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序列主義の異能学院  作者: 丹野海里
第6章 反異能力者ギルド・ゼロの全貌、3校合同文化祭編
194/196

第188話 生徒会長の遺言

—1—


『8月23日東京(10:18発)→仙台(11:53着)7号車12番E席』


 仙台行きの新幹線に乗り込んだオレは手にしていたチケットに目を落とし、座席番号と照らし合わせながら中通路を進む。

 2人掛けの窓際の席に腰を下ろして荷物を足の間に挟むようにして置く。

 ほどなくして新幹線が動き出した。


 購入したチケットは2人分。

 連番で購入したからオレの隣に人が座ることはない。

 荷物を座席に置くことがマナー違反になるかは微妙なところだが、他の乗客からの見映えが悪いのも確か。

 無駄なトラブルを回避する上でもここはパーソナルスペースを確保できれば十分だ。

 座席に備え付けられているテーブルを開き、パソコンを取り出す。

 そして、昨日の夜、学院の生徒会室から盗み出したUSBを挿し込む。


 膨大なテキストで綴られた馬場会長の遺言。

 朝方に一通り目を通したが、天魔咲夜てんまさくやの襲撃から現在に至るまで睡眠を削って動き続けていたため、改めて確認しておく必要がある。


【・学院が隠している闇について

 まず初めにこの記録は俺が実際にこの目で見たものだ。信じられないかもしれないがフィクションなどではない。俺の身に何かあった時のため……つまりそれは俺がもうこの世にいない事になるが、次の魔剣継承者の手助けになればと思い残すことにした。


 学院には人体実験を行っている巨大な地下施設が存在する。

 地下施設にはいくつかのフロアが存在していて今回俺はその中の2フロアに立ち寄ることができた。


 初めに立ち寄ったフロアは病室エリア。ベッドに眠らされた幼い子供たち。

 病室は左右に分かれており、片方の入り口には『マザーパラダイス』、もう片方の入り口には『ロストチルドレン』と記されていたが、この言葉が何を表しているのかまでは分からなかった。

 少年の手首に触れ、脈があることを確認したから死んでいる訳ではなさそうだが、子供たちの顔には生気がなくとても不気味な空間だった。

 室内を観察しているとベッドの下から使用済みの注射器を見つけた。注射器の側面には『明智製薬』のロゴと『異能力強制強化剤アビリティプラス』と印字されていた。言葉の意味をそのまま汲み取るに異能力の力を強制的に増幅させる効果がある薬だろうか。この子供たちは薬の後遺症で眠っているのだろうか。

 情報量の多さにその場でしばらく思考するもこの異質な空間に長居できるはずもなく俺は病室エリアを後にした。


 次に訪れたのは自律式戦闘型ロボットが保管されているエリア。所狭しと並べられた少女の見た目をしたロボット。

 学院のセキュリティの役割を担っているクロムとイレイナともまた違う見たことのないモデルだった。ロボットというよりはかなり人間に近い作りをしている。初見では人間かロボットかの判別は難しいだろう。

 驚いたのはその数だ。ざっと1,000体はいるだろう。それがスリープモードで待機している。隣の部屋も、その隣の部屋にも少女のロボットが同じように同じ数だけ並べられていた。合計で10部屋。およそ10,000体のロボットが地下施設に眠っていた。

 途中から自分の目を疑った。同じ光景が永遠と続くからループしているような感覚に陥った。

 ロボットの使用目的は不明だが、仮にクロムとイレイナと同等の戦闘能力を持ち合わせているとすればテロでも起こされたら都市が滅びかねない。

 ここでさらに奥のフロアから教員の海藤さねみと20代前半くらいの見た目をした女が姿を見せたため、あえなく撤退となった。


・水の魔剣について

 水の魔剣の能力や使用時の代償について、詳細は後述するが文章で全てを説明するには限界がある。俺が直接教えることができればよかったが、こちらにも色々と事情があって叶いそうにない。

 そこで先代に指導の依頼を掛けておいた。

 先代の水の魔剣の継承者の名前は滝壺梅たきつぼうめ。生徒会書記の滝壺水蓮たきつぼすいれんの祖母にあたる人物だ。

 もちろん先代のもとを訪ねるかどうかはこれを読んでいる君の判断に任せる。先代もその点は了承済みだ。

 住所は『宮城県×××××××××××××××』。


 魔剣についての詳細だが、まずは能力について——】


 車内を巡回する警備員が通り掛かり、オレはスクロールする手を止めた。

 これ以降は魔剣に関する記述が続く。

 馬場会長から託された水の魔剣。オレはそれを使いこなせるようになるべく宮城県に向かうことにしたのだ。


 当初の予定では夏休みが今日で終わり、明日から授業が再開されることになっている。

 しかし、馬場会長の件もあり先行きは不透明だ。

 仮に授業が再開されたとしても数日欠席したところで大きな問題にはならないだろう。


 学業よりも優先すべきことがある。

 今はそういう段階に入った。


 魔剣を所有する天魔咲夜に対抗するにはやはり魔剣が鍵となる。

 火の魔剣の所有者である火野がそうであったように。


 夏祭りの件から一夜明け、メディアは天魔咲夜に関するニュースを繰り返し報道している。

 天魔は殺人の容疑で全国指名手配となったが、他人の姿に変身できる異能力を持っていることを踏まえると捕まえるのは難しいだろう。


 あの場に現れた陣内は事件を揉み消すと言っていたがメディアは概ね真実を伝えているように思える。

 目撃者も多く、被害も甚大だったため、流石に介入することができなかったのかもしれない。


 そう思っていた矢先に反異能力者ギルドが私立鳳凰学院高等学校を襲撃したとのニュースが入った。

 次第に大衆の関心は新しい事件の方に移っていく。


 こうも立て続けに物騒な事件が続くとは。

 まさかとは思うが陣内が裏で糸を引いているなんてことは、ないよな。

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