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焔神

音楽聞いてたらすぐ書けた。ほんとに音楽ってすごいよね(*'ω'*)


 其処は見渡す限りの炎の地獄だった。地面は溶け出し、いたる所でマグマが噴き出す。

空は黒い灰が舞い、呼吸をするだけで肺が焼けて爛れそこに立っているだけでも焼け死ぬような場所。


 “私”は此処に居る。神の怒りを鎮めるために。ただ、ここに立ち待ち続ける。

愚者を浄化するために。




 ……あっづ!さてとここは何処だ?死神さんのおかげでパワーアップ出来たことだし、ここのヌシさんは楽にとはいかなくても苦戦程度で済みそうだな。


 此処は結構広いフィールドみたいだな。ただ暑すぎてもはや熱い。

常時“喰らうもの”を発動して熱を喰らって温度を下げているはずなのに、暑いのは考えるもなく無くなった部分に概念が作用して修復しているからだろう。

 

 と言う事はだ、此処に居るのは熱か温度を操作するタイプの敵がいるわけだ。



「初めまして、貴方が今回の愚か者ね?」


「んあ?すまん考え事してて気づかなかった。あなたはどちら様で?」


 やっぱり気配の察知って難しいなー。漫画とかでよくやってるけど命の危機以外で出たためしがないんだよな。これは訓練していくしかないな。


「それはごめんなさいね、わたしはここを守護している“アグナ”って言うのよろしくね」


 アグナと名乗った女は、燃え盛る炎のように紅く綺麗な髪を持ち、神が作ったかのように整った顔をしていた。ただ、纏っていた雰囲気はどこか儚く疲れているような感じだった。


「ふーん、そうなんですか……あっ、俺は守夜桐継って言います。よろしくお願いします」


「それで?貴方はここに何しに来たの?迷い込んできたのなら帰り道を用意してあげられるけど、どうする?」


「んー、帰れるなら帰るけど、何もやることないから別の選択肢で」


「そう?なら、貴方はここを荒らしに来た愚か者として灰に変わることになるけどいいかしら?」


「アッハッハッハ……灰になる?出来るもんならやってみろ」


「……ふぅ、仕方ないわね、あなた自身がそうしたのだから……灰と化し世界の養分になるといいわ」


 アグナが手を振るうと、濁流のように炎やらマグマやらがこちらに向かって流れてきた!


「喰らい尽くせ!」


 こちらも、同じように手を向けて目の前の存在を喰い尽くす事を強く念じる。

ただそれだけでいとも容易く濁流を消し去る。


「それが、貴方の力?確かにとても強力なものだわ、わたしじゃとても敵わないほどに」


「だけどね、力を使えば使うほど貴方は貴方そのものを“失う”そのことを理解しているのかしら?」


 そりゃそうだ、敵を喰うのに自分は喰わないなんて出来るはずもない。

強すぎる能力はやがて、宿主を蝕み、ただ意のままに貪る怪物へと変化させる。

既に、その前兆は出始めている。


 ここに来た最初の方で、意識をなくし起きた時にはすべてが終わっていた。

あの時に、戻って来れなければ今こうしてここに立って居る事など無かった。


「勿論わかってるさ、けどなこいつはもう既に俺のもんだ。そもそも、自分のことすら制御できなきゃ普通の人間として生きていくことは難しいだろ?」


「現実でも、自分のことを抑えきれなきゃ犯罪起こして刑務所送りだろうよ」


 炎で象られた矢がこちらに向かって絶え間なく飛んでくる。喰えなかったものは回避するか、【リヴァ】で切り落とす。そこまでやっても体には炎の矢による火傷が増えていく。どうやら、“喰らうもの”には一度に喰える量が設定されているようだ。


「なるほどねぇ、ならいいわ。今のうちに灰にして、そんな我慢をさせない様にしてあげる」


 相手もこちらが喰える量を把握し始めたのだろう。避けられる経路を絞り、“喰らうもの”を使わせて満腹にさせ、消化するほんの少しの時間を狙った攻撃や、逃げ場を無くして喰える限界量以上を打ち込んできたりする。


「ねえ?わたしって優しいでしょう」


「ああ、お優しいですね、こうして話している間も攻撃して来る事を除いたらだが」


 何とか捌き切ると、攻撃が止んだ。

なにを考えてる?


「何をおかしなこと言ってらっしゃるんです?戦闘中に手を止めるのはよほどの愚か者か、馬鹿だけですわ」


 何はともあれ、今が近づくチャンスだ!これを逃す手はない!


