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序列主義の異能学院  作者: 丹野海里
第3章 殺人ギルド血影編
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第96話 作った笑み

この話は『第2話 生徒会長馬場裕二の言葉』の続きを暗空玲於奈あんくうれおな視点から描いたものになります。

—1—


 入学式が終わり、体育館の後方では寮の鍵を受け取る列ができていた。

 待機列に向かった神楽坂かぐらざかくんを見送った私は、空席となった椅子に腰を下ろして時間が過ぎるのを静かに待つことにしました。


 ステージでは生徒会役員が忙しなく後片付けを行っています。

 序列上位者で構成されている生徒会役員は、学院と密に連携を図っていることがわかっている。


 個性豊かな生徒を束ねて序列戦や文化祭などの複数の行事を運営していくのだから当然でしょう。


 校長である陣内じんないに近づくのであれば生徒会に接触するのが手っ取り早いか。

 などと考えていると、背後からコツコツコツと靴音を響かせながら何者かが近づいてきた。


「どうした? 具合でも悪いのか?」


「いえ、少し考え事をしていただけです」


「そうか」


 髪を後ろでひとつにまとめた細身の女性教師が私の隣に腰を下ろした。

 新入生の私にわざわざ声を掛けてくる人物は限られています。


鞘師さやし先生、持ち場を離れて生徒と1対1で話をしていたら不審に思われないですか?」


「その心配はない。後ろを見てみろ」


 鞘師先生が視線を後方に向ける。


「いつの間に。時間を忘れて考え込んでしまっていたみたいですね」


 すでに待機列に並んでいた生徒の姿はなく、教師陣も職員室に向かおうとしているところだった。


「そうらしいな。玲於奈れおな、お前の立場は普通の生徒とは違う。遅かれ早かれ陣内もお前の存在に気がつくだろう。お前を排除しようとあらゆる手段で妨害してくることも考えられる。そうなったとき、1人で抱え込まないで私と保坂ほさかを頼って欲しい」


 鞘師先生が真っ直ぐな目で私を見つめてきた。

 私と鞘師先生と保坂先生の秘密。

 マザーパラダイス卒業生の3人が陣内の寝首を掻こうと裏で暗躍している。

 どんなに険しい道だとしても命を落とした仲間のためにも絶対に成し遂げてみせる。


「そのときが来たらよろしくお願いします。では、あまり長く話していると怪しまれてしまいますのでこの辺で」


 席を立ち、鞘師先生に対して軽く頭を下げる。


「待て。忘れ物だ」


 鞘師先生から寮の鍵を受け取った。


「ありがとうございます」


「玲於奈、話していて思ったが随分と雰囲気が変わったな。妙に落ち着いてるというか」


「そうですね……ここには遊びに来た訳ではないですから」


 社交辞令のような作った笑みを鞘師先生に向けて体育館を後にした。

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