第二十一話 「縛る」って響きがもうエロいよね
ソルジャー3、アーチャー1、マジシャン1、プリースト1、リーダー1の合計7体がこちらの様子を伺っている。
(……少し趣向を変えてみるか)
はっきり言ってしまえば倒しきるのに10分は掛からないだろう相手だ。
しかしそれでは単独で挑む意味がない。
よって縛りを入れる。
ところで縛りプレイって響きがエロいよね。
ちなみに亀甲縛りって素人がやると危ないらしいね。
最悪、人体の破壊もあり得るとか。
良い子のみんなはきちんと調べてから縛りプレイに励もうぜ!
閑話休題
と言うかそっちの縛りプレイじゃないし。
今回縛るのは魔法だ。
俺の中で「毒魔法」はかなり使い勝手の良いスキルだ。
遠近どちらも使えて体に纏っても良しとからのだから出番の多い魔法であることは間違いない。
Name:ルキア
Level:2
Phylum :魔物
Species :ホーンドサーペント
HP:311/311
MP:234/234
Strength :122
Vitality :111
Dexterity :115
Agility :125
Stamina :118
Luck :16
Skill:
【耐性系】
精神苦痛耐性Lv.100
毒耐性Lv.10
【魔法系】
毒魔法Lv.31
清流魔法Lv.1
魔力操作Lv.24
【感知系】
暗視Lv.14
熱源感知Lv.22
魔力感知Lv.29
心眼Lv.15
【身体系】
尾撃Lv.19
魔力強化Lv.19
剛体Lv.2
【その他】
念話Lv.21
ステータスを見て分かる通り、スキルレベルが一番高いことからも自分自身愛用しているスキルだ。
………と言うか使いすぎじゃない?
「魔力感知」より高いってどう言うことよ。
それはともかくとして。
今回は「毒魔法」と「流水魔法」を縛ってみようと思う。
多用していると言う点で言えば万里の堅鎖もかなり頼っているところはあるのだが、対複数を相手取るのであれば必須になるので今回は使うことにする。
『んじゃ、やりますかねぇ』
するするとホブゴブリン達に向かって進む。
この階層の草はそれ程背が高くなく、以前であれば隠れながら進めたのだろうが今は無理だ。
故に、身を隠さないで堂々と進む。
その進行を不敵と捉えたのかソルジャーの内の1体が襲いかかってくる。
袈裟斬りに振り下ろされる剣を尻尾を横から叩きつけて流す。
この程度であればアーツは要らない。
あまり質の良くない剣だし尻尾の刃の部分を当てるだけで充分だ。
体勢を崩して背中を見せたところで頸部を丸ごと飲み込む。
いや、やっぱり不味いですわ。
生前、怖いもの見たさで食べてみたシュールストレミングを彷彿とさせる味と匂いだ。
あのやべーヤツよりも少し匂いが緩和されているがそれが妙に生々しい。
二度と食わん。
さて、最初の1体は無策に掛かってきたので興醒めだったが、残りの奴らはこちらを強敵と判断したようで慎重に距離を詰めてくる。
アーチャー、マジシャンも残弾を考えてか、無闇にあってはこず、いつでも撃てる準備をしながらこちらの様子を伺っている。
「シャアァァア!!」
鎌首をもたげ、牙を剥き出しにして威嚇する。
そういえば牙伸びたなぁ。
進化前まではちゃんと口の中に収まったのに今では平時でも外に出しっぱなしだ。
噛みちぎる時とかに便利だから良いんだけど。
威嚇の効果はあったようでビクッとホブゴブリン達の体が竦む。
が、それでも意を決したようでこちらに仕掛けてくる。
アーチャーが放った矢とマジシャンが打ち出した風弾がこちらに迫ってくる。
風弾は不可視であるものの、「魔力感知」と「熱源感知」を利用すればかわすことは造作もない。
