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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第一章 白蛇と魔女
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第二十七話 拝啓、母上様。貴女の気持ちが漸く分かった気がします

 チュンチュンと小鳥の囀りが早朝の空に響き渡り、朝日がカーテンの隙間から差し込む。

 日時はコルテカの迷宮から帰ってきて3日後、冒険者ギルドから招集が掛かっている日だ。


『お嬢ー!起きろー!』


 シャッと万里の堅鎖でカーテンを開けて、尻尾で掛け布団にくるまったお嬢をべしべしと叩いて起こす。

 この3日間で分かったのだがお嬢は家だと寝起きが壮絶に悪い。

 かなり強めに叩き起こさないと昼どころか日暮れまで眠ってしまう。


 いつもなら夜型の生活を看過することもできるが、生憎と今日は冒険者ギルドから、しかもギルドマスターからの招集が掛かっているのだ。

 いつまでも惰眠を貪らせていくわけにもいくまい。


『お・き・ろ!!馬鹿主!!』


 尻尾でべちべちとさっきよりも強めに叩きながら呼びかける。


『起きろー!はあ、おいお嬢。起きないと昼飯はゴブリンの肉を入れるぞ?』


 何度やっても起きないので切り札を切る。

 切り札、というか最終的には毎回この手を使っうのが日常になってしまう気がするが、それはきっと間違いであって欲しいと思う。


 帰ってきた翌日の朝は放って置いたら日暮れまで寝ていたが、昨日と今日はこの文言を使うことになってしまったのだ。

 ダンジョン内ではそんな事はなかったのにね?

 すると、今まで起きなかったのが嘘の様にガバッと布団がめくれて荒れ果てた蒼穹の髪が波打つ。


『おはよう。よく眠れた?』

 

「……ルキア、その起こし方はどうかと思うんだが……。おはよう、よく眠れたよ」


 だったら名前を呼ばれたらさっさと起きろという話である。

 

『ほら、朝ご飯出来てるから。着替えてリビングに降りてこい』


「……はあい」


 何で寝起きの悪い高校生とそのお母さんみたいな会話をしてるんだろうねぇ?

 俺って一応使い魔なんだけど……。




◇◆◇◆◇◆




『お昼までは好きにしてていいから。お昼ご飯食べ終わったら冒険者ギルドに行く準備して。招集時間は午後の3時だけど早めに行った方がいいだろう?暇になったら隣の魔道具店にでも行けばいい』


「ん、分かった」


 パンをかじりながら会話を進める。

 ……ホント、使い魔っていうよりは保護者と言った方がしっくりくるまである。

 生前の母もこんな感じだったんだろうか……。

 そう思うと申し訳ない気持ちになってくる。

 良い子のみんなはお母さんに迷惑をかけない様にしようね!


『しかしお嬢、ギルドマスターからの招集ってなんか心当たりあるか?』


「いや、ない。強いていうのであれば貴族からの依頼の仲介とかか?ランクアップの件だったら受付嬢が素直に知らせるだろうし」


 なる程、心当たりはない、と。

 まあお嬢が知らず知らずのうちに何かやらかして、その件でというのも考えられなくはないが……。

 それを言ってしまえば可能性というのは無限に存在してしまうので今は考えない様にしよう。


 ──しかし、本当に何の要件かねぇ?




◇◆◇◆◇◆



 

 午前中はまだ終わり切っていない屋敷の掃除をして終わった。

 3日間丸々掃除に費やしたのに未だに終わらないってどういうことよ……。

 まあ、理由としては汚れまくっているというのを通り越して荒れ果てているることと、後は単純にこの屋敷が広いという事だろう。

 何でこんなに大きい屋敷に住んでんだろうねえ?我が主は。


 仕事に精を出していると時間というものは案外早く過ぎ去ってしまうもので、ひと段落ついた時にはお昼前。

 急いでお昼ご飯を作って食べ終わったのが丁度1時間前。

 お嬢が外行きの服がないない言い出してドタバタしながらも準備をしてギルドに向かい、到着して今ここ。


 招集の時間よりも20分ほど早く着いたがギルドマスターからの招集と考えればいい感じの時間ではなかろうか。


「すまない、ギルドマスターからの招集を受けて来たんだが……」


「はい、存じております。どうぞこちらへ」


 声を掛けられた茶髪の受付嬢ーーヴァイオレットさんが案内したのは二階の会議室だ。

 学校の教室ぐらいには広く、コの字型に机が並べられている。

 そこには先客がいた。

 

「んにゃ?キミもギルドマスターに呼び出された口かな?」


 そう尋ねてきたのは翡翠の髪をポニーテールで結んだ翡翠の瞳をしたエルフの女だ。

 「魔力感知」から察するにヤバめのレザーアーマーを着て、背中にはこれまたもっとヤバめの弓を背負っている。


 うーん、勝てる気が微塵もしない。

 お嬢とおんなじぐらい勝てる気がしないし、弓使いなんだろうが彼女自身が内包している魔力もお嬢程じゃないがヤバい。

 世の中って広いんだということを再確認しました、まる。


「ああ、だが何の要件かは聞いていない。……Aランク冒険者「疾風」のフレデリカ・ニーベルで間違い無いか?」


「合ってるよ〜。そういうおねーさんは「蒼天の魔女」であってるよね?ほら、キミもそんなところに隠れてないで挨拶ぐらいしなよ」


 そう言ってエルフの女ーーフレデリカが視線を向けたのは部屋の隅。

 するとそこには気配も魔力も感じさせない黒づくめの男がいた。

 膝上まであるフード付きのローブで体の輪郭と顔は見えないが身長からしておそらく男だろう。

 ローブの隙間から見えるはずの中に着た服は何故か見えず、それが不気味さを増している。


「……Aランク冒険者、ランデル・セリディア。こちらもギルドマスターからの招集で来た。用件は聞いていない」


「Bランク冒険者、アリシア・ローレライだ。と、こちらが……」


 そう言ってお嬢が目を向けたのは俺。

 もしかして俺の横に誰かいるのかしらん?とふいっと横を見ても誰もいない。

 え?俺も自己紹介すんの?場違いすぎない?

