第十七話 考えるな、心の眼で見るのだ……
何か日間PV数が100突破しててビックリした…。
ご閲覧、有難うございます。
Name:ルキア
Level:31
Phylum :魔物
Species :ホワイトスネーク
HP:193/193
MP:99/99
Strength :62
Vitality :60
Dexterity :64
Agility :66
Stamina :64
Luck :15
Skill:
【耐性系】
精神苦痛耐性Lv.100
毒耐性Lv.1
【魔法系】
毒魔法Lv.18
魔力操作Lv.21
【感知系】
暗視Lv.11
熱源感知Lv.20
魔力感知Lv.27
心眼Lv.9
【身体系】
尾撃Lv.18
魔力強化Lv.14
【その他】
念話Lv.14
次の階層に行く前にステータスの確認をする。
見て、まず思ったことはやっぱりあのジャイアントスパイダーって圧倒的に格上だったんだなあ、ということだ。
この4日間ずっと戦いっぱなしだったと言うのにレベルは6しか上がっていない。
スキルも「心眼」や「暗視」といったもともとレベルが低かったスキルは順調に伸びているが他のスキルはあまり上がっていない。
「尾撃」は新しいアーツを覚えた。
『波涛』というアーツで純粋に一撃の威力を高めるアーツだ。
重宝しそうなアーツではあるが、オーク相手だとあんまり使う機会がないかもしれない。
あいつ重いから尻尾の攻撃の威力高めたところで五十歩百歩なんだよなぁ。
全体的には期待した程は上がらなかった。
それでも、お嬢に言わせればこの4日間の伸びも十分驚異的な物であるらしい。
というか戦い過ぎだと。
普通はこんな2週間丸々戦いに費やすなんてしないし、怪我をすれば退却もするとか。
いや、あなたがやらせてるんですよ?これ。
とは言え、こちらも好きでやっているのは否定しない。
魔物になった影響か、今の俺は大分好戦的になっている。
血が吹き出る様を見てご飯が美味く感じるーーいや、これは生前からだったわ。
それはともかく、好戦的となったことでレベルを上げることではなく戦いそのものが目的になっているような感覚はある。
まあ、ぶっちゃけそこまで危機感は抱いてはいないんだが。
相手が魔物であればそれは良いことだし、人間相手はすれ違ったり遠くから見た冒険者を見ても食いたいとかは思っていないので大丈夫だろう。
ーー少なくとも今は
◇◆◇◆◇◆
石でできた階段を下って第八階層に出る。
そこはオーク達が徘徊する平原。
女騎士とかがきたらR-18な展開になりそう。
エルフだと尚良し。
因みにこの世界にはエルフやワービーストと言った亜人達は存在しているのだと。
本人達に亜人と言ったら怒られるそうだが。
閑話休題。
『さて、それじゃあさっさと進みますか』
気を取り直して進むと、早速オークの集団と出会した。
数は五体。
その内一体が片手剣を持っており、他は全部棍棒だ。
(剣持ちは後でで良いか)
正直、オークが技術もないのに剣を持ったところで脅威でもなんでもない。
こいつらの武器はその巨体から繰り出される重い一撃であって、鋭い斬撃などではない。
もしこれが大剣などの重量武器であれば話は違っただろう。
だが、今持っているのは片手剣、しかもいわゆる短剣とかいう類のものだ。
むしろリーチが狭まっている分、脅威度は低い。
従って棍棒持ちの4体を倒すのが先決!
走りながら「魔力強化」で尻尾を強化すると、思い切り地面を叩いて飛ぶ。
うおっ、結構飛んだ。
3mは飛んでるんじゃない?
『それでは、いざ尋常に死ね!!』
アホみたいに見上げている棍棒持ちのオーク1体に向けて『ポイズンショット』を撃つ。
最近分かったのだが、魔法は困る魔力の量に比例して弾速が速くなったり毒が強くなったりするようだ。
もちろん、その魔法による限界はあるが。
限界を超えて魔力を注ぐと魔法が暴走して手がつけられなくなる。注意しろよ by Alicia。
「ブモォオ!?」
ヘッショ!
