第十二話 例え、敵わなくても
ヤバイ、戦闘パート書くのめっちゃ楽しい…。
でもそれ以上にえげつない殺し方考えるのもすっごい楽しい…。
ハッ、これが……恋?
『………本当にえげつない戦い方だな』
ゴブリン達を惨殺する事30と少し。
周囲にゴブリンがいなくなったので休憩をしていた所、お嬢にそんな事を言われた。
『えげつないって………単にアレが確実だっただけだぞ?』
そう言って見渡せば目が毒々しい色になっている死体、喉仏を抉り取られた死体、胴と首が乱雑に切り離された死体、…etc。
『頭部を狙った方が楽だし効率もいいんだよ。俺の体だと斬ったり殴ったり出来ないし』
武器、と言うのであればお嬢から貰った鎖があるがアレは先端が杭になってるから斬ったりはできないし、ゲームなんかだと蛇系のモンスターが尻尾で薙ぎ払ったりするが、アレは相応の質量を持って初めて「攻撃」になるのだ。
そうなると取れる手段は限られてくると言うわけで。
と言うか人型相手なら頭部狙うのは常套手段だよねっていう。
『はあ、周囲に人がいないから良かったものの………いたらドン引きされてたぞ?』
『はいよ。人前では気をつけるとするさ』
お嬢の評判を落としたいわけでもないしねぇ。
さて、現在のステータスがこちらだ。
Name:ルキア
Level:12
Phylum :魔物
Species :ホワイトスネーク
HP:79/79
MP:42/42
Strength :24
Vitality :22
Dexterity :26
Agility :28
Stamina :26
Luck :10
Skill:
【耐性系】
精神苦痛耐性Lv.100
【魔法系】
毒魔法Lv.7
魔力操作Lv.12
【感知系】
暗視Lv.5
熱源感知Lv.12
魔力感知Lv.20
【身体系】
尾撃Lv.6
魔力強化Lv.2
【その他】
念話Lv.10
レベルが上がり、それに比例してステータスやスキルのレベルも上がった。
……相変わらず「魔力感知」が頭一つ抜けているが。
「精神苦痛耐性」?無視だ無視。
加えて「魔力強化」も習得していた。
首を締めたり喉を食い千切ったりした時に使い続けていたのが良かったのだろう。
また、「毒魔法」と「尾撃」は新しい魔法と技ーーお嬢曰くアーツというらしいーーをそれぞれ一つずつ覚えていた。
「毒魔法」は『ポイズンスワンプ』。
文字通り毒の沼を作り出す魔法だ。
「尾撃」は『堅尾』。
アーツ発動中、尻尾が硬くなると言う単純ながらも攻防どちらにも使えるアーツだ。
『それで?これからどうする?もう周囲にはゴブリンいないぞ』
周りを見渡して尋ねる。
『森に行く。今夜はコルテカの迷宮で夜を明かす予定だからな』
何でもストレス解消と魔石の採取を兼ねて定期的にダンジョンに潜るのだと言う。
………………
『………お嬢』
『ん?』
『そう言う事は先に言え?』
◇◆◇◆◇◆
草原を抜け、森の中を進む。
いつもはお嬢の首に巻きついているが、今はそこらの茂みから何が出てくるか分からないので降りて、警戒しながら進んでいる。
──そういえば
『俺の魔力が一向に切れる気配がないんだが、お嬢は何か知らないか?』
そう、鎖を使ったり魔法を使ったりしているのに一向に魔力が切れる感覚がないのだ。
『ん?それはそうだろう。私とおまえの間にパスが繋がっているのだから』
………またか。
いや、くじけるな俺。
というか今は説明させる方が先だろう。
『どういう事だ?お嬢』
『使い魔の契約の効果だな。使い魔と契約者との間に魔力の通路ができる。これを通して魔力の共有ができるという訳だ』
なるほど。
ただ、それは随分と悪用出来そうなものだな。
『それってどっちかが魔力を搾り尽くすこともできないか?例えば寝てる時とかに』
そう、相手が油断している時に魔力を吸い取ってしまうこともできるのだ。
以前、アルフの迷宮の中で魔力切れになっても魔法を撃とうとしたことがある。
その時にはなにかが抜け落ちる感覚と共に魔法が起動したのだ。
ステータスを確認したところ、そこそこな量のHPが減っていてもう二度とやらないと心に決めたのを覚えている。
『ああ。だから魔法使いは使い魔との契約に気を使う。まあ、逆に知性のない魔物から一方的に魔力を吸い上げる奴もいるがな…』
忌々しそうにそう呟く。
『お嬢にとってはこの契約の効果は魅力的じゃないのか?』
『ああ、私は魔女の家系だからな。血筋的な問題で魔力は潤沢だ』
丸3日魔法をぶっ放し続けたらでもしない限り魔力切れにはならんよ、と多分他の魔法使いが聞いたら激怒しそうな事を言って笑った。
『それに、私が施した契約は魔力を譲渡してもらう際は、必ず相手の許可がいるようにしてあるからな。おまえの心配は杞憂だよ』
サラッと言うけどそれ使い魔欲しい魔法使いにとっては悲願では?
