第十九話 女の子になってみたいな、とか思ってませんよホントに
進化回
カオスな空間を何とかして収めた後、お礼は冒険者ギルドに戻ってから改めてしてくれればいい、と説得してズッコケ三人組を返したのがついさっき(お嬢に任せてたらいつまでも終わらないので俺がやりました)。
さっさと本題に入ろう。
Name:ルキア
Level:35
Phylum :魔物
Species :ホワイトスネーク(進化が可能です)
HP:209/217
MP:31/121
Strength :70
Vitality :68
Dexterity :72
Agility :74
Stamina :72
Luck :15
Skill:
【耐性系】
精神苦痛耐性Lv.100
毒耐性Lv
【魔法系】
毒魔法Lv.30
魔力操作Lv.23
【感知系】
暗視Lv.14
熱源感知Lv.21
魔力感知Lv.28
心眼Lv.13
【身体系】
尾撃Lv.19
魔力強化Lv.17
【その他】
念話Lv.20
「念話」や「心眼」の伸びがいいのは置いておこう。
なによりも重大なのは(進化が可能です)というこのフレーズ。
多分、レベルが35に達したのが原因だろう。
オークはホワイトスネークよりも魔力量が低いものの筋力、体格を鑑みれば同クラスと言っても問題ない。
同クラスの相手を50体も狩り尽くせばレベルも相応に上がると言うものだ。
さて、じっとしても何も起こらないので、取り敢えずステータスの(進化が可能です)のところを尻尾でつついてみる。
『うおっ!』
すると、ステータス欄が閉じ、代わりに「種族選択欄」なるものが出てきた。
種族選択欄
・アンフィスバエナ
体長80cm程の、尻尾にも頭がついた双頭の蛇。毒の吐息を両方の口から吐き出す。
・ホーンドサーペント
体長2mにも及ぶ長い胴体と二つの角をもつ。水と毒を好んで操る。
・メリュジーヌ
人の女性の上半身と蛇の胴体を持つ半魔半人の姿を持つれっきとした魔物。ただし、その体は動物の蛇のサイズに収まる。
意外と細かな説明がついてくるな。
はて、どうしたものか…。
選んで面白そう、と言う意味で言うならアンフィスバエナだろう。
双頭の蛇とかかっこいい。
あと、この先もっと首の数が増えそう、と言う意味でも楽しそうな種族と言えよう。
ホーンドサーペントは堅実という感じがする。
ただ、新たに水が扱える様になるのはかなり嬉しい。
純粋に強くなりたいのであればこれだろう。
メリュジーヌは今はあまり強くはないが、この先に期待ができそうな種族だろう。
人間に化けたりできそうだ。
………………。
お嬢は「お前が選びたいもので構わん」とか相変わらずイケメンな事を仰ったので、じっくり考える事1分。
自分のやりたい事、なりたい姿を思い浮かべると、案外早く決まった。
意を決してその種族を尻尾でつつく。
すると種族選択欄が消え、直後、
<<対象の規定レベル突破、及び進化先の決定を確認。これより個体名:ルキアの種族進化を開始します>>
感情の篭っていない、だがどこか人間味を感じさせる声が頭の中に響いた直後、
『づっ、がぁぁぁあああぁああ!!?』
「ルキア!?」
尋常ではない激痛が身体全体に走る。
体の中全体に高熱の鉄棒が差し込まれて、それをかき混ぜられている様な感覚だ。
──熱い、寒い、痛い、苦しい、吐きそうだ
自分の中から何か大きなものが飛び出そうで、その癖それは自分の中で肥大化していく。
永遠の様で、刹那の様にも感じた地獄の時間が通り過ぎた後には、泣きそうなお嬢の顔がいつもより小さく見えた。
『ん、お嬢?』
「気づいたか。いきなりのたうちまわるから何事かと思ったぞ。何はともあれ、進化おめでとう」
安心した様にため息を漏らしてそう言う。
ありがとう、と呟いて今の自分の状態を確認する。
おおお…、さすが体長2m。
お嬢が立っていても目線が同じにできる。
何ならこちらの頭の高さの方が上なる。
体は…あんまり変わってないか?