ソルジャーが近づいてきたところで思い切り尻尾を地面に向けて抉るように叩きつける。
すると、ソルジャーに向かって土が舞い上がり、一時的な目眩しが出来上がる。
カーテンのように舞い上がった土を見てソルジャー達の足が止まる。
その隙を逃さず「魔力強化」によって強化された身体による最大速度でソルジャー達とすれ違うようにして後衛に突撃する。
アーチャーが矢を、マジシャンが風弾を飛ばしてくる。
流石にこの距離になるとかわすのも辛くなってくる。
特に風弾は威力は低い代わりに発生速度、弾速は速い。
故にかわすのはかなりキツイのだが、そんな時のための「心眼」だ。
体感時間を送らせてギリギリのところでかわしていく。
充分近づいたところで万里の堅鎖を一斉掃射。
プリーストとマジシャンはそれぞれ脳天と腹部を貫いたが、アーチャーは軽い身のこなしで避けたようだ。
そうこうしているうちにソルジャー達が追いつく。
それを迎え撃つようにしてプリーストとマジシャンに刺さった万里の堅鎖を死体ごと前衛に振り回す。
その攻撃の間を縫うようにして放たれた矢が大蛇の身体に刺さーーらなかった。
ギイィン、と金属同士がぶつかり合ったような音がして矢が弾かれたのだ。
今「魔力強化」はかけていないから、素の防御力と「剛体」によるものだろう。
いや、「剛体」凄くない?
めっちゃ硬くなってんだけど。
だが、今の検証で俺の鱗は生半可な攻撃では貫けないと言うことが判明した。
別に進んで攻撃を受けたいわけではないし、「フハハハ!どうしたその程度か?!」みたいな感じなのは趣味ではない。
やるならもっと徹底的に、屈辱的に心をへし折りに行きたいと思った今日この頃です。
閑話休題。
効かないとはいえ煩わしくはあるので死体をジャイアントスイングされて這いつくばっているソルジャーは置いといてアーチャーの下へ疾走する。
やはりこの程度の射撃では鱗で弾けるようなので無視。
でも目への狙撃はやめろ下さい、マジで!
「魔力強化」で尻尾を強化して大ジャンプ。
おお!この巨体で飛ぶのは爽快感すら覚える。
落下に身を委ね、『波涛』を撃ち下ろしながら落ちていく。
尻尾の尖った部分よりも頭側の方にアーチャーの頭が激突し、グチャアと大概気持ち悪い音と共に頭が潰れた。
あと残っているのはソルジャー2体。
挟み込むように迫ってくるソルジャーのうち片方に万里の堅鎖4本を集中して放つ。
向こうの剣は1本で襲いかかる4本の鎖を全て弾くことはできず、1本弾いたところで残りの3本に串刺しにされた。
残る1本も果敢に向かってきたが『斬尾』で剣を弾き、首に牙を突き立ててそのまま引きちぎった。
噴水のように降りかかる血が生暖かい。
というか臭い。
いや、なんでこんなに臭いの!?
血まで臭いとか聞いてませんですわよ!?
何かお嬢様言葉になってしまったが、取り敢えずホブゴブリンは全て倒し切った。
『お嬢〜、血取って〜』
「はあ、首を噛みちぎったりしたらどうなるかぐらい分からないおまえではないだろうに。『クリーン』」
呆れた顔で言いつつも血を取ってくれるお嬢。
んもう、ツンデレなんだから!
『お嬢、さっさと進もうか』
「ん?ここのホブゴブリンはもう良いのか?」
『ああ。得られる物はもう得た。ここにいても時間潰しにしかならん』
複数相手の立ち回り、手の読み合い、間隙の縫い方など得られる物はそれなりにあったが、そこまでだろう。
あと、ゴブリン臭い。
蛇にとって牙は結構多用する武器だ。
ホブゴブリン相手に使えないというわけでもないし、使わなければ倒せないわけでもないが進んで使いたいとは思わないのだ。
それを伝えると
「そうか、なら先に進もう」
すたすた歩を進めながらそう言った。
お嬢も臭いのは嫌なのね。




