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魔女の使い魔  作者: 自動機械鮎
第一章 白蛇と魔女
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第十一話 お嬢のハスキーボイスこそ我が癒し

HF三章延期…。私は悲しい(ポロロン)

 にひゃくごじゅうろく…二百五十六?…two hundred-fifty six… zwei­hundert­sechs­und­fünfzig?…2の8乗?

 英語にしてもドイツ語にしても、ついでに累乗表記にしても256という数字が変わらない。

 いや、累乗にする必要なかったな。


『256?』


 ヤバイ、256連呼しすぎてそろそろゲシュタルト崩壊しそう。


『それってどんくらい高いの?』


 そう、この世界の基準がまだ分からないのだ。

 もしかしたら256という数値は大して高くはないのかーー


『うん?まあ、一流の冒険者と言われるのが大体200前後と言われているな。一流、というは大体Bランク中間〜Cランク上位ぐらいか』


 うーん、どうなの?

 一流、と言うものの平均よりは高いがアホみたく高い、というわけでもない。

 差しあたってはーー


『お嬢を目指して頑張ろうか』


『そうか』


 胸を張ってお嬢の使い魔を名乗れる程は強くはないので、取り敢えずそれを目指して頑張るとしますか。

 



◇◆◇◆◇◆




 冒険者ギルドでゴブリン討伐の依頼を受けて城門をくぐると見えたのは大草原。

 ここにくる間は寝ていたし、着いたらついたで詰所まで即、連行されたのでゆっくり見る暇がなかったのだ。

 更に奥に目を見やれば見えるのはアルフの森。

 こうして見るとやっぱり辺境だなぁ、と思う。


『さて、狩りと行こうか』


 何やら見覚えのある黒い渦の中から、見覚えのない杖を持ってお嬢がそう言う。

 左手首につけてあるブレスレットに刻まれた文字が光っていたので、恐らくあの魔導具の効果なのだろう。

 取り出した杖は大理石かと思うぐらい真っ白で、先端には蓮の彫刻がしてある。


『お、ゴブリンいたぞ。まあ、普通のやつだな』


『普通じゃないのってどんな奴?』


 お嬢の言い方が少し気になったので聞いてみる。


『代表的なのは剣や槍、拳での戦闘を得意とするソルジャー、ランサー、ファイター。魔法を使う奴はマジシャン、プリーストがいるな。そいつらをまとめて「役職持ち」と呼んだりする。それらのまとめ役としてリーダー、その上位者としてジェネラル。更に高位のものとなるとキング、クイーンなどが挙げられるな。まあ、キング、クイーンは十年に一回程度のスパンでしか出てこないし、ジェネラル辺りも森の奥深くまで行かないと出てこないから、ここら辺では出てきてもせいぜいリーダーぐらいまでだな』


 いつもよく噛まずに言えるなぁ、と感心してしまう。


『さて、はぐれが一匹。その奥に三匹。どれも普通のやつだ。危なくなったと私が判断したら手を出すからやれる所までやってこい』


 えらい放任主義だ、と思うのと同時に有り難いとも思う。

 いざという時に絶対強者が後ろに控えている、というのは精神的に結構楽ではある。

 いつまでもそれではダメだ、とは思うが今は取り敢えず獲物を狩ることに集中しよう。

 さて、改めてステータスの確認をしておこう。

 


 Name:ルキア

 Level:6

 Phylum :魔物

 Species :ホワイトスネーク

 HP:43/43

 MP:24/24

 Strength :13

 Vitality :11

 Dexterity :15

 Agility :17

 Stamina :15

 Luck :7

 Skill:

  【耐性系】

    精神苦痛耐性Lv.100

  【魔法系】

    毒魔法Lv.3

    魔力操作Lv.9

  【感知系】

    暗視Lv.5

    熱源感知Lv.9

    魔力感知Lv.17

  【身体系】

    尾撃Lv.2

  【その他】

    念話Lv.6



 「魔力操作」が2、「熱源感知」と「魔力感知」、「念話」がそれぞれ3ずつ上がっている。

 「魔力操作」が上がったのは暇な時に魔力をこねくり回していたせいだろう。

 最終確認も終わったのでそろそろ行こうか。

 

 狙うは不意打ち…ではなく、油断を誘ってできた隙を突破口にした嬲り殺しだ。

 周囲には雑草が生えているが、身を隠せるほど草の背は高くない。

 よって戦法なんてのは限られてくるわけだが…。

 身を隠す必要はない。

 大胆不敵、というにはコソコソしてゴブリンの前に立つ。


「シュルルルゥ」


 と弱々しく、いかにも弱っていますと半端に頭を上げて申し訳程度の威嚇をする。

 それが功を奏したのであろう、ゆったりとした足取りで醜悪な笑みを浮かべて右手に持った棍棒を振り上げる緑色の獲物(経験値)はその棍棒を振り下ろすため、右足を踏み込もうとする。

