルトジェネラルと言うのだとか。

 いやもう名前からして強そうだよね。




◇◆◇◆◇◆




「射抜け『ボルティック・レイ』」

 

『纏めて死ね『アクアトルネード』』


 カツカツンと杖が二度、石畳を叩いたかと思うと7つの雷光砲がハイコボルト達に襲いかかり、前衛が雷光に目を奪われた隙に密集しているハイコボルトマジシャンと思われる後衛のいる所に2つの流水の竜巻が荒れ狂う。

 フハハハハハ!バカめ!!

 いくら革鎧を着ていようと範囲魔法の前には無力と知るがいいわ!フフハハハ!!


 ……しかしお嬢も張り切ってるなあ。 

 明らかに上級の魔法と思われるような雷光砲を発射する魔方陣が7個。

 いずれもハイコボルト2体は包み込めるような極太の電磁砲であり、この初撃で9体死んだぞ?


 まあなんだかんだ言って俺も後衛の4体を天井にベシャリ、と叩きつけてグシャリ、と地面に落としてぶっ殺したんだが。

 何はともあれ初撃で取り巻きの13体は殺して残るは最後の取り巻き1体とハイコボルトジェネラル1体の計2体。


 ……いや、流石にここまでの結果は予想してませんでしたわ。

 最初に俺とお嬢で範囲魔法ぶっ放して取り巻き皆殺しにしようぜ!と和やかに作戦会議をしたのだが、まさか取り巻き皆殺しににリーチがかかるとは思っていなかった。


 後で聞いたんだが、お嬢はお嬢でそれなりに手加減はしたのだとか。

 ただ、俺が水の魔法を使ったせいであちこちに水を付着させたことにより、ハイコボルト達が予想以上に多く感電死したとのこと。

 あ、もしかしなくても俺のせいですね!


『お嬢!後は俺がやる!援護はいらん!!』


「承知した。ヘマするなよ?」


『応よ!!』


 しかし俺は過去を振り返らない男。

 そんなことは知らねえとばかに「魔法調整」で威力を高めた『ポイズンバレット』を「並列詠唱」で弾数を増やしてハイコボルトジェネラルに撃ち込みながら接近する。


 最後に残った取り巻きであるハイコボルトは持っていた円盾で防ごうとするが、持っていた円盾は所謂バックラーと呼ばれる小型の盾だ。

 剣から放たれる斬撃であれば問題なく受け止められたであろう盾は、しかし、魔法の銃弾を防ぎ切るには大きさが全く足りず、あっという間にハチの巣になった。


 それでも壁役としての責務は果たしたようで、背後のハイコボルトジェネラルには傷はほとんどなく、万全と言っていい状態だった。


 ……ここで「ほとんど無傷」となってしまうのはハイコボルトとハイコボルトジェネラルとの身長差が故だろう。

 どころどころに爛れたような傷を負いながらもその俊敏さを生かして接近して来る。

 振り上げられる大剣、迎え撃つのは腹の方が刀のようになった尻尾。

 「魔力強化」と「尾撃」のアーツである『波涛』に加えて「心眼」による体内時間の遅延効果まで使って大剣の面を叩く。

 持ち前の身体能力を十全に生かして放たれた斬撃は、美しい弧を描いてしかし、コンパスの針をズラしてしまったかのように歪な軌道を描いて石畳に刺さった、と言うより埋まった。


(絶好の隙を見せた今こそ好機!)


 そう思って喉笛を噛みちぎろうとして、


「グオオオォオオア!!!」


『ぬあっ!?』


 ()()()()()()()に吹き飛ばされた。

 飛ばされた距離は10m程。

 これでまた仕切り直しだ。


(だがそれは愚策だったなぁ!)


 元より魔法主体で戦うバトルスタイルだ、遠距離攻撃なんぞ有り余っとるわ!

 え?じゃあなんで接近戦仕掛けたのかって?

 そりゃあお前、アレだよホラ、アレアレ。

 いや、そんなこと言ってないで攻撃しないと!敵来てるから!

 

「ウオォオン!!」


 大剣を片手で持ちながら突進してくるハイコボルトジェネラル。

 向こうが一足飛びに距離を詰めようとしたところで、


『『フローウィングサークル』』


「グオッ!?」


 ハイコボルトジェネラルの()()()水円陣を展開する。

 当たりはしないだろう、せめて鼻先をかすめる程度だ。

 だが明確な傷は与えられなくとも動きは止まる、故に隙が生じる。


『出力最大!『ポイズンジャベリン』!』


 「魔法調整」で出力を最大にして、二重詠唱で『ポイズンジャベリン』を撃ち込む。

 それに追いすがるようにして『飛斬』を放つ。

 ここで疑問に思ったんだが、『ポイズンエッジ』と『飛斬』を同時使用してみたらどうなるか?と言うものだ。

 その答え合わせといこうか。

 

「ガアッ!?」


『アッハッハ!ビンゴォ!!』

 