目玉から後頭部にかけて毒の弾丸が抜けていくのを確認して、すかさず次の棍棒持ちに狙いを定めて『ポイズンエッジ』付きの万里の堅鎖を脳天に打ち込む。
もうオーク達の頭が近いのでここで不意打ちは終了。
万里の堅鎖を操って目が毒々しい色になってきているオークに着地。
今にも倒れそう、と言うかもう体が傾いているが足場としては問題ない。
万里の堅鎖を仕舞うと再び跳躍。
『シィッ!』
再度『ポイズンエッジ』を使用して今度は『斬尾』を首に叩き込む。
「ブガッ!?」
棍棒を振ろうとしたようだが、間に合わない。
と言うかそんな近くにいる方が悪い。
これで三つ。
地面に飛び降り最後の棍棒持ちに向かって走るが、短剣持ちのオークがこちらを追いかけてくるのを「魔力感知」で察知する。
瞬時に作戦を立て直す。
こちらが近づいている棍棒持ちは棍棒を構えて待ち受けている。
これで挟み撃ちにしたつもりだろうが、甘い。
少し速度を緩め、「魔力強化」で尻尾を再度強化する。
タイミングを見計らって跳躍、棍棒持ちのオークがタイミングを合わせて棍棒を振ってくる。
それと同時に斜め下方に向けて万里の堅鎖を発射。
地面に杭が刺さったのを確認して鎖を巻き戻す。
目の前を通り過ぎていく棍棒、刺突きの体制をとっているオークが背後に待ち構えている。
恐らく今のままであれば辛うじて短剣での刺突きが間に合うだろう。
故に一手差し込む。
ここで、「心眼」は基本相手の動きを予測する力を高めるスキルだ。
自身の予測能力をスキルとして表示したもの、といえばわかりやすいだろうか。
どちらかといえば魔力探知のような技術に近い。
それでも歴とした「スキル」になっているのは理由がある。
それは「心眼」が常時発動型でもあり、任意発動型でもあるからだ。
常時発動型の物は今言った通り。
では、任意発動型はどのようなものか。
(「心眼」発動)
瞬間、自分の周りがスローになる。
これが「心眼」のもう一つの効果。
体感時間を送らせる。
とは言ってもそこまで劇的なものでもない。
せいぜい0.8倍速ぐらいだろうか。
おそらくスキルのレベルが低いせいだろう。
だが、それだけあれば十分だ。
空中で体を捩って短剣が当たらないように躱す。
大分スレスレだが当たらなければOK。
「心眼」を切ると、また普通に時間が元どおりになる。
『仕上げだ!』
自身の位置を万里の堅鎖を動かすことで調整して、短剣持ちのオークの足下に来るようにする。
足下までくると、尻尾に「魔力強化」をかけ、スネに向かって『斬尾』を放つ。
「ブモォオ!?」
斬り裂いたのは体重が乗っている方の右足だ。
斬り飛ばすまでには至らなかったものの、骨にまで届いた傷はオークの巨体を潰すには十分だった。
バランスを崩して前に倒れ込む短剣持ちのオーク。
その手には短剣が刺突する形で握られており、その先には棍棒持ちのオークが。
ドスリ、と短剣が棍棒持ちのオークの胸部に突き刺さり、赤黒い血が溢れ出る。
ズドォン、と重々しい音を立てて二体のオークが倒れ込んだのを見て、最後に万里の堅鎖をその背中に向けて放った。
◇◆◇◆◇◆
『お疲れ様。いや、見事だ見事。負けるとは思ってなかったが、まさか傷一つ負わないとは思わなかった。本当に見事だよ、ルキア』
『ありがとう。途中危ない局面もあったがなぁ。やっぱり、もっと体長が欲しいな』
リーチが短い、と言うのは結構深刻だ。
相手がオークのように巨大であればあるほどこちらはやりづらい。
喉笛を噛み切ろうにも、それに足る筋力も体格も足りない。
と言うか正直に言って一々飛ぶのが面倒くさい。
『ふふふ、それに関しては今後の成長と進化に期待するしかないだろうな』
この2週間で体調も結構伸びたが、それでもやはり足りない。
となれば後は進化にきたいしたいところだが…、
『進化ってどうやったらできるんだ?』
『一般的には一定のレベルまで上がると進化すると言われている。ただ、その一定のレベルというものは種族によって異なるそうだ』
結論。
『要するに、これまで通り戦い続けてレベル上げろってことね』
『結局はそうなってしまうな』
はあ、やることは変わらないというわけだ。
まあ、楽しいから良いんだけどね?
ヒリヒリとした命のやりとりは正直、すごく楽しい。
生の充実と死の恐怖、その間を綱渡りのように歩いているような気分はとても高揚する。
『とは言え、体格的な話はどうにもならん。そろそろ私も戦うとするか』
と、戦闘狂の思考をしていると思わぬ提案、というか行動方針が出てきた。
『え、マジで?』
『ああ、そろそろいい頃合いだろう。連携の練習もしたい。レベル上げには支障はきたさないし、むしろこれまでより多く狩れるから効率がいい。何よりいつまでもじっとしているのは性に合わん』
いや、二つ目と最後のは納得なんだけどさ。
『もうか?今からお嬢の手を借りてたんじゃもっと深くの階層で通用しないだろう。それに効率がいいってのは?』
するとお嬢は少しだけ呆れた様子で、
『あのな、ダンジョンは普通パーティーで挑むものだ。ソロで潜るのは自殺行為と言っていい。私だって野良でもパーティーは組む。それにダンジョンは普通こんな片っ端から闘うような場所じゃないぞ。それに私も手加減はする』
そう言った。
え、ソロって自殺行為なんすか。
いや、よく考えてみればそうか。
基本的に魔物は群れて行動していた。
そうでなくともダンジョンは魔物の巣窟だ。
多数に無勢で行くのは普通に考えて自殺行為としか言いようがない。
『効率的ってのは…まあ、転生者や転移者がよく勘違いすることだな、なんでかは知らんが。同じパーティーを組んでいれば、たとえ戦っていないとしても経験値はそれぞれに蓄積される。均等かどうかはわからないが。そのせいで貴族なんかは高ランクの冒険者について行ってレベルを上げたりするから、レベルが高いだけの雑魚が量産される』
それに付き合うこっちの身にもなれというんだ、と毒づくお嬢。
Oh…これが人間の業というヤツか。
で、舞踏会とかで「私はこのような魔物と戦ったのですよ、レディ」とか言い出す勇者(笑)が出てくるんだろうな。
何それ、超見たい。
『なるほど、分かった。それじゃあ頼むぜ、お嬢。俺に当ててくれるなよ?』
「ははは、うっかり手元が狂ってしまうかもしれんぞ?」
いや、マジでやめて下さいお願います、と言おうとしたところで、
「キャアアァァ!!」
と、甲高い悲鳴と共に地鳴りが聞こえてきた。