 右足が動いたのとほぼ同時、シャアッと音を立てて素早く地を這う。

 その動きに目を見張るがもう遅い。

 地についた右足をスルスルと登って肩に到着する。

 狙いは右手ではなくうなじだ。

 今更だけどこれをうなじと表現するのはちょっと…うなじスキーとしては些か抵抗があるが今回は狩りなので仕方がない。

 噛み付くなら美女の方が良かったなぁとか思いつつ、その緑色のうなじに牙を突き立てる。


「ギイィアアァア!?」


『うるさっ』


 美声…と呼ぶにはかなり抵抗のある悲鳴を上げるゴブリン。

 はあ、後でお嬢のハスキーボイスで耳を癒そう、そう心に決めて作戦は次の段階へと移行する。

 悲鳴を上げている、ということは口を開いているということだ。

 故に、今口の中に攻撃を叩き込んだらどうなるだろうか?実演といこう。

 お嬢の魔法を見て気づいたのだが、魔法陣の出現位置は固定ではなく本人のイメージと魔力さえ足りればいくらでも動かせたりする。

 例としてはお嬢の『ステアウェイ・スカイ』がある。

 あの魔法はお嬢の両足裏に魔法陣を展開していた。

 目に見えない場所に展開するならともかく、今展開しようとしているのはゴブリンの口の前。

 要するに目の前だ。


『『ポイズンショット』!』


 目の前に展開され、ゴブリンが気がついた時には既に毒の弾丸は放たれている。


『ーー締めだ』


 そう呟いて牙を抜く。

 牙を突き立て口を開いた、その開いた口の中に毒を入れた。

 ぐるりと顎、側頭部、頭頂部を覆うようにして顔に巻きついてあらん限りの力で締め上げる。

 合言葉は「開けたら閉めなさい」だ。

 よくトイレの便座とかドアを開けっぱなしにすると母親に言われる言葉である。

 小学生の頃母親によく言われました…。

 それに倣って俺も開けたものは閉めるとしよう。


 (たかし!口に入れたものはきちんと飲み込みなさい!)


 なんて心の中で漫才をしながら、一滴も零させはしないと言わんばかりに締め上げる。

 抵抗も弱まってきたので、念のためにと「魔力感知」で周囲の状況でも探ろうかしらん?とか思っているとぐらり、と体が傾いたので巻きつけていた身体を離して着地。

 見ればゴブリンは息をしていなかった。

 あ、先に窒息死しちゃった?それとも毒死が先?

 まあ、どっちにしろ殺せたのでよしとしよう。

 殺せばいいのよ殺せば。

 かの天才剣士、沖田総司もそう言ってたとか言ってなかったとか。言ってないか。


「おまえ……えげつない殺し方するなぁ……」


 どこか呆れたように、というか明らかに呆れた目でお嬢が言った。


『お嬢、これは狩りだぜ?なら、俺は蛇らしく狡猾に確実に殺すさ』


「狡猾…かなぁ?」


 苦情を漏らすお嬢。

 いや、ハメ殺し=狡猾みたいな所あるじゃない?

 まあ、それはそれとして。


『それじゃあ、本命と行こうか?』




◇◆◇◆◇◆




 金色の瞳に映されたのは三つの人影。

 スルスルと忍び寄っていくのは白い蛇。

 状況は先ほどと変わらず。

 二つ程違う点を挙げるならば緑色の人影が三つなのと、白蛇がこれまた緑色の死体を加えているということ。

 そんなことをすれば当然ゴブリン達にも気づかれるが、そんな事はお構いなしに近づき10m程離れた位置で進みを止める。


 「魔力操作」をしていて少し気になることがあった。 

 体の特定部分に魔力を集中させるといつもより力が上がっているような感覚があったのだ。

 後でお嬢に聞いてみると、それは「魔力強化」というスキルの原型だという。

 読んで字の如く魔力を集中させることで身体を強化するスキルで格闘家や戦士などがよく使うスキルなのだと。


 今はその原型といえど、効果がないわけではない。

 むしろ結構あるから重宝できる。

 魔力を集中させるだけで消費はしないのでお得感がスゴイ。

 尻尾の先端に死体の口を引っ掛け、尻尾に魔力を集中させて、


『ふっ!!』


 という掛け声(声は出てない)と共にゴブリン達のいる方向へ死体を投げ飛ばす。

 あくまで動揺を誘うための投擲だったため、当たったらラッキー程度のものだったのだが、右端のゴブリンの頭にクリーンヒット。

 やだ、アタシったらコントロールよすぎ?


 なんか気持ち悪くなった口調はさておいて、一匹がダウンしている内に早いとこ二匹を始末するべく飛び出す。

 いきなり同胞の死体が吹っ飛んできたことと、三匹のうちの一匹が倒れたことで動揺している内に仕掛ける。


『あらよっとぉ!』


 お嬢に貰った鎖ーーそういや名前聞いてねえな、後で聞いとこーーを二本それぞれに向けて射出する。

 ……結構魔力持ってかれるなぁ。

 操作はこう…生前見た蛸の足をイメージしてやったら案外上手くできた。

 ……なんで蛸の足イメージしたの俺?

 クトゥルフ神話のやべー奴になりたいわけじゃないだよ?


 そんな事を考えながら射出された鎖は狙い通りそれぞれのゴブリンの眼球に突き刺さった。

 ゴブリン達が苦しんでいる間に一気に距離を詰め跳躍し、一匹目のゴブリンの喉に牙を突き立てそのまま喉笛を噛みちぎった。

 吹き出る血を無視して口の中に収まった肉をペッと吐き捨てる。

 っつうかマジでまずいなゴブリンの肉!

 ネズミの肉が最高級のご馳走に思えてくるレベルだぞ!?


『ちっ!『ポイズンショット』!』


 気を取り直して二匹目のゴブリンの口の中に『ポイズンショット』を撃ち込んで、ハリウッド俳優もかくやのサマーソルトキック(っぽい何か)を蹴り込んで強制的お口チャックを敢行する。


 最後に頭にクリーンヒットを食らって気絶しているゴブリンには魔力操作の練習も兼ねて、二匹目のゴブリンに突き刺さっていた鎖を心臓があると思しき場所に叩き込んで終わりだ。

アリシアさんはこの世界では強さ的には上位層に入るけど別に最強って訳じゃない。魔導師とかバケモンばっかだし。


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