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序列主義の異能学院  作者: 丹野海里
第3章 殺人ギルド血影編
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第94話 死闘の果てに

—1—


 闇の魔剣・悪魔剣サタンから溢れ出る闇の奔流とそれを浄化する光の魔剣・天使剣ガブリエルの輝き。

 幾重にも衝突した2振りの魔剣による被害は甚大なものとなっていた。


 マザーパラダイスの子供たちが過ごしてきた屋敷は今や跡形も無い。

 庭に植えられていた背の高い木々は根元から倒れている。

 地面の至る箇所が抉れ、真っ直ぐ歩くことすら叶わない。


「最後に聞く。あんたはその魔剣で誰かを殺したか?」


 地形が変化し、盛り上がった地面の先に咲夜が立つ。


「いいえ、如何なる事情があろうと人の命を奪っていい理由にはなりません。私は、この力はあの子たちを守るために使うと決めていました。それが今です!」


 天使剣ガブリエルから放たれる黄金の光が一際強くなる。

 それを見て咲夜が頬を緩ませた。 


「ここにきてまだ上があるのか。だがそんな無茶な使い方してたらあんたの命も飛んじまうぜ」


「構いません。あの子たちを守れるのなら」


 一瞬の静寂。

 その直後に闇と光の波が2人の中央でぶつかった。

 咲夜と種蒔がギアを入れ直したのだ。

 もうこれ以上ギアは上がらない。

 魔剣所有者として今2人が出せる最大の剣戟が繰り出される。


降魔神殺の剣戟(サタン・ブレイズ)


聖天煌還の剣戟(ガブリエル・ブレイズ)


 神をも殺す悪魔の一閃と聖なる煌めきであらゆる生物を天に還す一閃。

 最強の矛と矛とが衝突したことで生まれた衝撃波が周囲の地形を平らにならしていく。


 雲が渦を巻き、雷鳴が轟く。

 この世の光景とは思えない、それこそ伝説や御伽噺の中でしか聞いたことの無いような光景が広がっていく。


 両者の体には受けたことの無い痛みが駆け巡っていた。

 歯を食いしばり、向かい合う敵を睨む。


 魔剣所有者同士の戦いはどちらかが敗れるまで続く。

 この2人の場合、それは死を意味していた。


「……ッ」


 先に限界を迎えたのは種蒔だった。

 苦痛に顔を歪めながら、咲夜の剣戟に食らいつく。


 いつ押し切られてもおかしくない状況だったが、子供たちが逃げるための時間を1秒でも多く確保するべく自身の体に鞭を打つ。


「な……」


 種蒔の鬼気迫る反撃に咲夜も思わず声を漏らす。

 度重なる戦闘で確実に疲労が蓄積されているはずだが、表情は変わらない。

 むしろ、ここにきて剣筋がさらに鋭さを増した。


 そして、ついに決着がつく。


「えっ?」


 種蒔の目から咲夜の姿が消えた。

 いいや、違う。

 咲夜の加速に種蒔の目が追いつかなかったのだ。


 悪魔剣サタンが斜めに斬り下される。

 直後、光が闇に飲み込まれていく。


 種蒔の手から天使剣ガブリエルが離れる。

 地面に転がる光の魔剣。


 種蒔は咲夜に敗北したため、この瞬間から光の魔剣の所有権を失ったことになる。

 魔剣は誰もが扱えるわけではない。

 魔剣自身が使用者を選ぶのだ。


 世界に7つある魔剣はそれぞれが独自の方法で使用者を探し出す。


 光の魔剣・天使剣ガブリエルの場合は、天から所有者となるに相応しい人間を探し出す。


 主を失った天使剣ガブリエルは、カタカタと震えて宙に浮いた。


 と、そのとき、光の魔剣に咲夜の手が伸びた。


「何勝手に行こうとしてんだよォ。お前は元を辿れば俺の剣だろうがァ!」


 天使剣ガブリエルを手にした咲夜が悪態をつく。

 右手には悪魔剣サタン、左手には天使剣ガブリエル


 通常であれば同じ人間が魔剣を2振り持つことなどあり得ない。

 しかし、現に天魔咲夜は魔剣を左右の手に収めている。


 一体、何が起きているのか。


「終わったんだな」


 どこに待機していたのか陣内が現れた。

 倒れている種蒔に目を向けてから視線を咲夜に戻す。


「外の方は完璧なのか?」


「心配はいらない。私の異能力でここでのこともなかったことにする」


「ははっ、怖い怖い。まあ、俺は目的を達成できたからどうでもいいけどなァ。あと5振り、手伝ってもらうぞ」


「それは咲夜次第だ」


「ふっ」


 咲夜が敷地の外に止めてあった黒塗りの車に向かって歩き出す。

 戦闘が終わった今となっては敷地の外も内もないのだが。


「残念だよ種蒔さん」


 陣内の呟いた言葉は種蒔に届くことはなかった。

 当然、咲夜に届くこともなかった。

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