「なら!今のあんたは愚か者ってことだ!!」


 一気に距離を縮めようと近づいた瞬間、足元が吹き飛んだ。


「間隔を空けただけで突っ込んでくる貴方はわたし以上の愚か者ですが、自覚していますか?って、もう聞こえていませんか」


「………馬鹿言うなよ、こんなに分かりやすい罠に引っ掛かる阿保が何処に居るんだ」


 あの瞬間、何か来ることは分かっていた。だから違和感を感じた瞬間に能力を発動させ喰らう。

それと同時に、バックステップで距離を置き何が起きたのかを確認する。

確認することで次に起きても対策が出来る。これは、重要なことだ。


 俺はまだまだ戦闘の素人だ。いくら死神から技術を喰らったところで、奴が持っていたのは欠落した技術。

死神に至るまでで、殆どが失われてしまったのだろう。今使えるのは、奴が最後まで持っていた超強化と極限まで磨き上げられた基礎だけ。


 この基礎のおかげで今の攻撃もよけられたが、まだ自分のものにしていないため動作がぎこちない。

この部分を相手も分かっているから、積極的にこの隙を突いてくるだろう。


「これでもくらえ!」


 振り上げた【リヴァ】をアグナに向けて振り下ろす!


「貴方って、馬鹿すぎて逆にかわいいわね。炎掌浄破(えんしょうじょうは)!」


 飛び掛かってきた俺に対して、アグナは優しく胸に手を添えた。

その瞬間、恐ろしいほどの熱が生み出され後ろにぶっ飛んだ。


 何とか反射的に技を喰ったが、それでも胸が焼け爛れて呼吸すらまともに出来ない。


「カヒューッ、ヒューッ、……アア゛ア゛」


「あらっ?これを受けても生きてるなんてすごいわね。次はもっと強く撃つことにするわね」


「まあでもこれでお終いね、さよなら“炎槍”」


 もはや、全身の感覚はない。目の前に迫る炎槍を見て萎れかけていた生存本能に火が付いた。

こんなとこで負けていられるか!


 何とか上体を起こして、吹き飛んでも手放さなかった【リヴァ】を、今の体で引き出せる限界値の五十倍強化で、炎槍に向けてぶん投げる


 高速で飛んで行った【リヴァ】は炎槍に見事ヒットし、爆発した。

爆発の衝撃で【リヴァ】は、地面に突き刺さってしまったがひとまず危機は去った。

その代わりに武器を失ったが。


「この剣は、わたしが使うには貧弱な剣だけど、貴方が使うには十分かもね。これは貴方の体に返すわ、いらないから」


 アグナは地面に刺さった【リヴァ】を引き抜き俺の方へ向けた。


「お゛れ゛に゛がえ゛じでい゛い゛の゛が?」


「ひどい声ね、ふふ、いいのよ。だってこれがなきゃ貴方に勝ち目は無いでしょう?」


「よ゛ゆ゛う゛がよ゛」


「ええ、余裕よ。今の貴方如きには傷すら付けられないわ」


 こんなに近づかれた状況で相手は俺の武器を持っている。どうやって活路を見出す?

呼吸で精一杯の現状じゃどうあがいても、死を待つしかない。

なにか出来ることは無いのか!


「それじゃあ、少しだけ技を見せて灰にしてあげるわね。“炎帝”」


 アグナは周囲にある炎や溶岩、マグマを吸収して纏った。

存在そのものが、炎になったかと錯覚する程に圧倒的だ。

纏った炎を【リヴァ】にも纏わせ、俺を貫いた。


「アア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」


「じゃあね、かわいいかわいい、愚か者さん」


 炎を纏った【リヴァ】に貫かれた俺は、全身を焼かれる痛みに絶叫を上げ灰と化した。



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焔神 アグナ


・焔神器 「*****」


・装備 「深紅のドレス(未開放)」


・戦技 【炎掌浄破】 手のひらに膨大な熱量を宿し相手の中心部に手を当て零距離から敵を打ち抜く技。

    【炎槍】 炎を槍へと変え敵を滅すだけの極めて簡単な技。それ故に強力な技でもある。

    【炎帝】 アグナが本気で戦う際に使用する炎を纏う技。これはありとあらゆる能力が強化され、ただ纏っているだけで敵を灰にする絶対的な技。


・今はただすべてを灰にすることしか、考えることが出来ない。それほどまでに彼女は燃やされてしまったのだ。


残り再生数 一

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才能がもっと欲しい今日この頃('ω')ノ

ブクマ4人!ありがとうございます(/・ω・)/

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