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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第一章 白蛇と魔女
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第三十話 そうはならないことを願ってます

 お嬢が「召喚魔法」で召喚したコボルトシーフを先頭にして進む。

 これはお嬢が以前言っていた罠対策で、探索技能を持った魔物を召喚して先導させることで罠を発見させるのだと。

 もし召喚した魔物が罠に引っかかって死んでも何か失うわけでも無いから便利だよネ!とはお嬢の言。

 我が主も大概外道チックなことをするお方でして……。

 哀れ、コボルトシーフ君。

 止まるんじゃねえぞ……(愉悦)。


『ところでお嬢、このダンジョンって亜人系の魔物が多くないか?』


 これまでに出た魔物を上位種を除いて纏めれば、グレイラット、ケイブスネーク(第一階層で出た蛇)、ゴブリン、コボルト、ブラックウルフ、オーク、リザードマン、アルラウネだ。

 上の階層に行くにつれて亜人系の魔物が出てくる頻度が高くなり、第十一階層では先ほどの戦闘を含めて3回ほど戦闘を繰り返したが、亜人系の魔物しか見ていない。


「気づいたか。ダンジョンにはそれぞれ出てくる魔物の種類がダンジョンごとによって決まっていてな。例えばイージアから南西2km程先にある不使者の楽園はアンデット系の魔物しか出てこない文字通り不使者の楽園だ。その他にも漁港街として知られるハッフェンスタッドという街には深海迷宮というダンジョンがあってそこは海に生息する魔物しか出現しない。ここコルテカの迷宮で出てくるのは亜人系の魔物が殆どだ。亜人系の魔物ではないのも上層だけだしな」


 なる程、ダンジョンごとに出てくる魔物の種類が限定されている、と。

 また随分と()()()()()ことで。


「グガァアッ!?」


 そんなことを言っているうちに敵が来た様で、コボルトシーフ君がアルラウネの風弾で肩を撃ち抜かれていた。

 致命傷ではないものの、斥候は厳しいだろうなと思ったがお嬢がコボルトシーフ君を下がらせて「治癒魔法」で治していた。


 ……まだ働かせるんですね、分かります。

 哀れ、コボルトシーフ君。

 強く生きろよ……!


 さて、んなこと言ってないで今は前方の敵に集中だ。

 槍を持ったリザードマンが3体、盾と剣を持ったオークソルジャーが4体、ホブゴブリンシーフが2体、アルラウネが3体、オークマジシャンが1体の合計13体だ。

 ……多いな。


「指示は私が出すぞ?」


『任せる』


 指示を出すならば後ろから戦場を俯瞰できるお嬢が最適だろう。

 加えて踏んだ場数の数もお嬢の方が圧倒的に多いはずだ。

 むしろお嬢がしない理由がない。


「前衛を潰せ、後衛は私が受け持つ。2匹ぐらいは殺しておいてやる」


『了解!』


 明らかな手抜き宣言だが不満はない。

 というか本気出されたら俺の出番無くなっちゃうしね?


「『ファイアブレット』」


『『ポイズンバレット』』


 お嬢が魔法を撃つのと同時にこちらも駆け出しながら『ポイズンバレット』をオークに向けて撃つ。

 すると、こちらが魔法を撃ったら体を使っての攻撃はできないとでも思ったのか、ホブゴブリンシーフ2体が両脇からこちらに攻め込んでくるが、甘い。


 左右から振るわれた短剣を魔力消費による「剛体」で弾き飛ばし、のけぞったところを2体纏めて絞めあげる。

 短剣による衝撃はくるし鱗にも傷が入った。

 いや、結構痛いな。


『チッ、クソ人間擬きが!』


 ベキベキ、と肋骨が折れていく音が聞こえるが、死には至らない。

 「ギエェ」と汚い声を上げる首にそれぞれ牙と刀のように鋭い尻尾を突き立てて絶命させる。

 前方を見ればオークマジシャンとアルラウネがそれぞれ1体ずつ丸焦げになって死んでいて、オークソルジャーの盾は所々溶け始めている。


「後衛2匹は始末した。後は殺さない程度に援護する」


『了解。ところであのオークの盾は?』


「おまえの『ポイズンバレット』を盾で受けたらああなったぞ。あれ毒か?最早酸じゃないか?」


 うん、俺もそう思った。

 あまりいい素材を使っていないとは言え金属を溶かすって何?

 触れただけで全てを溶かす、みたいな強力なものではないし、盾が溶け出しているのも表面だけではあるが、それでも十分強力だ。

 ……気をつけよ。

 

『ま、好機には変わりはない、『フローウィングブレイズ』!』


「グオォッ!?」


 盾が溶け出していることに慌てているオークソルジャー目掛けて『フローウィングブレイズ』を放つ。

 馬鹿め、例え慌てていても敵から目を逸らすなど愚の骨頂、来世で反省してろゴミが。

 そんな罵倒と共に放たれた水刃は過たずオークソルジャーの首を跳ね、その勢いのまま後ろのリザードマンの目を切り裂いた。


 致命傷には至らなかったが、資格の喪失と激痛によって戦闘への復帰は難しいだろう。

 目を押さえて悲鳴を上げながら転がるリザードマンはお嬢に任せるとしようか。


『お嬢!あのリザードマンのトドメは任せた!』


「ああ、任せろ」


 これで実質残りリザードマン2体、オークソルジャー3体、アルラウネ2体の7体だ。

 身体を縮め、「魔力強化」をかけてから爆発的な速度を出して接敵する。

 オークソルジャーが剣で叩き落とそうとするが、それよりも早く万里の堅鎖を2本、()()()()()()()()()()()()()()()()で撃ち込む。

 場所は頭部と腹部、あの盾ではどちらか片方しか防げないだろう。


 だが、予想外にもオークソルジャーは腹部の杭を盾で、頭部の杭を剣の面で防いだ。

 これは正直予想外だ。

 俺の腹部の負傷を看過してでも致命傷となり得る頭部の杭を防ぐかと予想していたのだが、向こうはこちらの一枚上手を行ったわけだ。


(チッ、豚ごとき上手を行かれたのは癪だがまあいい)