 だってここにいる奴らみんなやべー奴よ?

 ウチのお嬢は言わずもがなだし、フレデリカは明らかにやべー弓持っててランデルは逆に何もわからないのがかえってヤバい。


 というか俺の聞き間違いじゃなければこの2人Aランク冒険者ですのよん?

 その中で高々Dランクの魔物の俺とか場違いにも程があるわ。

 つってもフレデリカは興味津々な目でこっち見てるし、ランデルは顔見えないから何考えてるか分からんけど顔の角度的にこっち見てるし……。

 あっハイ、喋れってことね?


『えっと、アリシア・ローレライの使い魔のルキアだ。種族はホーンドサーペント、宜しく』


 取り敢えずの自己紹介が終わった後、沈黙が流れる。

 え、俺なんかした?

 すごいいたたまれないんだけど。

 なんか反応してくれるとおじさん嬉しいなーなんて思うわけでして……。

 なんて思っていると、


「え、すごい!喋った!!魔物が!ホーンドサーペントが!!すごいすごいすごい!なんで!?なんで喋れるの!?なんでなんでなんで!!?」

 

 爆弾でも起爆したかの様に喋りだすフレデリカ。

 お、おおう……。

 すんごいエネルギー……、これが若さか?

 いや、でもお嬢ごエルフは長命である為人間とは時間の流れの感じ方も成長速度も違うと言うっていたからもしかしなくても年上?


「落ち着けニーベル。喋る魔物は珍しくはあるがいない訳でもない。Bランクの魔物にもなればそう珍しくはないだろう」


「それはBランク以降の魔物でしょ?ホーンドサーペントはDランクだよ?Dランクの魔物が明確な知性を持ってしかも喋るなんて聞いたことない!!なんでなんで!?なんでキミは喋れるの!?」


 ランデルが嗜めるものんなこた知ったこっちゃねえと言わんばかりに話し続けるフレデリカ。

 活力がエネルギッシュになって毎日がエブリデイで……ハッ!俺は何を?

 あれか、使っていない魔術回路に一気に魔力を流した結果、回路自体が驚いてしまって半身の感覚がなく、胴体が中寄りに7cm程ずれてしまった様な感じと同じで今までは触れるかのなかった高密度のエネルギーを感じたせいで頭がおかしなことに……。


 いや、多分全然違うわ。

 というか現在進行形で頭がおかしなことになってるから分析もできてねえじゃねえか。


 そんなクッソくだらないことを考えていると、ドアが開き、壮年の男が入ってきた。

 筋骨隆々という言葉が相応しいであろう体つきをしており、シャツから覗く右腕は幾つもの古傷で彩られている。

 左目は失明しているのか眼帯が付けられており、左腕は肘のあたりから無くなっている。


 ……おお、すげえ強キャラ感。

 あれだ、田舎の主人公が弟子入り頼み込んで最初は突っぱねるけど、何度も何度も来るもんだから仕方なく許可して段々その主人公のことを気に入って最後には主人公の危機を身を挺して救って人気投票で上位に食い込んでくる感じのキャラだ……。


 すごいメタなこと言ったけど大丈夫?

 マジで現実になったりしないよね?

 今から不安になってきたぜ……。


「まだ全員は揃っていないか……。まあ、適当にかけてくれ、と言ってもニーベルはもう座っているが」


「ギルドマスター、俺たちを呼び立てた理由を先に聞いてもいいか」


 ランデルが椅子に腰掛けながら尋ねる。

 あ、やっぱりギルドマスターか。

 言われて納得する程度には風格に満ち溢れている。

 ただ目の下にクマができていることから仕事でお疲れなことが察せられる。

 ところでランデルはフードは脱がないのね?

 いや、別にいいんだけれども。


「二度手間になるから全員揃ってからでいいだろう」


「他は誰が来るの?」


「他、と言っても後1組だ。「黒鎧の守護者」を呼んでいる。……ところでその蛇は?」


 流石に不審に思ったのだろう。

 まあ、普通は呼んでもいない蛇がいたらびっくりするわな。

 蛇を会議室に呼ぶっていう機会もまずないと思うが。


「私の使い魔だ。ルキアという名前だ」


「ねえねえねえねえねえ、凄いんだよルキアちゃん!何と、何とね!?喋れるんです!!」


「そうか……。え、喋るのか!?」


 一旦スルーしたかと思いきや凄い勢いでこっちを見てきた。

 大丈夫?疲れてんのかな?

分かる人は分かるあのシーン

士郎とアーチャーの蔵での対話のシーンが作者は好き

いいよねアーチャー背中で語る男っていうイメージがすこ

どのルートのアーチャーも好きです

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