ウチのお嬢はすごい事を軽々しくやってのける天才肌のようで…。
まあ、その分苦労も絶えないのだろうが。
瞬間、本能が「逃げろ」と叫んだ。
『………お嬢』
『ああ、気づいている』
相変わらず我が主は優秀だ。
俺は「魔力感知」で、お嬢は何やらよくわからん術で「それ」の接近に気がついた。
「ギィ、イイイ」
高さは人の腰ほどまであるだろうか。
生理的な嫌悪を誘う八つの目は既にこちらを捉えている。
鋏角をキチキチと鳴らして八つ足を進めるその虫の名前を知っている。
だが、俺の知っているソレとは明らかにサイズが違う。
……流石は魔物、と言うところだろうか。
『ジャイアントスパイダーの幼虫か…。生虫なら成人男性程まで大きくなる。蜘蛛系の魔物にしては珍しく毒を持っていない魔物だ』
淡々とそう語る。
それはそうだろう、お嬢が内包する魔力は未だに測りきれているとは言えないほどに莫大だ。
目の前の蜘蛛とは天と地ほどの差がある。
っていうかアレで幼虫かよ…。
『お嬢、頼みがある』
『……言ってみろ』
なんとなく察しているのだろう、ぶっきらぼうな口調に苦笑して、
『俺一人でやらせてくれないか』
そう宣った。
『正気か?アレは私から見れば雑魚同然とはいえ確実に今のおまえより強いぞ』
…ああ、わかっているとも。
「魔力感知」だって使ってるんだ、それぐらいのことはわかっている。
体格、保有魔力量など、その他諸々を考えればどちらが強いかなど明白だ。
だが、いつまでも格下とばかり戦っていても意味がない、前には進めない、俺の目指す高みにはいつまで経っても届かない。
だから、無茶でも、無謀でも、その挑戦には必ず意味がある。
けれど、それをそのまま言うのはちと恥ずかしいし、何よりそう言うのは自分の中に納めておくもんだ。
だから代わりの言葉を口にする。
『ハッ、俺がただ強いだけのデカブツに負けると?知能と差し引きすればこれでようやく同格ってもんよ』
そうやって見栄を張る。
いや、これも大分恥ずかしいな?
本気でその詭弁を信じたわけでもないだろうが、お嬢はぱちくりと目を開くと
『死にそうになったら後は請け負ってやる』
だから存分に戦ってこい、と笑ってそう言った。
◇◆◇◆◇◆
巣を張っていないのが幸運か。
もし張っていたのならばこちらから敵の胃袋の中に入り込まねばならないところだった。
ヒュッと息を吐いて接近する。
至近距離まで近づければこっちのもんだ。
鋏角と押し潰したり転がったりするのに注意すればこちら側が有利だ。
だが、向こうもわかっているのだろう、尻から糸を吐いて応戦してくる。
粘性のある糸らしく、俺が避けて木にぶつかった糸はでろーんと木にくっついている。
だが、糸の発射速度自体はそれ程でもない。
このまま一気に近づ──
「ギッ」
『ッチイィ!!』
ダン!と「魔力強化」を施した尻尾で地面を叩きつけて跳躍する。
見れば地面と同化するような茶色の魔法陣とそこから飛び出す硬質な土色の槍。
(原始魔法かよ!!「魔力感知」がなけりゃ死んでたぞ!?)
そう、心の中で毒づく。
詠唱がなかったことからしても明らかだろう。
ーーというかヤツの方が魔物としての格は上だろう。
使えない方がおかしい。
その可能性に至らなかった自分を罵倒しつつ、作戦を練り直す。
(あの複眼だ。背中まで見渡せるだろうし、唯一死角となるのは腹ぐらいだろうが、それだって押しつぶされればおしまいだ)
となれば接近戦は難しいと言わざるをえないだろう。
ならば、自分の強みを活かして距離を離して戦うより他はない。
『お嬢!!魔力借りるぞ!!』
正直あまり頼りたくない手だがやむを得んだろう。
『構わん。魔力の譲渡は使い魔の特権だからな、気に病む必要はないだろう』
『助かる!』
ホント、我が主はイケメン過ぎて困ってしまう。
ヤダ、抱かれちゃう!
何、福○雅治なの?カッコ良過ぎでは?
だが、何にせよ有り難い。
ヤツはこちらの様子を伺ってる。
恐らく先程の魔法で仕留めるつもりだったのだろう。
(さあ、第二ラウンドといこうか)




