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次なる地獄へ

今回は会話多めです楽しんでいってね('ω')ノ


「歓迎しますよ」


細身の鬼は何がおかしいのか笑いながらそう言った。


「えーっと、どちら様ですか?今最高に気分が良かったんですけど」


「これはこれは、申し訳ありませんでした。まずは、名乗り上げるのが礼儀でしたね」


「私は、“六鬼天(ろっきてん)が一”閻腕(えんわん)の夜叉様が配下黒邪鬼(くろじゃき)と申します以後お見知りおきを」


黒邪鬼と名乗った鬼は真っ黒な和服を着ており腰に一本の刀を差していた。腰に差したその刀は柄から鞘まで赤黒く、鞘に入っているにもかかわらず、そこに存在するだけで不安を掻き立てるような刀だ。白髪で額には大きな一本の角が生えており、瞳は血のように真っ赤だった。そう言えば夜叉の存在は認識できていたが姿はなぜか思い出せない。どうなっているんだ?


「それで、黒邪鬼さんはどうしてここに来たんです?鬼になるか、向き合い終わったら夜叉さんが来るはずじゃあ?」


「その事については誠に申し訳ありませんが急用が出来てしまったため代わりに私めが代わったのです」


「まあ、最近は俺みたく自殺者やらが多いみたいだから忙しいのかな?」


「戦時に比べれば全然少ないのですが、他の世界の死者も裁いているので、なかなか暇にならないんですよそのおかげで全く休みが取れないんですよねえ」


「へぇ~、現世も地獄もブラックなのは変わらないんですね」


「本当にそうなんですよ!むしろ死んでも甦らされるから現世よりも酷いんですよ!!」


「それはそれはご愁傷さまで、えっと?それで何のお話をしていたんでしたっけ」


「ああ!これは申し訳ありません、日ごろの不満が飛び出してしまいました。それでですね、お話というのは心を失いただの怪物に堕ちた鬼、堕鬼(だき)の処理をお願いしたいのです」


「まあ、殺せるなら正直なんでもいいんだけどそれって俺になんかメリットってあるんです?」


「良かった!あなたならそう答えてくれると思っていましたよ!メリットについてですが現状あなたは自身の内に眠る怪物を起こそうとしています。この怪物を起こすにはどうやら何かを殺して己の糧とするのが手っ取り早いようです」


「なので、丁度よく溜まっていた堕鬼の処理をあなたにお願いしてそのついでに怪物を起こしてもらうと言う一石二鳥の計画です」


「別にその、堕鬼?ってのを殺すのは構わないんだが誰の命令でやらされるのかってのと、俺の中に眠ってるとかいう怪物を起こすことがあんた達にとってどんなメリットがあるのかが知りたいんだがいいか?」


「ええ、構いませんよ。一つ目の質問の答えは閻魔様からの依頼です。そも、堕鬼とは心を失いただひたすらに己の内に世界の膿や浄化しきれなかった負の欲望といったものを溜め込み人間や環境、果ては世界や神を殺しつくす存在に代わる器、もしくは種といったところですかね。大抵の堕鬼はそこまで成長できず他の堕鬼に喰われるか、負の欲望や膿を溜め込みすぎて自壊しますが稀に耐え切りこちらの手を煩わせる存在になります。てか、そうなると面倒なので成長しきる前に刈り取ります」


「世界を破壊させるほどの存在を面倒の一言で済ませられるほど、あんた達が強いことは理解したし堕鬼についてもよく分かった」


「あとは貴方の怪物についてですがもし万が一覚醒させることが出来たのなら、やってもらいたいことがあると閻魔様がおっしゃっていましたし、“こちら側”に至ることが出来たのなら私の負担も減るのでむしろその方に期待しています」


「あー、なんとなく分かりました。俺の鬼も復活しないですしそのお話お受けします」


「ええ、ええ。良かったです。ただ、最下級の堕鬼ですら君の百倍は強い。今持っている棍棒は使いやすいようにしてあげるけどそれだけじゃまだ勝つことは無理だから頑張って覚醒してくださいね。じゃあ、ハッ!」


 掛け声一閃、一メートル八十センチほどあった棍棒が三分の一ほどに両断された。というか、今更だが戦闘に夢中だったとしても俺ほとんど片手でこの棍棒を使っていた事になる。あれ?既に人間やめてね?


「はい、前よりは使いやすくなっているはずですよ」


「ありがとうございます、あのこれが俺の怪物の力ですか?」


「はい?普通に持てるでしょう……ってああ、普通の人間には持てるわけないですもんね。ええ恐らくそれもあなたの力でしょうね、さて無駄話はここまでにしてさあ行きますよ。“牢堕(ろうだ)の獄”へ」


 そう言って、黒邪鬼は腰に差した不気味な赤黒い刀を鞘から抜いた瞬間、空間を一閃した。すると“空間が裂けた”。あの一閃も、刀身も見ることは出来なかった。気が付いたら手を添えていた刀が抜かれて一閃していた。認知できない攻撃を避ける事など出来ないし防ぐこともできない。それ即ち、勝てないということ。ならば今“戦うべきでは”ない。


「さあ、この空間へ入ればもう後戻りはできない。勿論ここで罪が清算されるまで居てもいい。ただ、ここから先は理性を堕とし鬼と化すか、はたまた精神を破壊されて修羅へ化けるか、それとも君の中の怪物を覚醒させて帰ってこれるか。期待はしてないけどまあ、精々気張りな」


 俺は迷うことなく裂けた空間へ進んだ。もっと強い敵と戦えるならここで引くわけにはいかない。ああ、今から楽しくなってきた!裂けた空間の中は前へ進んでいるはずなのに後ろに下がっていたり、立ち止まると前へ進んだり、なかなか不可思議なもんだなぁ。


「ん?ようやく出口か?」


 黒邪鬼が切ったのと同じような裂け目がそこにあった。そこに入れば恐らくどこかに出られるんだろう。それに、ここからは抜けられるしな。そこまで考えて裂け目へと歩を進めた。眩しくもなんともなかったがそれでもなぜか目を開けられなかった。


 五感が回復していく。少しずつ目が慣れてくると、目の前の戦場がようやく認識できるようになった。ここは血と死肉の臭いがあたりに充満していた。空気が震える戦いの波動。この場所こそが俺の次の戦場だ。ごちゃごちゃとうるせえ堕鬼が喚いてることだし死に覚えしながら殺してやりますか!


「ギギョルゲルガァアアア!!!」


 原形が何かも分からない化物どもを相手に、棍棒を向け、声高らかに宣言する。


「さあ、殺ろうぜ!!」


戦闘狂大好きです(*'ω'*)

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