『お嬢、今俺どんな感じ?』
「ん?そうだな………目の上辺りから角が生えてて体が大きくなった以外はあまり変わってないな。白い鱗も金色の瞳もそのままだ。強いて言うのであれば………尻尾が刀の切っ先みたいになっているな?」
目と鱗が変わってないのは私としては嬉しいな、とはに噛んで笑った。
天使か?
尻尾を言及されたので見てみると、確かに刃紋は浮かんでいないものの尻尾は鋭く尖っている。
腹の方が刃になっている感じだ。
正直これは便利だ。
これでオークの喉もかっ捌けるだろう。
てかこの世界、刀あるのね。
まあ、大方転生者か転移者が伝えたんだろう。
あと、隣に前の俺サイズの抜け殻があるからおそらく脱皮したのだろう。
お嬢がすぐさま回収したが。
今更だが、俺が選んだ種族はホーンドサーペントだ。
まず、メリュジーヌは第一に却下した。
人間への執着がないと言えば嘘になるが、今の俺はあくまで使い魔だ。
その責務を全うするのであればわざわざ人型になる必要はない。
よってアンフィスバエナとの二択だが、これは体格と水が使える様になる、という理由でホーンドサーペントを選んだ。
正直、毒の吐息と「毒魔法」って被るんだよね。
どっちも使えることに越したことはないけど。
後はステータスか。
Name:ルキア
Level:1
Phylum :魔物
Species :ホーンドサーペント
HP:301/301
MP:224/224
Strength :117
Vitality :106
Dexterity :110
Agility :120
Stamina :113
Luck :16
Skill:
【耐性系】
精神苦痛耐性Lv.100
毒耐性Lv.10
【魔法系】
毒魔法Lv.30
流水魔法Lv.1
魔力操作Lv.23
【感知系】
暗視Lv.14
熱源感知Lv.21
魔力感知Lv.28
心眼Lv.13
【身体系】
尾撃Lv.19
魔力強化Lv.17
剛体Lv.1
【その他】
念話Lv.20
………………うわぁ。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
進化ヤバイ、マジヤバイ!
何がヤバイってマジヤバイ!
いや、ホントにヤバイ。
「落ち着け」
ドゴッ、と言う音を立てて頭に杖がめり込む。
お陰でパニックからは解放されました。
でも頭痛い…。
いや、改めてヤバイ。
取り敢えずひとつづつ見ていこう。
Lvと種族は別にいいだろう。
種族が変わったのは当たり前だし、それに伴ってLvも1からと言うわけだろう。
問題はここからだ。
まず、HPとMP。
HPは100近く上がってるし、MPに至っては100以上の上がりだ。
MPなんか倍近いよ?
次に6つのステータスだ。
幸運以外100超えてるし、元のステータスの倍近くまで伸びてる。
やべくない?
身体能力が倍ってやべくない?
めっちゃ動くやん。
最後にスキルだ。
正直これが一番まともだ。
既存スキルは「毒耐性」が10になり、新しく覚えたスキルは「流水魔法」と「剛体」だ。
「流水魔法」は普通に水を操る魔法。
お嬢曰く、「水属性魔法」とは違い、魔法は常に水が動いているのだとか。
言ってしまえば「流水魔法」とは、「水を生み出し、その流れを操る魔法」なのだと。
あんまりよくわかんない。
「流水魔法」で覚えた魔法は『フローウィングブレイズ』。
絶えず回転している円状の水刃を射出する魔法だ。
試しにオークの腹に撃ってみたら真っ二つ、とまではいかなかったが内臓にまで届いた。
ちなみにオークの腹は『ポイズンショット』では貫けないが、万里の堅鎖であれば貫けるぐらいの硬さだ。
『斬尾』では筋肉は斬り裂けたものの、内臓までは斬れなかった。
今は分からんが。
次に「剛体」。
これは常時発動型のスキルで普通に体が硬くなる、以上。
ただ、これによって鱗の強度が大分上がり、鱗は鎧の様に硬くなった。
ちなみにオーク戦で使いまくった「毒魔法」はスキルレベルが30にまで上がっていて、新しく魔法を3つ覚えていた。
ひとつ目は『ポイズンジャベリン』で、文字通り毒の槍を射出するというもの。