 弾かれた頭部へ放った杭を操作して、剣に被さる様にして眼球に改めて撃ち込む。


「ブモオォ!?」


 防いだと思った頭部への痛みに反応して上げられた悲鳴を無視して、万里の堅鎖を引っ張ることで更に加速する。

 その時に万里の堅鎖をうまく操って身体が杭を突き立てたオークソルジャーの側頭部の横を通り抜ける様にする。

 肩の上を通り抜ける瞬間、


『死ね、『フローウィングサークル』』


 オークソルジャーの背後で槍を構えていたリザードマン、飛び出した俺に反応してオークソルジャーの横から前に出ていた2体目のオークソルジャー、オークソルジャーの横で盾を構えていたもう3体目のオークソルジャーを水の円陣が真っ二つにした。


 だが、このままでは終わらない。

 今絶命させた2体目のオークソルジャーの背後で槍を構えていたリザードマンに向けて万里の堅鎖を撃ち込む。


 しかし見事なもので、予期せぬ場所からの奇襲にもかかわらず槍の柄で防いだ。

 金属ではなく木製であるが故に杭は刺さってしまうがそれでいい。

 今度は万里の堅鎖を巻き戻すことによる急接近は使えない。

 あの程度の食い込みではすっぽ抜けてしまうし、何より正面から仕掛けるつもりはない。

 では、鎖の長さを固定ししたままその勢いに身を任せるとどうなるか。


「なんかちょっと楽しそう」


 何かの遊具の様にぐるーんと槍の柄を中心として回り始める。

 後ろからちょっと羨ましそうな声が聞こえたが、無視だ無視!

 途中、突進したオークソルジャーの後ろにいたリザードマンが邪魔だったが、『波涛』で吹き飛ばす。

 俺の身体がリザードマンの死角まで回り込むと、


『『ポイズンジャベリン』』


 確実を期すために最速の魔法で後頭部を撃ち抜く。

 これで残るはアルラウネ2体。

 向こうが風弾で迎え撃ってくるので『ポイズンバレット』を撃って相殺する。

 その間に万里の堅鎖を回収して地面に降りる。


(2対1では魔法の撃ち合いは分が悪いか……)


 とでもいうと思ったか?

 てめぇらの風弾や蔦なんぞ「剛体」使えば痛みすらないことはボス戦でわかってんだよ!

 大体「剛体」使っても痛みすらないとか貧弱すぎないか?

 ホブゴブリンシーフの斬撃でも痛みはあったし鱗にも傷はついたぞ?

  

『そおら!さっさと死ね!!『ポイズンバレット』!』


 連射する毒の弾丸と並走する様にして万里の堅鎖を4本一斉に片方のアルラウネに向けて撃ち込む。

 風を操り、蔦を手の様に扱うと言っても単純な物量には勝てない。


 風を吹かせ、蔦の2本を犠牲にして毒の弾丸と万里の堅鎖の2本は止めたがそこが限界だった様だ。

 もう2本の万里の堅鎖が顔の位置にあたる花と胴体部分にあたる茎に突き刺さる。

 これだけならアルラウネの持つ再生能力でなんとかなったのかもしれないが、そこは念を入れてある。


『身体の中から毒を塗り込まれる気分はどうよ?』


 万里の堅鎖の杭に付与された『ポイズンエッジ』は体内からアルラウネを蝕んで、茎と花の色が毒々しい紫に染め上げられていく。

 やべえ、俺今すごい悪役みたいじゃない?


 毒を操って相手の体内に丁寧に塗り込む蛇とか魔王軍の四天王の一番下にいそう。

 あれ?でもこれ主人公の兄貴分的な立ち位置のキャラぶっ殺して怒りに燃えた主人公が暴走して無様に殺される役じゃね?

 で、その余波で周りにいた何人か殺しちゃった主人公に死に間際に「よう……これでお前も俺と同じ人殺しだなぁ……」とか言って主人公に苦悩を与えて死んでいくタイプの悪役じゃない?

 ヤダ!すごいリアルに想像出来ちゃった!


 この後部屋に閉じこもった主人公にヒロインが来て兄貴分的な立ち位置のキャラの遺言とかを伝えて立ち直るんでしょ?

 多分R-18ならここでヒロインとの濡れ場があるよね。

 ってんなことはどーでもいいんだよ!!

 まだアルラウネ1体残ってるし!


 何で俺は自分が死んだ後の主人公の行く末まで考えてんの?

 エロゲーならともかく現実で他人の情事を創造する趣味は僕にはありません!

 ていうか見ろよアルラウネ。

 さっきまで攻撃してたけど魔力消費無しの「剛体」でも衝撃しか与えられないからもうヤケクソ気味になってんじゃん。

  

『『ポイズンジャベリン』』

 

 試しに込められるだけの魔力を込めて『ポイズンジャベリン』を頭に撃ち込んだ。

 いや、結構スピード出たな。

 実戦で使えるのでは?

 アルラウネ反応できてなかったし。

 彼(?)は犠牲になったのだよ……。

 色々哀れすぎる気がしてならなかった今日この頃です。

書いてて思ったけど主人公の戦い方エグすぎない?杭を眼球に突き刺してそのまま鎖を引っ張るって中々外道よ?

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