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時ノ支配者

あと数話で地獄編が終わります('ω')ノ


 “牢堕の獄”第二層 最奥

 世界を滅ぼす力を持った“魔王”達が巣食う魔境の深層、そこには一匹の獣がいた。数多の世界の時を狂わせ命を貪った怪物がそこに佇んでいる。何もない虚無の世界でグチャグチャと音を立ててナニカを貪っている。自身を絶対強者と信じ、今日もまた餌を貪っている。






 たくさんの道化師を、丸ごと喰らったおかげで“主”の魂も大分回復した。あともう一匹喰えば元に戻せる。だから早く、餌を探さなければ。


 【暴食】は何もない空間を彷徨い歩く。すると、何かがそこに居た。こいつもあまりおいしそうな匂いがしないけど仕方ない。おいしくなさそうだけど、強い魂を持っているのは感じ取れる。こいつを食べたら寝ぼすけな“主”もきっと起きてくれるはず。


 やる気が出てきた。

 ゼンブ食べよう。

 残さず余さず全部食べよう。


 ソイツは【暴食】を一瞥すると、ニチャァとネバついた笑みを浮かべ見下ろしていた。

 また餌が勝手にやってきた。そう思いながら今回も、いつも通りに“時”を止めて食ってやるだけだと、そう考えていた。その油断こそが、その慢心こそが、この怪物の敗因だろう。


 今この瞬間、こいつは捕食者ではなくただの餌であることをコイツは理解していなかった。


「※※※※※※※【トキノシハイシャ】」


 声にならない咆哮を上げたのち何かを唱えた。

 その瞬間世界は、すべての時を失った。生きとし生けるものの時が止まった。

 怪物はいつも通りに食らってやろうと、ドロドロになった自身の肉を虚空に溢しながら矮小な存在を食ってやろうと進む。


 やがて肉の前にたどり着き、怪物は大口を開けて【暴食】を丸呑みにした。

 噛み砕くことなく、呑み込み己の腹に納める。

 気色の悪い笑みを浮かべて眠ろうとしたその時、怪物の肉体が爆ぜた。


 時間が止まった程度では【暴食】は止められない。【暴食】は自身に降りかかるすべての異常を喰らって無に帰す。故に、何が起ころうとも無意味だ。


 ようやく魂の修復が終わった。

 これで“主”は目覚める。

 ここから、“主”はかつての“主”へと生まれ変われる。ああ、その時が楽しみだなぁ。だから……もう少しだけ眠ろう。“主”が世界を喰らうその時まで。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 時壊(じかい)崩獣(ほうじゅう)


 ・保有概念 【時】

 ※ 古今東西ありとあらゆる世界で最強に近い能力である【時】。時間を止めることもでき、過去を改変してなかったことにもでき、未来を予知しすべての攻撃を事前に知る事も出来る。およそ考え得る最強の能力。


 ・【トキノシハイシャ】 任意で時を止め、すべての自由を奪う最恐最悪の技。止まった時の中では、あらゆる力が無意味と化す。


 ※ 数多の世界を己が欲望のために破壊し、貪ってきた怪物。他世界の神の犠牲によりこの“牢堕の獄”へと閉じ込められた。だが、この場所でも止められる者はおらず、ただひたすらに生き物を貪り続けた。だがそれは、【暴食】が来るその日までの話だった。怪物の能力は【暴食】の前には無意味であり、丸呑みにしたと思ったがそれは単に【暴食】がより簡単に喰らう為に丸呑みにされただけだった。こいつが弱かったのではない。ただ【暴食】が強すぎただけなのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
















 ……夢を見ていた。

 怒りに身を任せた化物が何もかもを奪い尽くす夢を。その化物はすべてを奪った後、自殺した。この世のすべてを手に入れたのにもかかわらず、化物はすべてを捨て死んだ。金も、権力も、欲望も、世界すら手に入れたのにそれらすべてを捨てて死んだ。


 化物は強すぎたのだ。何を相手にしても勝ってしまう。どれだけ負けようとしても勝ってしまう。その強さ故に敵はおらず、ただ一方的な蹂躙と化す。そんなものに面白さを見出すことなど不可能だ。満たされない欲望は、やがて失望へと変わり、最終的には絶望へと変化した。強者を求めて世界を彷徨うよりも、自分が弱くなればそれだけ敵が強くなる。そう考えた化物は自らに封印を施し来世へと期待を込め死んだ。


 その施した封印も解いてしまったので、掛けた意味が無くなってしまった訳だが……しょうがない。


 世界が崩れていく。もうそろそろ目覚めの時間だろう。目を細めながら崩れゆく世界を見届ける。目覚めたその時が、その場所での最後の戦いになるだろう。そんなことを感じながら、目覚めを待つ。


 ぼんやりとした感覚を味わいながら、目を開ける。

 この場所は、何だか落ち着く。色々な欲望や想いが混ざり合い、溶け合っているような変な空間だ。

 そんな不思議な空間の中で一つ異様なものが混ざっていた。


 人一人が入りそうなほどに大きい卵が置いてあった。だが、この卵見た目からしておかしい。殻の部分は闇を凝縮しているかのように黒く、赤黒い血管が殻のまわりを覆っている。単純に気持ち悪い見た目をしているが、どこか懐かしさを感じるのはなぜなのだろうか?こんなものは生きていた中で、見た事も触れた事も無い筈なのだが?


 まあ、ここまで来たのだからやることは一つだろう。

 それ即ち喰らう事。この不気味な卵を喰らって、“黒邪鬼”の依頼を完遂しよう。そのあとはきっと今回みたいな所に飛ばされて、敵を倒す日々を繰り返すだけだ。


 その日々が、楽しいといいなと思いながら卵に触れて言い放つ。


「喰らい尽くせ【暴食】」


 卵から力が流れ込み、俺はそのまま意識を失った。

 なんで、起きたばっかなのにまた意識失うんだよ!と、思いながら闇の中に引きずり込まれる。


 力の制御が出来るまで、あと少し……。

もうすぐハロウィンですねぇ。今年も何もなく過ごしますけどね(*'ω'*)

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