 果たして放たれた斬撃は如何にも毒々しい色をして犬頭の将軍に向かって行き、左腕と腰に当たった毒槍とは違い腹部に命中した。 

 ついた傷口を見れば、思いっきり毒液が付着している。

 左腕、腹、腰にそれぞれ染み込んだ毒は身体中を巡り、やがてその命を奪うだろう。


「グオアァアアア!!!」


 しかしそれでも尚、犬頭の将軍は吠える。

 倒れた部下達のために、そして自らの矜恃のために未だ倒れるわけにはいかないと、そう示すように。

 ふらつく体を酷使し、目の前に立ちはだかる大蛇を見据えて剣を正眼に構える。

 刻一刻と魔法で生み出された毒が体を蝕むが、それでも歩を進める。

 

『……その誇りと闘志には敬意を表する。が、俺に一太刀食らわせるには足りなかったか。一応お疲れ様、と言っておこうか』


 持つどころか、引き摺るのにすら命を削っているような動きで振り上げられた大剣は、自らの意思ではなく重力によって振り落とされた。

 大剣が振り落とされた先にあったのは持ち主の首。

 皮肉にも、自らの得物によって犬頭の将軍は生を途絶えた。




◇◆◇◆◇◆




「おおぉ……。今日はガッポガポだなあ!私の日頃の行いが良いからかな?」


 などとありえんことを抜かす我が主(守銭奴)

 電撃で丸焦げにしたのと俺が『ポイズンバレット』で倒したハイコボルト達の革鎧はダメになってしまったが、そいつらの武器と俺が『アクアトルネード』で倒したハイコボルト達の武器と革鎧は問題なかったらしく、売り物として武具店や冒険者ギルドの買取に出せるそうだ。


 しかし、それらよりもお嬢が喜んだの物が2つ。

 1つはハイコボルトジェネラルが持っていた大剣。

 あれ結構な業物らしく、修復と質量軽減の魔法刻印が刻まれているのだとか。

 研究材料にもなるし、魔法刻印の解析が終わったら売れば良いとのこと。

 質量軽減は珍しいが、修復の魔法刻印までついているのは相当珍しいとの事で、お嬢が大層喜んでいた。


 しかしお嬢よ、俺は目が¥マークになっている人を初めてみたんだが。

 守銭奴ここに極まれり、と言うところだろうか。

 

『お嬢、ちょいといいか?』


「うへへへへ……。ん、何だ?」


 よだれ垂らしながら大剣に頬擦りしている人に話しかけるのは結構勇気がいりました、ハイ。


『ちょっとだけ第十三階層を見てもいいか?まあ下見、と言うか何と言うか……』


「ああ、構わんぞ。私も特に急ぐようがあるわけでもないしな」


『そうか、ありがとう。つってもちょっと見て回るだけだからついて来なくてもいいぞ?』


「いや、私も行こう。まだ行ったことのない場所だし、なにより何か金目のものがあるかもしれん」


 お嬢よ……思考が完全に盗賊のそれだぞ……。




◇◆◇◆◇◆




 という訳で第十三階層にやってきた訳だが、第十二階層と対して変わらん。

 新しくハイコボルトが出てきたのはいつもの事だし……。

 強いて言うならハイコボルトジェネラルが出ないことぐらいか?

 そんなこんなで歩いていくと、曲がり角に差し掛かった。

 これはまあ、迷宮回廊だしよくあることなんだが今回は少し違った。

 曲がり角を曲がったその先に人がいたのだ。


『ん?』


「あ?」


「ぬ?」


 上から順に俺、お嬢、そして謎の人物。

 俺が目を引いたのはその人物の格好だ。

 それはお嬢や街の人が着ているような所謂洋服ではなく、日本を感じさせる和服だったのだ。


 白よりの灰色の着物に黒の色調が強い焦げ茶とも表せるような緋色の袴。

 その上から羽織っているのは青、と言うよりは袴同様、黒の色調が強い紺色の羽織り。

 腰には打刀と脇差が大小で差しており、肩には太刀と思しき黒の鞘が斜めがけに掛けられている。


 その鞘に納められるはずの刀は何処ぞや?と探してみれば、右手に白銀の美しい一振りの太刀が握られていた。

 その刀は大太刀と表すべき長さでありながら、そう呼ぶのにはいささか抵抗があった。


 そう思わせるのはやはり身幅の薄さだろう。

 峰から刃までの長さが鍔から切っ先までの長さと明らかに合っていないのにも関わらず、その刀は生半可なことでは折れそうもない何処か矛盾を孕んだが故の美しさを醸し出していた。

 その刀に目を奪われていたのがいけなかったんだろう。


 「ルキア!」


 お嬢の声と共に我に帰ると、白銀の剣線が俺の首に迫ろうとしていた。

だいぶ半端ですが、これで第一章は終了です。

ここで終わらせないと何処までも続く気がするんで……。

これまで読んでくださった読者の皆様、こんな稚拙な文章を読んでくださって本当にありがとうございました。


……なんか最終回みたいになってますが第二章以降も続くので引き続き読んでいただけたら恐縮です。

これからも拙作をよろしくお願いします。

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