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序列主義の異能学院  作者: 丹野海里
第4章 集団序列戦in無人島編
102/194

第99話 千代田の苦悩

—1—


 反異能力者ギルドによる学院襲撃から数日。

 私は右足の治療を受けるために1人で保健室に向かっていた。

 窓ガラスの破片で膝下を切ってしまったのだが、幸いなことにそれほど深い傷ではなかった。


 保健の鳴宮なりみや先生の話では今日で完治できそうとのことだった。


 休校中の校舎に忍び込むのは何だかいけないことをしているような気分でドキドキする。

 別に誰かに見つかったところで怒られることはないのだけど変に緊張してしまう。


「あれ? 誰かいるのかな?」


 校舎内に鳴り響く修繕工事をする機械音。

 それとは別に人の声が聞こえたような気がした。これは女の人の怒っている声だ。


「クソッ、あーやってらんない。本当ウザイ」


 低くて重い声が保健室から聞こえてきた。

 ドアが半分開かれたままになっているから耳を澄ませればハッキリと聞き取ることができる。

 この様子だと中に鳴宮先生はいないとみていいだろう。


 盗み聞きは良くないと思い、踵を返そうとしたそのとき、私の知っている名前が飛び出した。


暗空玲於奈あんくうれおな、なんであんな奴が生きてるんだよ。早く死ねばいいのに。というか死ね」


 誰かが暗空さんの暴言を吐いている。

 聞いちゃいけないことを聞いてしまった。


 気づかれる前に早くここから立ち去らなくては。

 私の脳が急いで逃げろと命令を出すが、それと同時に誰が暗空さんの悪口を言っているのか気になってしまっている自分もいた。


 普段の私だったら危ない橋は渡らずに真っ直ぐ帰っていただろう。

 しかし、なぜかこのときは好奇心の方が勝っていた。


「序列1位で生徒会にも所属して何様だっつんだよ。自分がしたことをいつまでも隠し通せると思うなよ」


 少女の不満は止まらない。

 よほど怒りが溜まっているのか机を拳で叩いている。

 私は音を立てないようにドアの影からこっそりと室内の様子を見た。


「どうしたの? 中に入らないの?」


 突然背後から声を掛けられた。

 外出していた鳴宮先生が戻ってきたのだ。

 室内にばかり注意を向けていたため、不意を突かれた。文字通り頭が真っ白になる。


「あ、あの、大丈夫です。失礼します」


 早口で捲し立てると私は早足でその場から立ち去った。


「あっおかえりなさいっ先生。外に誰かいたんですか?」


「うん、明智さんのお友達の——」


 まさか明智さんが暗空さんの暴言を吐いていただなんて。

 悪口から一番イメージが離れていたから想像もできなかった。


 一体、暗空さんは明智さんに何をしたのだろうか。

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