ふたつ目は『ポイズンヴェール』。
対象に毒を被せる魔法で『ポイズンエッジ』と少し似ているが、違うところは付与する対象の形に制限がないというところである。
とは言え、一撃の威力では『ポイズンエッジ』の方が勝るので、こちらは防御用に使うのがメインとなりそうだ。
最後は『ポイズンイクリプス』。
これは今までの魔法と違い、毒らしさを前面に押し出した魔法だ。
対象を設定して魔法を発動すると、対象を神経毒で徐々に蝕んでいくという長期戦ではとても重宝しそうな魔法だ。
じわじわ追い詰めるとか愉しそう。
ただ、難点なのは魔法耐性が高い相手には効果が目に見えて減るらしい。
お嬢曰く、魔法耐性が高いやつというのは総じて保有魔力量が多いもののことを指すのだと。
格上相手では効果が減るが、それでも相手に継続してダメージが入るというのはそれだけでも魅力的な話だ。
ボス相手であればかなり出番の多い魔法だと言えよう。
『これ、オーク相手になるかなぁ?』
ふと疑問に思った。
ステータスは跳ね上がり、体格もオークと同等とまではいかないものの、「尾撃」込みの身体能力だけで十二分に渡り合える様になった。
そこに「毒魔法」、「流水魔法」、万里の堅鎖という武器までついてくるのだ。
先程のオークの大群相手に単独でも苦戦はするだろうが負ける未来が見えない。
「相手にならんだろうな。なら、もっと深くに潜るか?」
確かにそれはいい案なんだが…。
『お嬢、いつ帰るんだ?』
問題はそこである。
誰にも何も言わずに2週間もダンジョンに潜りっぱなしだ。
あのズッコケ三人組が冒険者ギルドに伝えなければ行方不明にされてもおかしくはない。
一旦帰るなり、連絡を入れるなりした方がいい状況ではある。
「そうだな…。なら、第十階層のボスを倒したら帰るとするか。区切りとしてはちょうどいいだろう」
『了解』
襲ってくるオーク達を鎧袖一触と言わんばかりに蹴散らしていく。
楽なのはいいんだが…つまらない。
命のやりとりをしている感覚がないし、ぶっちゃけ尻尾を喉に滑らせるだけで終わるからなんとも呆気ない。
敢えて打ち合ったり魔法を使ってみたりして気を紛らわすのだが、やっぱり暇だ。
お嬢なんか欠伸してるし。
と、そんな感じで進んでいくとボスの間に到着した。
第八階層のボスはゴブリンジェネラルだと。
今更ゴブリン?と思わないでもないが、今回は取り巻きがゴブリンの上位種であるホブゴブリンのソルジャー、アーチャー、ランサー、マジシャン、プリーストと全員が「役職持ち」だ。
数はソルジャーが5体、アーチャーが3体、ランサーが4体、マジシャンとプリーストが2体ずつと大剣を持ったゴブリンジェネラルが1体。
ジェネラルと言うにはちと物足りないが、その分技術を持っているのだからよしとしよう。
「シャアァァア!!」
かかってこいや、ゴラァ!という感情を込めて威嚇した後、大蛇が小鬼の群れに襲い掛かった。
今回選ばなかった進化先の説明という名の作者の欲求解放コーナー
・アンフィスバエナ
ヒュドラルート。最終進化ぐらいまで行けばHPが残っている限り頭を再生し続けるみたいなボスっぽいRPができる。だからボスに回復性能つけるなって前々から言ってんだろうが!
魔王ルートがやりたい貴方にオススメ!
・メリュジーヌ
メドゥーサルート。FGOのゴルゴーンみたいに大きくなるか、snのライダーみたい人間サイズになるかは途中の進化次第。
人間の生き血を啜る悪役ロールや、逆に親人間ロールなど、人間と関わりたい貴方にオススメ!
ちなみにホワイトスネーク以外の進化先の魔物名は神話、伝承から取っています。興味があったら調べてみてください。作者は調べるの楽しかった。
補足として、主人公のステータスが爆上がりした理由の説明を(本編で触れないので)。
進化の際のステータス上昇は魔物や人間を倒した際に自身に吸収される魔力の質で決まります。
強ければ強い程質はいいので、ジャイアントキリングをしまくれば主人公以上に上がることもあります。命がいくつあっても足りない気はしますが。
一番手っ取り早いのは姫さまプレイ。




